流石にマントが熱く、重くなって来た。あの二人一体何時まで逃げるつもりなんだろう…?走り疲れてベンチで休んでいると、数人の子供がこちらを遠巻きに見つつ何やらコソコソ話してる。

「せーの…!それー!」
「飛んでけー!」

子供が持っていた風船を手放し空へ放った。蓄光塗料で絵が描かれた風船は暗闇にぼんやりと光りながらふわふわと上へ昇って行く。ぼんやりとその風船を眺めていると、また別の方から話し声が聞こえた。この格好のせいだとは思うが、何だか嫌な予感がする。

「点火ー。」
「こっちもOKー。」

待て、点火?!顔を上げた瞬間、目の前でロケット花火が数発撃ち上がった。

――カァー!カァー!カァー!

「ちょ…うわっ?!」

カラス…?!まずい、もしかして…と言うか確定でラビット!けど何で…?!

「見付けたー!」
「待ちなさーい!」
「居たぞ――!」
「ナス君いっそ撃っちゃって!」
「了解!」

了解じゃねぇよ!しかもマジで撃つな!カラスと銃弾から逃げていると別の方でも花火の音がした。しまった!正体がバレたなら俺より真っ先に狙われるのは香澄の方か!冗談じゃない!全員束になってかかられたら一溜まりも無いぞ!カラスを振り切りながら花火が上がった方角に急いだ。

「きゃああぁ――――っ!!」
「――っ?!」

悲鳴が聞こえて全身に鳥肌が立つ思いがした。…ん…?香澄…じゃない…?!

「かかったぞ!」
「囲め―――!!」

辺りに声が響いたと思うと、完全に周りを一般客に取り囲まれた。クソッ…まさか客まで巻き込むなんて想定外だったな…。と、客を掻き分ける様にクラムが姿を見せた。手にはプレートが光っている。既に取られたのか…?

「万事休すだな、グリフォン。」
「…っ!!」
「おわっ?!」

プレートさえ取り返せば…って…あれ?!プレート…じゃねぇええええええええええええ?!

「ハレルヤ!」

声と共に後頭部に強烈な打撃が入った。画面効果で言うなら正に『クリーンヒット』聖書の角とか無いだろ、マジで。

「漁夫の利サーセンKYサーセンお疲れ様ですありがとう。『門番ダム』そして
 『クラム』ブレイクです。」
「あ…。」
「『門番ダム』『クラム』そして共倒れで『グリフォン』遂にブレーイク!!アーンド
 コンプリ―――ト――!!!!勝者―――ハレルヤ!!!!」

そうか、その手がありました…。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

DollsGame-130.シュロ-

グリフォンじゃなきゃ正体のコールは要りませんからね!

閲覧数:430

投稿日:2010/09/22 01:35:36

文字数:1,003文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • 遊羅@右肩逝きかけ

    遊羅@右肩逝きかけ

    ご意見・ご感想

    ちょっと待て。
    誰か「ナス君」突っ込んでやれよ…

    2010/09/22 22:29:33

    • 安酉鵺

      安酉鵺

      返事してるから諦めてますよw

      2010/09/22 22:33:26

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