針降る都市のモノクロ少女 04 ※二次創作
投稿日:2019/11/11 21:30:43 | 文字数:2,936文字 | 閲覧数:7 | カテゴリ:小説
第四話
パートによって漢字の比率を使い分けたりすると、すごく苦労しますね。
何度読み返しても修正箇所が見つかります。
それでもミスが見つかった場合は……見なかったことにしてください。
4.
ぼくはとびらの外をポカンと見つめる。
すっごく高いところにきてるはずだってことはわかってたけれど、まさかそんなに高いなんて思っていなかった。
「どうした、早く入りたまえ」
「まーまーそんな焦んなって。コイツは初めて来たんだ。ビックリくらいするさ」
「ふむ、そういうものか」
「なんだよ。少年だったときの純真な心も無くしちまったのか?」
「ニードルスピア卿。卿はまたそうやって……いや、私がそういう余地を作ってしまっているのだな」
「ケケケ。分かってきたンじゃねーか」
マスターとおじさんがそんなやりとりをしているけれど、あんまり耳にはいらない。
えれべーたー、というはこの外は、おっきなへやになっていた。
ふかふかしたじゅうたんに、なんだか立派なつくえ。でも、ぼくがポカンとしてしまったのはその向こうがおっきなガラスになっていたからだ。
いつも見上げているひこうせんが、ぼくとおんなじ高さをとんでいた。
「おーい、そろそろ来いよ」
「! す、すみません」
見ると、マスターはいつの間にかおじさんといっしょにへやのまん中にあるソファにすわっていた。
ぼくはあわててマスターのもとへ走る。
けれど、ガラスの向こうが気になってしかたない。
そんなようすがバレちゃってたのか、おじさんがぼくを見てわらう。
「はは、エコー。この子を窓まで案内してくれ。……ニードルスピア卿、構わんだろう?」
「ククッ。良いぜ。ここからはあんたとオレの仕事だ。アイツは……たまには楽させてやるさ」
「ほら、こちらにおいで」
女の人がぼくに手をさしのべてきて、ぼくはマスターを見る。
「行ってこい。オレは市長と仕事の話だ」
「わかりました」
ぼくはこくりとうなずいて女の人の手をとる。
えこー、とよばれていた女の人は、マスターとはなにもかもがちがう人だった。
そのやわらかい手のひらにさそわれて、まどぎわまでやってくる。
「ふわぁ……」
ガラスごしに、このとしのぜんぶがみわたせた。
ここより高いばしょなんて、とおくの雲くらいしかない。
ちかくにたくさんあるビルは、ここからぜんぶ見おろせる。
十かいとか二十かいとかあるビルよりも、こっちのほうがもっと高い。ひこうせんとおなじ高さなんて、めのまえのこうけいがしんじられない。
「市長はここで、毎日この都市を良くするためのお仕事をしているのよ」
「……かみさまみたい」
ポツリと、そんなことを口にしてしまう。このとしのぜんぶを見おろしているこのばしょも、しちょうのしごとも、かみさまみたいだと思って。
「ふふ、そうね。市長は……神様みたいなものなのかもしれないわね」
「……」
そとのけしきに見とれているうしろで、マスターとおじさん……しちょうがはなしをしている。
「そーいや新しいあだ名が付いたみてーじゃねーか。ええと“針降る都市”だったか」
「ふん。……忌々しい名だ」
「そーかねぇ。結構言い得て妙な名前じゃねーか? “工場から出る工業排水や煙が自然環境を破壊している。それはつまり、人が生きるための水や空気を破壊しているという事だ。さながらこの都市の住人は他よりも過酷な環境で――極端な話、針の降っている中で生きているようなものだ”……良く出来た演説だよな。突っ込みどころがあるとはいえ、実際、そんなに間違っちゃいねーと思うぜ。演説してた奴、名前、何っつったっけか――」
「レオナルド・アロンソ。環境活動家などという聞いたこともない肩書きを名乗りおる」
「環境活動家……エコロジスト、ねぇ。そんなので金が稼げんのかね」
「さてな。だが、かなり多くの低所得者層から支持を獲得している。革命などと言い張るテロリズムにも荷担している事を匂わせる程だ。味方が多いのだろう」
