【小説】シンデレラ~another story~
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子供の頃
誰もが一度は読んだ事があるであろう懐かしい数々の童話たち
今作ではその中でも有名な童話
「シンデレラ」をモチーフにanother storyとして自分なりのスパイスを混ぜて書かせていただきました。
※原作と大きく設定、内容が変わっていますのでそのようなものを受け入れられないという方は、申し訳ございませんが閲覧をおやめくださるようお願いいたします。
この注意書きを読まずに最後まで閲覧され、ご不快になられた方の責任は負いかねます。
どうぞよろしくお願いいたします
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本編↓
それは嘘か、はたまた本当か、今となっては知ることは出来ない。
どんな童話だってそうだ。浦島太郎も白雪姫も、もしかするとこの世界に本当に実在したのかもしれない。
長い年月をかけて、人々の口から少しずつ伝わり、今や世界中に広がった数々の有名なストーリー。
きっと伝わる途中で、その長い旅の途中、知らぬ間に話の内容が変わってしまった物語も、あったに違いない。
――それは遠い昔の物語。
とある立派なお屋敷にシンデレラという、気の優しくとても美しい女の子が両親と仲良く三人で暮らしておりました。
幸せな毎日を過ごしていたのですが、ある年のこと、母親は突如病にかかり倒れてしまいます。毎日必死の看病が行われましたが、遂に母親は回復することなくそのまま死んでしまいました。
母親を失ってから、それまで明るく陽気だった父親もめっきり元気がなくなってしまい、シンデレラはなす術もなく、暗く沈んだ気持ちで毎日を過ごしていました。
自分に出来ることも見つからず、どんな言葉をかけていいのかもわかりません。
ただシンデレラは父親がまた元気になりますようにと祈りを込めて毎日食事の用意を行い、食欲が出ないと拒む父親を励まし、支え続けました。
少しずつ、以前の明るく陽気だった父親の姿が見えはじめた頃、父親は街で出会って仲良くなったという一人の女性を度々家に連れてくるようになりました。
彼女は名をトレメインといい、いつも家に来る時はシンデレラにたくさんのお菓子をお土産に持って来ました。
シンデレラはこのトレメインという女性を最初の頃は余り快く思っていませんでしたが、嬉しそうに話をしている父親の姿や、以前のようにテーブルにグラスが三つ並んだその光景が嬉しくて少しずつ、自ら彼女と会話をするようになりました。
彼女はシンデレラ達と同じように数年前に夫を病でなくし、二人の姉妹と今は小さな家でひっそりと暮らしているといいます。
ここに来ると幸せだった昔を思い出す、そんな話をシンデレラにしました。
シンデレラの家にはいつのまにかトレメインの娘二人もよく遊びに来るようになりました。
シンデレラよりも少し年上のその二人はとても優しく、三人はすぐに打ち解けて一緒に遊びに出かけるようになりました。
シンデレラはこの頃からきっと父親はいつか、トレメインさんともう一度結婚したいと言うだろうと思っていました。
それは本当に正しいことなのか、亡くなってしまった母親をいまだに忘れられないでいたシンデレラは悩みました。
ですが、父親にいつまでも元気でいて欲しい、昔の思い出は忘れることは出来ないけど、トレメインさんも、姉妹の二人も本当に優しく接してくれている。この人たちと一緒に住むことはとても楽しくて幸せな事だ、そう考えました。
その年の夏のこと、トレメインさんは正式にシンデレラの母親となり、二人の姉妹、アナスターシャとドリゼラもまた血は繋がっていないものの、姉妹となりました。
シンデレラのお屋敷にはまた以前のような明るさが戻り、食卓の上にはこの日から毎日五つのグラスが並ぶようになりました。
新しい家族での暮らしは、最初の頃は全てが順調に進んでいました。
しかしある日のこと、トレメイン夫人は掃除の最中に父親が大切に残していた、亡き妻との思い出の品を見つけそれを全て焼き払ってしまいました。
シンデレラが大切にしていた母親から貰ったペンダントも全て売り払われていました。
二人は大声で喧嘩を始めました。
いつまでも昔の思い出に囚われずにもっとこれからのことを考えて欲しいと夫人が言えば、毎日君のことを、家族のことを考え懸命に働いている、何もいわずに焼き払うなど考えられないと父親は言い、争いは続きました。
夫人は執拗に以前の生活を感じさせるものを排除していきました。
食器も、部屋のカーテンも、何もかも新しいものでないと嫌だと言いました。
目にとまるものを捨てては新しいものを買い替え、生活の為に蓄えていたお金を湯水のように使っていきました。
父親はまた少しずつ、明るさを失い、口数も減り、ただひたすら家族の為に夜遅くまで働きました。
家に帰るといつもシンデレラは寝ている時間になっています。
