目の前のカードに段々とイライラして来た。飄々と笑ってるトカゲにはうっすらと殺意すら浮かんでいた。

「あんた…絶対何かしてるだろ?」
「とんでもない。」
「ババヌキでもボロ勝ちって有り得ないだろ!」
「それは君の頭が悪いからだよ。」
「あぁ?!ガキは黙ってろ!」
「ちょっと黙ってて!」
「お?やっと火が点いたかな?チコリ様。」

ずっと負けっ放しで流石に頭に来たのか、チコリの目が鋭くなった。

「クラム、ごめんなさい…今回のポイント諦めて貰えるかしら?」
「え…?」
「トカゲさん、私と1:1で勝負して貰えるかしら?」
「俺は構いませんよ、で、ゲームは何を?」
「ブラックジャックを。」

トカゲが鋭く、だけどこの上無く楽しそうに笑った。

「…質問しても良いかしら?」
「どうぞ。」
「このゲームの目的について。」
「貴女はどう考えますか?」
「…この施設を動画を通して見せる事。最初の課題でウサギと帽子屋が走り回った
 コースは同じ道を通ってなかった。それと2度目の課題、一見私達の自由に移動して
 いた様に見えるけど一部の道に荷物があって移動が限られていた。そして今の課題、
 このテラスは初めて入る場所。多分他の皆も『今まで入った事が無い場所』へ
 誘導される。…違うかしら?」
「賢い人は嫌いじゃないですよ。」

そこ迄全く考えてなかった俺は阿呆ですか?と言うか走り回ったコースや荷物があった事なんてよく覚えてるな。動画を見たんだろうか?相変わらず飄々とした態度のトカゲと対照的にチコリは背中からオーラでも放っていそうな集中ぶりだった。話し掛けるのも躊躇われテーブルの上のカードをじっと見詰めていた。

「私は自分が幸運だとも不幸だとも思わない。」
「同感ですね、俺もそんな事は考えません。」
「何が最善か何が最悪は考え方次第であり、
 何が幸福か何が不幸かは考え方次第である。」
「…人生には大きな変化を齎す起点が存在し、
 何が起点か何が終点かは全て運次第である…
 此処は貴女の起点か、それとも終点か、貴女が幸運なら起点ですかね?」
「HIT」
「O.K」
「例え不幸だとしても、努力でそれを覆す事は充分に可能だわ。」
「では貴女は今不幸ですか?」
「どちらもNOよ、全ては考え方次第、だもの。」
「では見せて貰いましょうか?此処は貴女の起点か…それとも終点か。」

チコリは初めてニッと笑うとカードを返した。

「BLACKJACK」
「…お見事です。」


「カーカカカカ!!チコリ様――!!トカゲを撃破し花をゲット!!ク――リア―――!!」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

DollsGame-57.ルドベキア-

トカゲ撃破

閲覧数:434

投稿日:2010/08/05 23:36:07

文字数:1,084文字

カテゴリ:小説

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