名も無い時代のある集落の、名も無い幼い少年の、誰も知らないおとぎばなし。

その少年は産まれついたときから『忌み子』『鬼の子』としてその身に余るほどの罰を受けた。
そう呼ばれた理由は少年の姿。
白い髪と青い瞳。
その集落ではその姿が『忌み子』の特徴だった。
さらに、少年はどんな罰を受けても決して死ぬことはなかった。
それが少年が『忌み子』と思われたことに拍車をかけた。

少年には悲しいことは何も無かった。
代わりに楽しいことも何も無かった。
ただ夕焼けの中、手を引かれて歩く親子を見ていると胸が苦しくなる、その事以外は…。

知らない。知らない。 少年は何も知らない。
叱られた後のやさしさも、雨上がりの手の温もりも。
ただ本当は、本当に寒いんだ。
死なない。 なぜ少年は死なない?
夢のひとつもみれないくせに。

誰も知らないおとぎばなしは、夕焼けの中に吸い込まれて消えてった。

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六兆年と一夜物語1

大好きなこの歌を私の蛇足つきで書いてみました。
しかし問題が。
IAちゃんのちゃんとした髪の色知らない…。

閲覧数:612

投稿日:2012/04/22 21:35:36

文字数:392文字

カテゴリ:小説

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