朝目が覚める頃には働きに出かけているためろくに会話も出来ません。
父親は毎晩寝ているシンデレラにむかって、涙声で「ごめんよ、シンデレラ」と呟き頭をなでて部屋を後にしました。
……シンデレラはこの時本当は起きていました。
父が帰ってきたドアの音で目が覚めるのです。
だけど涙声の父の顔を見る事が出来ませんでした。
起きて、もっと喋りたいとも、仕事をたまには休んでゆっくりして欲しいとも言えませんでした。
ましてや責める言葉なんて言える筈もありません。今日もまた寝たフリをして、父親が去った後の、暗い部屋で一人、声を出さずに泣いていました。
しばらくして父親は病にかかりました。
あの時の母親と同じです。
高熱を出し、ひどく乾いた咳をして、床に伏せたまま動けなくなりました。シンデレラは耐えられませんでした。
もう二度とあんな思いはしたくないとそう思っていたのに。
あの頃と同じ、自分にはもう何も出来ないことがわかっていました。元気になるようにとただ祈りを込めて看病を続けました。
トレメイン夫人は父親の心配よりも、今後の生活の心配を始めました。あなたがいなくなったらどうして生きていけばいいのと叫んだその声はまるで心がこもっていませんでした。
シンデレラは彼女を母親と呼ぶことをやめました。
そして遂に父親は帰らぬ人となりました。
シンデレラは全てを失った気持ちになり途方に暮れました。
父親の死を機に姉妹二人からの嫌がらせが始まりました。
洗濯掃除、買い物に食事の用意、全てシンデレラが一人でこなしていました。
部屋は屋根裏を使うように言われ、服はぼろぼろの汚い二人のお下がりのものしか着せて貰えませんでした。
母親は二人の実娘だけを可愛がり、シンデレラを召使いとして扱うようになりました。
シンデレラは何度も思いました。
もういっそのこと、母親と父親が待つ、天国へ私も旅立とうかと。
でも、病に倒れた二人が、私が自ら命を絶ったなんて知ったらどう思うでしょう、どれ程に悲しむでしょう。
苦しくて辛いけど、いつかまた昔のように笑える日が来るまで、絶対に馬鹿なことは考えない。
シンデレラは嫌がらせにも耐え、山のように積もった洗濯や仕事もこなし毎日を懸命に生きていました。
屋根裏に住むネズミにガスと名前を付けて餌を与え、誰も世話をしなくなった馬のメジャー、犬のブルーノを可愛がり、話しかけることによって悲しみを跳ね除けていました。
彼らに話をしても返事は返ってきませんでしたが、その表情でシンデレラはなんとなく感情を理解する能力を身に付けていました。
今夜もまたシンデレラは動物に囲まれ、せまい屋根裏で眠りにつきました。
――このシンデレラが住んでいる街は何世代も前からチャーミング一族によって統治されて来ました。
彼らは特に争いごとを起こすわけでもなく、付近に住む者からの評判も大変良い物ばかりでした。
特に今この街を統治しているチャーミング三世は非常に温厚で誰に対しても優しく、また優秀な頭脳と美しい顔立ちをしており皆の憧れと尊敬の眼差しを一身に集めていました。
その彼が最近更にとあることで皆の注目を集めています。
一族からではなく一般人の中から婚約者を探したい。たくさんの人と出会いその中から運命の人を見つけたいと、そんなことを考えているという噂が周辺に広がっていたのです。
そしてその噂は現実の物となりました。
来週の朝から一週間をかけてお城で盛大なダンスパーティが催されるのですが、そのパーティは一般の人間も参加可能で、更にチャーミング王子の婚約者を探す目的で開催されると言うのです。
このパーティの話は瞬く間に国中へと広まって行きました……。
「お母様、大変よ。来週お城であのチャーミング王子の婚約者を探すダンスパーティがあるそうですわ」
「チャーミング王子にもし気に入ってもらえて、結婚なんてしようものなら大変なことになるわ」
今朝は珍しく早起きをしたアナスターシャとドリゼラは興奮気味で母親に話しかけていす。
「それは大変、あなたたち、今日は街へ行ってこのお金でドレスを買ってきなさい。なるべく派手で、遠くからでも目にとまるようなものを選ぶのよ」
トレメイン夫人はそう言うと二人にお金を渡しシンデレラにすぐに食事の準備をするように言いました。
シンデレラもチャーミング王子のことは知っていましたし、会える機会などないと思っていたので自分もお城に行きたいと告げると夫人は
「あなたにはやってもらう仕事がたくさんあります。それにそんな汚い格好で行かれるとアナスターシャとドリゼラに迷惑がかかるでしょう」
「まぁ仕事が全部済んで、この家の人間ではない、よそ者としてだったら好きにするがいいわ」
そういってそそくさと自分の部屋に戻ってしまいました。
……確かにこんな汚い格好でお城に行けばたくさんの人に迷惑をかけてしまうに違いない。
だけど夫人がお金を使ってドレスなど買ってくれる訳がない。
シンデレラは食事の準備をしながらどうすればいいものか考えました。