「へーえ。で、工場や高層ビルを標的にしてこの都市をメチャクチャにしようとしてるってか。……少々厄介だな」
「この国は今、隣国の安い労働力を前に経済が悪化し始めている。途上国から、経済で戦争を仕掛けられていると言っても過言ではない。工業……第二次産業を発展させ、労働力だけでは及びもつかぬ力をつけねば、国が傾く。実際の所、この都市は発展しているのではなく、生き残りを賭けた戦いに身を投じている状態だというのに」
「ま、エコロジスト風情じゃそんなトコまでは知りゃしねーだろーな。……とはいえ、程度はどうあれ、現状じゃ工場に規制をかける必要はあると思うぜ」
「……ニードルスピア卿。卿までその様な事を言うのかね」
「市長は経営者としか会わねーから知らねーだろーがよ。フェルナンド工業科学技術社もダイン縫製社もオリヴィエアンドバーンズ食品工場も、内情は酷いもんだぜ。どこも労働者は奴隷みたいなもんだ」
「しかし――」
「――場所によっちゃ、子供を拉致して無理矢理働かせている所だってある」
「……」
「……嘘じゃねーよ」
「いや、卿の言葉を疑った訳ではないのだが……その様な事が」
「ああ。スラムじゃ子供は安く売ってる。昼も夜も自由もなく死ぬまでこき使えば、そりゃあ安い労働力だろうよ。だが、そんな労働力で隣国と競争してみろ。短期的には勝てても、長期的には確実に負ける」
「……」
「……」
はなし声がやんで、ぼくはうしろをふりかえる。
マスターとしちょうが、つくえをはさんでむかいあってすわっていた。二人とも、すごくむずかしい顔をしている。
「しかし……規制、か」
「だが、上手くやりゃあ革命という名のテロリズムも抑え込んで減らせるかもしれねぇ」
「……そうだな。やり方次第だ」
「エコロジストとやらの言説の反論文くらいは作ってやるよ。数日かかるけどな」
「それは助かる。どう対抗するか悩んでいたものでな」
しちょうはそう言ってわらうと、まんぞくそうにたち上がる。
「ニードルスピア卿。やはり卿と話をするのは他の者では得られない気付きがあるな」
「へへ。おだてても何も出ねーぞ」
「お世辞ではない。単なる事実だ」
マスターもたち上がって二人がちかづく。
二人はえがおであくしゅをする。
「ではまた。卿の助言が助けになる」
「ハッ。そーゆーなら、今度はオレんとこにも仕事をくれよ」
「いつも報酬は渡しているだろう?」
「そーじゃねーよ。ウチの会社が参入できる公共事業をやってくれって話さ」
「それは……ニードルスピア卿が建築会社か土木会社のような、インフラ企業を立ち上げて貰わなければどうにもならんぞ」
「そーだけどよ。まーそのうちどっかを買収するさ。……よし、帰るぜ。エコー、すまんな」
マスターがこっちをむく。
「さ、行ってらっしゃい」
「ありがとう、えこーさん」
手をはなしておじぎをすると、えこーはほほえんでくれた。
ぼくはマスターのもとにはしる。
「景色、凄かったろ」
「はい。くもの上に……いるみたいでした」
「ハハ。そりゃー良い経験だな」
ぼくとマスターはとびらの前でえれべーたーのはこが来るのをまつ。
やがてとびらがひらいて、ぼくらははこの中に入る。
そうして、ぼくの初めてのそらのたびがおわったのだった。
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小説版 South North Story ①
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プロローグ
それは、表現しがたい感覚だった。
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『どうしたの?』
小説版 South North Story ①
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イカサマ⇔カジノ【自己解釈】
「彼らに勝てるはずがない」
