リビング
マスター
「ミ、ッックー!おっはよー!!」
ミク
「わ、おはよ。・・・今日のマスター、テンション高いね」
マスター
「ゆかりんも、おっはよー!!」
ゆかり
「お、おはようございます・・・何かあったんですか?」
マスター
「ふっふー♪ちょっと良いことがあったんだよー。それがねえ・・・」
GUMI
「・・・ぅあー」
マスター
「あっ、GUMIさん!おっっっっはよーーー!!」
GUMI
「・・・おはよー・・・ッス・・・」
マスター&ミク&ゆかり
「!?」
GUMI
「あれ・・・どしたッスか・・・みんな」
ミク
「あ、あれれ?GUMIさん?」
マスター
「なんか、テンション低くない?」
ゆかり
「何かあったんですか?マスター殴りましょうか?」
マスター
「僕殴られるのナンデ!?カラテナンデ!?」
ゆかり
「慈悲はありません・・・いやーっ☆(カラテチョップ)」
マスター
「ぐわーっ☆」
GUMI
「・・・」
ミク
「ちょっと二人とも、ニンジャごっこしてる場合じゃないよ。GUMIさんほんとにヤバそうだよ?」
GUMI
「いや・・・大丈夫ッスよ・・・ご、ごほっ、ごほっ」
マスター
「えっ!?GUMIさん!大丈夫!?」
ミク
「わっ、ま、マスター?」
マスター
「大変だ、熱がある!ミク、毛布と氷枕持ってきて!」
ゆかり
「あ、焦りすぎですよ。ただの風邪じゃないんですか?」
マスター
「何言ってるんだ、VOCALOIDが風邪引くなんてどう考えても異常事態でしょ!人間の療法が効くかどうかわかんないけど、何もしない訳にはいかない!」
GUMI
「だ、大丈夫、・・・うぅ・・・」
GUMIの体がバランスを失って倒れそうになったところを、マスターが抱きかかえる。一瞬の出来事だったが、マスターの反応は早かった。
マスター&ミク&ゆかり
「GUMIさん!!」
GUMIの部屋
マスター(デスクでコンソールを叩いている)
「どう、IAちゃん?何かわかった?」
IA(寝かされているGUMIの体を触っている)
「・・・どうやら、軽く熱暴走を起こしてるだけみたいですね。人間で言う風邪とそんなに違いはありません。心配ないと思いますよ~」
マスター
「そっか・・・コマンドラインの面にも特に異常はなかったよ。おかしなアプリケーションも侵入してないし、マルウェアの心配はないと思う」
IA
「でも、原因はわからないんですよね~・・・GUMIちゃん、どうしちゃったんでしょう・・・」
マスター
「なんにせよ、熱暴走だって言うんならしばらく休眠してれば治るはず。ありがとうIAちゃん、おかげで助かったよ」
IA
「同じボカロですから。マスターよりは自分たちの体のことよくわかってるんですよ~」
マスター
「そうだね。マルウェアじゃない以上感染の心配もないから、とりあえずそっとしておこう。お疲れ、IAちゃん」
IA
「あ、じゃあみんなを呼んできますね~。GUMIちゃんが倒れたって聞いて、みんな心配してましたから~」
マスター
「頼むよ。それから、GUMIさんが起きた時のために何か温かいスープでも作ってあげるようにメイコさんに言ってきて」
IA
「りょーかいです~」
がらがらがら。ぱたん。
GUMI
「・・・あ、あれ?ここ、あたしの部屋・・・」
マスター
「あ、GUMIさん。気がついた?」
GUMI
「そっか・・・あたし、リビングで倒れて・・・」
マスター
「大丈夫。何も心配すること無いよ。GUMIさんはゆっくり休んでて」
GUMI
「・・・申し訳ないッス・・・」
マスター
「気にすること無いって。今みんながお見舞い来てくれるから、みんなの顔見て元気出しなよ」
とんとん。
マスター
「どうぞー」
がらがら。
がっくん
「おーっす、大丈・・・」
CUL
「ぐっ、ぐみ姉~~~!!」
だだだっ!!
がしぃっ!!
