坂の下の桜の根元
箱に捨てられた君を見つけた
どうしてだろう 余裕も無いのに
僕はその箱を拾い上げていた
喚いて 鳴いて 噛付いて
お世辞にも可愛いとは言えなかった
でもそんな所が自分に良く似て
傷つくのも構わず撫で回した
最初は名前を付けなかった
相応しい名が思いつかなくて
色々考えたけど結局
拾った光景が頭に浮かんで「さくら」と名付けた
絶望と夢の無い未来と
孤独の部屋の中 生を繰り返すだけの日々が
桜の雨の中 拾った君と暮らしてから
少しずつ 少しずつ変わり始める…
もう一度 鳴いておくれ
あの日のように この出会いは運命だって
僕は信じているんだ 何にも無い毎日を変えたのは
君が傍に居たからなんだ 「さくら」
怒って 暴れて その癖甘えて
不細工だけど好きになった
素直じゃないところまでそっくりで
抱かれないのを知っても尚 態と懐に入れた
部屋に来たすぐは
色んな物を壊して裂いて
止めようとしたけど結局
その愛くるしさに免じて「仕方ない」と諦めた
そんな日々がいつまでも
続くと僕は信じていたけど 翌々年の春の日
桜が舞う中で 徐々に弱っていく君を助けることも出来ず
右往左往する僕に君は…
近づいて 顔を舐め
宥める様に 「心配ないよ」って
僕はそれが悔しくて もどかしくて腹立たしい
だから君を撫でた 何処にも行かないでって 「さくら」
耳を動かす仕草がとても可愛かった
誰が君を馬鹿にしても 守りたいと思っていた
モノクロの時間をさくらいろに染め直したのは
紛れも無い君で…
もう歩いていくのを止めようとした足元に
花を咲かせたのは…
そう…花を咲かせたのは…
さくら 死なないで
さくら 傍に居て
さくら いつもの泣き声で
さくら 僕を起こして
絶望と夢の無い未来と
孤独の部屋の中 生を繰り返すだけの日々が
桜の雨の中 拾った君と暮らしてから
少しずつ 少しずつ変わり始めた…
もう一度 鳴いておくれ
あの日のように この出会いは運命だって
僕は信じているんだ 何にも無い毎日を変えたのは
君が傍に居たからなんだ 「さくら」
坂の下の桜の根元
捨てられていた筈の君を埋めた
「ありがとう」 桜はいずれ
散って消える定めだから…
コメント0
関連動画0
オススメ作品
*3/27 名古屋ボカストにて頒布する小説合同誌のサンプルです
*前のバージョン(ver.) クリックで続きます
1. 陽葵ちず 幸せだけが在る夜に
2.ゆるりー 君に捧ぐワンシーンを
3.茶猫 秘密のおやつは蜜の味
4.すぅ スイ...【カイメイ中心合同誌】36枚目の楽譜に階名を【サンプル】
ayumin
ブブッ、ブブッ、ブブッ……。(バイブの音)
メ
?マスターのスマホが鳴ってる。
わざわざ起こすのもあれだし、ちょっと借りるわよ。
メ「えーっと」
メ
あら、ルカからじゃない。
ル『そっちは大丈夫そう?』
『ちゃんと電車乗れた?』
『わかんないことあったらすぐ聞いて』...記憶の赤のページ(20th前日)中編
漆黒の王子
A1
幼馴染みの彼女が最近綺麗になってきたから
恋してるのと聞いたら
恥ずかしそうに笑いながら
うんと答えた
その時
胸がズキンと痛んだ
心では聞きたくないと思いながらも
どんな人なのと聞いていた
その人は僕とは真反対のタイプだった...幼なじみ
けんはる
陰謀論者の脅しに屈するな
自称神の戯れ言に耳を貸すな
ヤツらの甘い言葉に惑わされるな
自分の正しさを武器にして
あらゆる愚行に異議を唱えても
結局自分も同じ穴のムジナだから
考え過ぎて馬鹿になってはいけない
所詮僕らは人間だ
硝子の破片を丁寧に拾っていては
誰だって生きづらいだろう...publicdomain
Kurosawa Satsuki
(Aメロ)
また今日も 気持ちウラハラ
帰りに 反省
その顔 前にしたなら
気持ちの逆 くちにしてる
なぜだろう? きみといるとね
素直に なれない
ホントは こんなんじゃない
ありのまんま 見せたいのに
(Bメロ)...「ありのまんまで恋したいッ」
裏方くろ子
ピピピピッ、ピピピピッ、ピピッ……。
音のなる物を手探りで探し、音を止める。
そして、目を開ける。
メ「起きないと。」
そう言いながら、もう一度眠ろうと閉じようとするまぶた。
メ「ダメダメ。このままじゃ、寝ちゃうわ。」
慌てて起き上がり、背伸びをする。
メ「みんなのために朝ごはん作らなくちゃ。今日は...記憶の赤のページ(20th前日)前編
漆黒の王子
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想