そのカジノには、双子の天才ギャンブラーがいた。
彼らは、絶対に負けることがない。
だから、彼らは天才と言われていた。
そして、天才の彼らとの勝負で賭けるモノ。
イカサマ⇔カジノ【自己解釈】
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G clef Link プロローグ5
食堂を出てから3人は村を治める長老の家についた。中へ入るとハゲ頭で白く長い髭を足下付近まで垂らした長老が椅子に座って待っている。
「おお〜っ、待っておったぞ聖者たちの子よぉ〜っ」
力弱く擦れた声で椅子から立ち上がる長老は、身体を『“プルプル” “プルプル”』と震わせながらミクたちに歩み寄ってくる。膝から下は『“ガクガク”』で今にも倒れそうな勢い。
「おじいちゃん、年なんだからムリしないのよ」
「こらっリン。長老さんに失礼だろ」
G clef Link プロローグ5
絵を描くことも
曲を作ることも
ずいぶん昔に諦めてしまった
だから、
絵を描ける人と
曲を作れる人が
すごくうらやましい
そう思いながら、
小説を書いたり
詩を書いたりしてあがいている
・・・・・・人に見せられるほどのものではないのが難点
○2次創作リスト
「ロミオとシンデレラ」全43話 原曲:doriko様 ジャンル:純愛もの 分量:約160ページ
※「on stage」全1話 原曲:なし ジャンル:初コンサートの初音ミク 分量:約20ページ弱
「ACUTE」全11話 原曲:黒うさ様 ジャンル:愛憎劇 分量:約50ページ
「Japanese Ninja No.1」全26話 原曲:デッドボールP様 ジャンル:変態どもが暴れ回るコメディ 分量:約250ページ
「ReAct」全14話 原曲:黒うさ様 ジャンル:愛憎劇(「ACUTE」の続編) 分量:約120ページ強
「神様なんていない僕らの」全3話 原曲:Polyphonic Branch様 ジャンル:青春を懐かしむ話(?) 分量:約30ページ
「茜コントラスト」全14話 原曲:doriko様 ジャンル:純愛もの 分量:約50ページ強
※「39」全1話 原曲:sasakure.UK×DECO*27様 ジャンル:「on stage」の焼き直し 分量:約20ページ弱
「焔姫」全48話 原曲:仕事してP様 ジャンル:都市国家のお姫様と吟遊詩人の物語 分量:約310ページ強
「Alone」全7話 原曲:doriko様 ジャンル:悲劇 分量:約40ページ強
※「焔姫2 プロット」全1話 原曲:仕事してP様? ジャンル:都市国家のその後(プロットのみ) 分量:約50ページ弱
「メモリエラ」全10話 原曲:yuukiss様 ジャンル:悲劇 分量:約100ページ
「Sol-2413」全6話(全3回) 原曲:ゆうゆ様 ジャンル:SF 分量:約30ページ
「ゴーストルール」全9話(全5回) 原曲:DECO*27様 ジャンル:不思議な女の子と出会うやさぐれ少年(?) 分量:約60ページ
「私とジュリエット」全13話 原曲:doriko様 ジャンル:「ロミオとシンデレラ」の続編 分量:90ページ弱
「水箱」全8話 原曲:Polyphonic Branch様 ジャンル:とある女性の過酷な日常 分量:約70ページ
「イチオシ独立戦争」全10話 原曲:ゆうゆ様 ジャンル:戦争もの(子ども兵) 分量:約60ページ
「アイマイ独立宣言」全19話 原曲:ゆうゆ様 ジャンル:「イチオシ独立戦争」の続編 分量:約160ページ強
「針降る都市のモノクロ少女」全17話(全20回) 原曲:TaKU.k様 ジャンル:復讐譚 分量:約170ページ
※「※」は番外になります。
※分量はそれぞれおまけを除いた上での文庫本換算です。作品によってかなり文章密度やおまけの分量にばらつきがあるため、ページ数のわりに長い・短い等があります。
ご用のある方は下記のアドレスまで。
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