「そういえば……。」
シンデレラは急いで自分の部屋に戻りベッドの下から箱を取り出しました。
そこにはたった一着だけ、使い古した白い洋服が入っています。
……これは、母がずっと大切に着ていた服。
焼き払われてしまう前にこの一着だけ持ち出してこのベッドの下に隠しておいたもの、これを使ってドレスを作ろう。
仕事の合間をぬって、シンデレラはこつこつとその母が残してくれた一着の洋服を、姉が捨てていったリボンやお下がりの服を使って、ドレスへと作り直していきました。
パーティまではもうあと三日もありません。
が仕事の量はいつも以上に多く、作業はなかなかはかどりませんでした。
いよいよ明日の朝からパーティが始まろうという頃、遂にシンデレラはとても古着を使って自分で作ったとは思えない美しいドレスを完成させました。
白いドレスを身にまとったその姿は天使のようでした。
「まあシンデレラ、そのドレスは一体どうしたの」
「あなたもまさかお城のパーティにいくつもりでいるの…?」
二人の姉妹はシンデレラのその姿を見るなり、次々と文句を言い始めました。
「あら、このドレスの裾の所。これ私が使っていたリボンじゃないの。何故勝手に使っているの、誰が捨てたといいました?」
「あ、姉さんここも。私が使っていたリボンを勝手に使っているじゃない」
二人は言いがかりをつけて、そのドレスを引き裂いてしまいました。
「あなたが勝手なことするからこんなことになるのですわよ」
「さぁ、それでは明日の準備をいたしましょう。シンデレラ、私たちの支度手伝いなさい」
――今まで幾度となく嫌がらせをされ、耐えてきたシンデレラでしたが、この時ばかりは余りのショックにその場か動くことが出来ませんでした。
ふらふらと街へ買い物に出掛け、その帰り道、大きな噴水のある広場の隅で、また悲しくなって涙を流しました。
あの頃に戻りたい。
そう思い涙を流していると。
「……?」
何か耳元で囁く声が聞こえます。
雑踏の中、注意してもう一度聞いてみます。
「……てごらん。ほら、あんたの足元だよ」
なんと声は自分の足元から聞こえてきます。
目を向けるとそこにはとても小さい、間違えて踏みつけてしまいそうなお婆さんが杖をついて立っています。
あまりに突然の出来事でシンデレラは飛び跳ねて、噴水の水たまりの中へ落ちそうになりました。
「私の名前はフェアリーゴッドマザー。心の綺麗な人間にしか姿が見えない、あんたたちがいう妖精ってやつだ」
「妖精?」
「そう、悲しいことがあったのだろう。私のことを見ることが出来て、しかも逃げ出さずに話を聞いてくれるなんて子、珍しいからね。何か嫌なことがあったのなら助けてあげようと思ってね」
今まで自分の辛い思いや愚痴なんて誰も聞いてくれませんでした。
老犬のブルーノは泣いているとき何もいわずに身を寄せてくれますが、会話をすることは出来ません。
シンデレラはこの不思議な状況に何も疑いを持たず、すぐに老婆に自分のこれまでの歩んできた道を話し始めました。
老婆も足元からシンデレラの肩の上へと飛び乗り、ただ何もいわずに話を聞いていました。
「そうかい、まだ若いのに、そんなに辛い経験をしてきたのかい……」
老婆はそういうとシンデレラの目の前を飛び回り
「今から私を家に招待しなさい、あんたに少しばかりの幸せをあげよう」
そう告げてシンデレラと屋敷へ歩いていきました。
中編に続く
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屋敷に戻るとそこには誰もいません。
テーブルに一枚の手紙が置いてあります。
――シンデレラへ。私達は明日朝一番でお城へ向かうために今から出発します。旅行中はきちんと家事をすること。一週間後に帰るのでその時に部屋が汚れていたら承知しませんからね。
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シンデレラ~another story~
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かまわないさ笑われても 確かめずにはいられないこのままじゃ
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なぜこんなに気になるのか心配でたまらないのか
誰でもすぐ信じるほど馬鹿じゃない わかってるそんなこと
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ひらひら、と斜め前の金髪が風にそよぐのをそっと視界の端に入れながら、5時間目の気怠い授業を聞き流す。
「えー、この時元の価格をXとするなら、個数が四割増、価格が二割減であるので…」
別に、見てない。...私的メランコリック Girl's side
翔破
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