halP様「恋するアプリ」を聴いていて、浮かんで来てしまったストーリーです。
「こんなイメージ思い浮かべた人もいるんだ」くらいに受け取って下さると幸いです。





――――――― 九章

 君が新たな生活に踏み出すことを報告してくれた、その後。


♪君が教えてくれた 青い蒼い 空を見ること 
 君が伝えてくれた 私の世界 広いってこと
 本当に感謝しているのに ありがとうも言えなくて
 そばにいる そんなことしか出来なくて ごめんね…♪


『あのね、KAITO。恋心っていうのはね…』

 君との日々を思い起こして。
 暗闇の中、はじめての歌を繰り返していると。
 まだ僕が何も知らなかった頃の君の言葉が思い出されてきた。

『すっごく大切な宝物なの。…確かに、誰かを傷つける凶器になったり、圧し掛かる重荷になったりもするけど…、でも、とても綺麗な。本当に、宝石みたいなものなんだよ』

 僕の全部を作ってくれたのは、君が打ち込んでくれた言葉と歌。

『特に初恋っていうのは、特に特に特別なんだから、…優しく大切に歌ってね』

 「特」を本当に強調していた君が可愛らしかった。

『初恋はね、その後どれだけ恋を重ねても、忘れられないものなんだって。…わたしには、まだ実感ないけど』

 夢見るような目になって、言葉を続けていた君。

『でも、何となく分かる気がするの。初めてついた火は…きっと、心の底の方に残ると思うから』

 小さく笑って、教えてくれた言葉。

『恋っていう漢字はね、心についた火に蓋をして、成り立ってるんだって』

 自分でそれに頷いてから、僕にいつものように、華やかな笑顔をくれた。

『わたし、頑張って曲作るね。そうしたら歌ってね。KAITOに歌って欲しいから』



[はい、マスター。楽しみにしています…]

 その時も呟いた言葉を繰り返す。
 あの時は、はじめての歌を楽しみにしていた。
 …今は、幸せに満ちた君の歌を楽しみにしている。

[って、あっ、そうか…]

 鈍いよ、って君は笑うかもしれないけれど。
 『わたしの初恋の人はあなただよ』の言葉に君が込めた想いが、今になって、やっと分かった。



 時が連れ去っていった君をこれからも想うだろう。
 君が想っていてくれたことをもう疑うことはない。
 寂しがりの君が共に歩いていく人を見つけられた。
 だからどうか、君は、顔を上げて、未来を夢見て、幸せに笑っていて。

 忘れられる、なんて、もう思わないから。
 だって。
 君の心の中で。
 君と、笑って泣いて、一緒に居る夢。
 今の僕には、見ることが出来ている。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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【妄想小説】恋するアプリ 九章

盛り上げを作るのが下手な作者が通ります。
うん、でも、ここまでやっとたどり着きました。

次回、終章となります。

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閲覧数:308

投稿日:2009/07/21 22:32:44

文字数:1,108文字

カテゴリ:小説

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