CUL
「ぐえっ」
Lily
「病人に飛びつく馬鹿があるか・・・ちょっと落ち着け」
がっくん
「そういうLilyも、GUMIが倒れた時はめちゃくちゃ焦ってたじゃん」
Lily
「ばっ、馬鹿言うなし!私は冷静沈着が取り柄だし!!」
CUL
「そん時の姉貴の焦り方って言ったら・・・ぷぷぷっ」
Lily
「あっ、わ、笑ったし!?今笑ったなお前!?」
CUL
「姉貴もなんだかんだでお子ちゃまだもんな~♪」
Lily
「かっ、CUL~~~!お前後で覚えてろ~・・・!」
マスター
「・・・ははは。なんか、急に賑やかになったね」
がっくん
「うちの妹達はこんな感じだよ。IAちゃんから大体の話は聞いたけど、大したこと無いんだって?」
マスター
「うん。なんかただの風邪に近いんだって。スキャンの結果も問題なしだったよ」
がっくん
「そっか。まあいつも元気バリバリのGUMIが倒れたって聞いてみんなびっくりしてるから、俺はとりあえず他のみんなも呼んでくるよ」
マスター
「いってらっしゃい。あ、とりあえず2,3人ずつで来てもらってね。あんまり多いとGUMIさん休めないから」
がっくん
「了解っ。GUMI、お大事にな」
がらがらー、ぱたん。
CUL
「ぐみ姉・・・なんか欲しいもんあるか?りんご剥こうか?うさぎさん作ってやろうか?」
Lily
「お前包丁使うの下手だろ・・・怪我するから止めとけって」
CUL
「じゃっ、じゃあなんか暇つぶしになるもん持ってきてやるよ!トランプすっか?あ、漫画読むか?」
Lily
「今目が覚めたばっかりなんだから要らないだろ・・・それに、熱出して倒れてるのにそんな頭使うものばっかりやらせようとするな」
CUL
「なんだよー!じゃあ姉貴はなんかいいアイデアあんのかよー?」
Lily
「病人の前で騒ぐな。静かにしてろ。今はそれが一番重要だ」
CUL
「わかったよー・・・ごめんなぐみ姉、オレなんもしてやれねえ・・・」
そっ
GUMI
「CULは・・・優しいッスね・・・ありがとう、お姉ちゃん頑張るッスよ・・・」
CUL
「ぐ、ぐみ姉・・・がっ、頑張れ!めっちゃ頑張れ!」
Lily
「病人に励まされてどうするんだお前は・・・」
マスター
「・・・あはは。良いんじゃない、CULはああゆう子なんだからさ」
がらがらー
リン
「GUMIさん、大丈夫ー?」
レン
「ばっか、大丈夫じゃないって。見りゃわかんだろ」
リン
「あんたほんとデリカシー無いわねえ・・・良いわよ、ほらGUMIさん。とりあえず汗拭いてあげるねー」
GUMI
「あ、ありがと・・・うっ、げほ、げほっ」
レン
「おいおい、無理に喋んなよ。VOCALOIDは声が命なんだからさ」
リン
「そうそう。今はゆっくり休んでね?」
レン
「GUMIさん、調子戻ってもしばらくは無茶すんなよ。ランニングも息が上がらないようなペースで、なるべくウォーキングから始めたほうがいいぞ」
GUMI
「そッスね・・・あー、早く走りたいなー・・・」
リン
「元気になったら、また買い物とか行こうよ。じゃあレン、そろそろ行こうか」
レン
「おう、じゃあまたな」
がらがら。
CUL
「お、オレも一緒に走るよ。姉貴もいいだろ?」
Lily
「そうだな、たまには運動も悪くないか・・・」
GUMI
「楽しみッスね・・・さっさと風邪治したいッス・・・」
とんとんとん。
がらがら。
ルカ
「失礼しますわ。GUMIさん、果物をお持ちしましたの。りんごにバナナにキウイ、メロンなんかもありますわよ」
メイコ
「温かいスープも持ってきたわよ。薬膳風味で作ったから、きっと体にいいと思うわ」
カイト
「アイス・・・は持ってきてあげようとしたんだけど、めーちゃんに怒られちゃったよ。体、冷やさないようにね」
GUMI
「うう・・・かたじけないッス・・・暖かさが身にしみるッス・・・」
メイコ
「お互い様って奴よ。体、起こせる?」
GUMI
「節々痛いッスけど、なんとか・・・わあ、いい匂い」
メイコ
「待ってね、今冷ましてあげるから。・・・ふぅーっ」
GUMI
「んぐ・・・あーっ、うまいッス・・・」
ルカ
「果物、ここに置いておきますわね。Lilyさん、GUMIさんがお腹を空かせたら皮を剥いてあげてくださいまし」
Lily
「ん、了解だ」
ルカ
「がくぽとCULはつまみ食いしてはいけません事よ」
CUL
「ぐ・・・我慢する」
がっくん
「ちょっと待って、俺CULみたいに食い意地張ってないよ」
CUL
「なんだとー、この前兄貴オレのポテチ食おうとしてたじゃーん!」
がっくん
「あれはお前の健康を憂慮して隠しておいただけだ。今も俺の部屋の戸棚の奥の二重底の中で空っぽのまま眠ってる」
CUL
「そっ、そうなのか!オレの健康かあ・・・兄貴、お前いいやつだな!!」
Lily
「兄貴、お前最低だな」
がっくん
「CULー、Lilyがいぢめるでござるー」
CUL
「姉貴っ!兄貴はオレの健康のためにポテチを取り上げてくれたんだぜ!?」
Lily
「えっ、なんで怒りの矛先私な訳!?お前人の話最後まで聞いてないだろ!」
