桜並木の下で 出逢ったやさしい人は
黒づくめに白い頬 底の見えぬ濁った瞳(め)
私の視線に気付くと 寂れた港町のような
からっぽの心を広げて そしてそっと囁きました

「この場所に灯を燈せるのは きみだけなんだ
僕を助けてくれるよね 見捨てたりしないよね」

桜吹雪の夕暮れも 卯の花くたしの雨の日も
毎日彼に逢いにゆき そっと微笑みかけました
気付けば彼の瞳(ひとみ)は いつしか澄んだ青になり
底に写った面影は 私に似た知らない笑顔

「あなたが求めていたのは その人だったのね
私じゃないと気付いたら いつか消えてしまうの?」

夕顔しおれる夏の朝 彼は黙っていなくなり
紅葉舞い散る秋の日に 私の涙も枯れ果てる
ひびの入った氷のように 白く濁った心では
光はすべて散り散りに 熱は底には届かない

「この場所に温もりをくれるのは あなただけです
私を助けてくれますか ずっと側にいてくれますか」

隣に座った黒い影 姿の見えぬその人に
虚ろな心を開いて そっと哀れを乞いました

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

輪舞曲

桜の下を散歩していて思いつきました。

閲覧数:200

投稿日:2011/04/10 19:50:06

文字数:442文字

カテゴリ:歌詞

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