ざわざわとした病院内では引っ切り無しに呼び出し音が響いている。
「ねえミク……」
僕の隣で病院用の椅子に座っている女の子に声を掛けた。僕にとって最愛の人。
「どうしたのマスター…?」彼女はいつものように椅子から少し体を僕の方へと向けては首を傾げて問いかける。彼女と出会ったのは…何年前か忘れてしまったのだが僕にとって彼女は大切で愛おしい存在であって誰かに触れさせたくないくらいの存在なのだ。
「…僕さ、もう長くないんだって」
一週間前に医者にふと「もう長くはないです…」と曇ったような表情と申し訳ないような表情が入り混じった顔でそう言われて「ああ…やっぱり」と思ってしまった自分もいるわけで病院生活が長かった分どこかで勘付いていたとこもあった、人生に悔いなんて無いんだと思ってた。
でも…一つだけ心残りがあったんだ。「嘘…だよね?」そう僕の目の前の彼女、いつも笑ってばかりで泣き顔なんて見せたことなんか無い彼女が今まさに目を赤くして泣いている。
こんなにも愛おしいのに、こんなにも「愛している」のに君から離れて行かないといけないなんて…さ。
「嘘じゃないんだ…医者に言われたから…」重々しい空気を破るかのように僕は彼女に告げる。本当は僕みたいなやつなんかと一緒にいるより他の奴と幸せになってほしい…でも僕には「さよなら」が彼女にいえない。守ってやりたい、僕がまだ生きている間だけ、いや僕が灰になってしまったとしても最愛の彼女を…。
「ミク…ごめんよ…」体が条件反射のように動いて泣いている彼女を自分の腕の中へと抱き寄せた。彼女は少し不意を突かれたかのような表情とともに僕の腕の中でおとなしくなる。なんだ…元気だった頃とちっとも君の温かさは変わらないじゃないか。
「マスター…マスター」と僕の名前を腕の中でつぶやく声が僕の耳元に小さく反響する。こんなにも近くにいて遠いと感じてしまう感覚がとてつもなく寂しくそして悲しいなんて…。
「愛してる」感情があふれてとめどなく出る蛇口のように言葉を発していく、彼女が僕の名前を呼ぶと同じように「愛してる」という事しかできない自分にいら立ちをも覚える。
僕の心臓が脈をドクドクと打ち付ける音がまたたく間に早く高鳴り速くなる。
一分間の心臓の鼓動を図ったことがないけれどすごく早く動いているんだと確信は出来る。
嗚呼…後どれだけ「愛している」や「好き」だと君に伝えられるのだろうか。君の怒った顔や泣いている顔、笑っている顔をいつまで見ていることができるんだろうか。
「ミク…大丈夫だよ…僕が灰になっても星になってしまったとしても僕は君だけを愛してる、いつ消えてしまうかわからない僕が今君の隣でこうやって笑っていられることだけでも儲けものなんだ、今生きていられることに感謝しなきゃだよ」
僕はそう言って彼女の泣き笑いのような顔を静かに流れ落ちていく涙を手で拭い、すっと触れてはゆっくりとした手つきで優しく壊れものに触れるかの様に撫でる。窓辺に面している病室の窓から優しい春風が部屋の中へと入ってくる。もう季節がこんなにも巡ってあらゆる事が変わっているというのに彼女は僕の隣でいつも笑っていてくれた…いつも僕のそばで支えてくれていた。
ぶっきらぼうのくせにいつも僕の前では泣かずに病室の外でいつもいつも泣いていたんだろう?看護婦さんから話を聴いてずっと申し訳なさと切なさが胸のどこかでくすぶっていたんだ。君に会えたことで僕は生きる意味を知ることが出来た。だからこんなにも愛すとか生きるとかそんな感情が芽生えたんだ。君を見ているとこう思うよ。
-----僕の心拍数が止まってしまうその時まで君を愛し、君の隣で笑っていたい-----
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