CUL
「兄貴の話のどこをどう聞いたら兄貴が最低になるんだよーっ!」
Lily
「お前本当に馬鹿だな!!」
マスター
「(ががーっ)ログをプリントアウトしてとってあるから、最後まで読み返してみなよ」
CUL
「(受け取る)えーっと・・・部屋の・・・中で・・・空っぽ・・・(ハッ)」
がっくん
「あっ、やべっ」
CUL
「たっ、大変だ~っ!兄貴の部屋でポテチが消えた!みっ、密室殺人だ~っ!!」
Lily
「なんでそうなる!?」
メイコ
「恐るべき推理力の無さね・・・」
ルカ
「読解力の間違いではありませんの?」
カイト
「がっくん。CULちゃんをからかって遊ばないように」
がっくん
「てへぺろ☆」
ぼがっ(がっくんがカイトとLilyに両方の頬をパンチされた音)
すぱあんっ(メイコが後ろ頭をはたいた音)
げしっ(床に伏したがっくんの頭をルカが踏んだ音)
がっくん
「いたいいたいいたいいたいいたい。CUL、たすけてー」
CUL
「ぐみ姉ー。犯人誰だと思うー?(←聞いてない)」
がっくん
「すでに俺の方を見てもいないっ!?」
ルカ
「自業自得ですわ。反省なさい」
マスター
「ルカさん。とりあえずがっくんは退場させて。GUMIさんが『うぜえ・・・』って呻き声あげてたから」
ルカ
「All right, my master.」
がっくん
「直球!?薄々かんづいてはいたけどそこまで鬱陶しがられてたの俺!?(泣)」
ルカ
「カイトお兄様、サッカーしましょうサッカー。庭を通り抜けて土蔵にボールを蹴り込んだ方の勝ちですわ」
カイト
「おっけー。負けないよーっ☆」
げしっげしっげしっ(ルカとカイトががっくんをドリブルしていく音)
マスター
「友達は大切にしなよー。友達はボールってよく言うし」
メイコ
「逆よ」
マスター
「分かってるって。メイコさんは参加しなくていいの?」
メイコ
「さすがにそこまで子供じみた事ではしゃがないわよ」
マスター
「さっすが一家のお姉ちゃんだね。これだけ個性的なメンバーを上手く束ねあげられるんだから」
メイコ
「その力はマスターの方が強いでしょう?」
マスター
「さあ?権限って言ったほうが的確かもしれないね」
メイコ
「照れる必要ないでしょ。胸張りなさいよ、みんなマスターの人柄に惹かれてるのは確かなんだから」
マスター
「そういう事も、まああるにはあるかもしれないね」
メイコ
「素直じゃないんだから。じゃあ、私はあの3人の方に行くわ。適当なタイミングでがくぽを助けてあげないとね」
マスター
「りょーかいっ。じゃあ、またね」
がらがらがら、ぱたん。
ミクとゆかりとIAが入れ替わりで入ってくる。
ミク
「GUMIさーん、おはよー」
ゆかり
「お加減は如何ですか?」
IA
「効くかどうかわかりませんけど、民間療法のグッズもいろいろ持ってきましたよ~。・・・ネギ以外」
ミク
「どういう訳だかIAちゃん、私がネギを持って行こうとしたらにこやか~な笑顔で手首を掴んできたんだよね・・・」
IA
「ミクちゃんには任せておけませんからね~」
ミク
「えっ!?なんでそんなに信用無いの私!?」
ゆかり
「その驚きよう・・・あの行動はギャグじゃなかったんですね・・・」
マスター
「ミク。GUMIさんが『ネギは勘弁ッス・・・』ってうわ言のように繰り返してるからNGで」
ミク
「はーい・・・すごい一体感なのになあ・・・」
マスター
「首に巻くと窒息の恐れもあるらしいからね」
ゆかり
「敢えて明言避けましたねマスター」
マスター
「ミクを変態扱いはできないからね」
ゆかり
「本音は?」
マスター
「僕もみんなの前で変態扱いされるのは避けたい」
ゆかり
「よく出来ました。この変態さん☆」
マスター
「わざわざ避けたのに何このご褒美!?」
GUMI
「あー、・・・げほっ」
マスター
「ん、どしたのGUMIさん」
GUMI
「お見舞いありがと、ッス・・・そろそろ寝たいので、しばらく一人にして欲しい、ッス・・・」
マスター
「あ。そっか。なんだかんだで休む間無かったもんね。じゃあ皆、部屋出ようかー」
ミク
「はーい。またね、GUMIさん」
IA
「お大事になさってくださいね~」
ゆかり
「汗を拭いて欲しくなっても、マスターだけは呼んじゃ駄目ですよ?」
マスター
「さすがに弱ってる病人相手にボケる程僕も変態じゃないね」
ゆかり
「じゃあ私相手なら・・・ボケてくれます?」
ミク
「ゆかりん汗かいてるでしょー。拭いてあげるー☆」
ゆかり
「きゃあっ!?みっ、ミク先輩こんなところで・・・!」
マスター
「さあみんな、GUMIさんをゆっくり休ませてあげるためにさっさと部屋を出ようねー」
ゆかり
「ちょっ、助けてくださいよマスター私が悪かったですからぁ!!」
どたどた。ぱたん。
GUMI
(あー、良いなあみんな賑やかで楽しそうで・・・あたしも早く復帰したいなー・・・)
後編に続きます。
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