＜Dear My Friends！第２期　第２９話　完全奇策ｖｓ絶対戦術＞

（ヤマト国　オーエド地区　セントラル区　ニホンバーシホンチョー方面　シュトコー跡）

チンシャン：さて、いい加減“MANZAI”はやめようではないか。これ以上、おまえの仲間の笑いものにされるのはごめんなんでな
キョウ：うそつけ。彼らの笑い声のデータ収集が終わったからだろ？
チンシャン：ふっ、そのボディ、ギア、どちらも、おまえを大分強化してくれたようだな。ルォだった頃のおまえなら、あっさり私の言葉通りに乗ったと思うぞ？
キョウ：悪かったな。望み通り、さっさと戦闘に移るとする。おまえも腹が減っているし、俺たちもさっさとミゥさんを助けないといかん。どちらも時間は惜しい
チンシャン：同感だ。では、戦闘開始だ

　ザッ　ザッ

　二人は昔のニホンにいた“リズム漫才”でもやるかのように、言葉のテンポを合わせて話を区切り、キョウはアイボーの体を斜めに構えて臨戦態勢にし、チンシャンはサーチを呼び寄せて自分の右横に立たせ、自分は相手の出方を伺うように、防御の態勢を取ったのでした。

　そんな掛け合いを少し笑いながら見ていたテル達も、臨戦態勢に変わってからは、顔つきをキリッとさせて、だが、キョウからの指示通り、言葉に出さずに、戦闘モードの姿勢を見せずに、成り行きを見ていたのでした。

テル：（みな、わかっているようだな。キョウから指示があった『あの奇策』しか、相手に与える情報量を最小限にしてヒットさせる方法がないのだ。先ほどの“掛け合い漫才”から笑い声を与えてしまったのは、失敗だった。さすが、ルォが1回も勝てなかった上司、相手の隙を絶対に見逃さない強敵だ…）

　キョウとチンシャン以外は全員が黙った状態の、ある意味、変な戦闘風景でもあるのだ。チンシャンも気づいているはずだが、ギア『サーチ』の能力を考えると、今は黙って“相手の隙”を奪う事を最優先にしている、故に、チンシャンもキョウだけを相手にするフリをしていたのだ。“戦闘がメインの能力“であるギアだったら、真っ先にテル達を狙うはずだ。

＊＊＊

キョウ：・・・・・・・・・
チンシャン：・・・・・・・・・怖いか？
キョウ：ああ、怖いな、おまえのサーチ、これ以上、おまえとマカの連中にデータを与えるわけにはいかないからな

　チンシャンは少し、上から目線に変わった。いや、そのフリなのか…。

チンシャン：それでは、私に勝てないのは、知っての通りだ。こちらから攻める気は無いぞ？

　すると、キョウの後方バーニアが一気に噴き出した！

キョウ：だから、テメーへの作戦なんざ、これしか、ねーんだよ！

　一気にチンシャンに詰め寄るキョウ！　だが、これでは、チンシャンの思うつぼなのだ。

チンシャン：分析

　サーチの内部回路が起動した。が、キョウの作戦は、これだけではなかったのだ！

キョウ：黒！
チンシャン：！？

　その声に黙って呼応したのは、テルだった。瞬発的に手袋をサーチの方向にかざすと、黙って“電撃球”（本当はヴォルテックスという名前の魔法だが、キョウに言われたとおり、口の中で“腹話術”のように詠唱して発動させたのだ）を放った。

　バチバチバチッ！

　紫に輝く電撃球はまっすぐにサーチに向かって飛んでいき、あっさり直撃した！

サーチ：回復モード発動。修復までに1分。電撃攻撃の全データ入手。ただし、攻撃発動者のデータ、一切入手できず

　あのタカビーのチンシャンの顔が歪んだ。そして、キョウを睨み付けた。

キョウ：悔しいか？　『攻撃者』のデータが取れずに、おまえのサーチでは回避もできずに、な
チンシャン：・・・・か、考えたではないか・・・・・暗証コードによる同時攻撃の“奇策”・・・か・・・・
キョウ：しかも、ほとんど手の内がわかっている俺はプッシュだけで、攻撃は俺の仲間だ。そして、どうかと思ったが、この手は苦手らしいな。サーチの奴、回避シークエンスすら取れないとは。さっきの攻撃を分析、データ入手する処理だけで、メモリーいっぱいを使っていたな？　それだけ、さっきの“マホウ”は、解析するのが難しい、そういうわけだ

チンシャン：くっ・・・・・だ、だが、『次』はない！　この手はサーチに覚えさせた。回復さえ出来れｂ
キョウ：そうはいかない！　黄色女子！

　今度はリンが反応した。先ほどと同じく、口の中でゴニョゴニョ言ってなんとか詠唱し、新武器の“ワードナスタッフ”の先端をサーチに向けて、黙って、“火球”（本当はフレイムという魔法）、を飛ばした。今度もあっさりとサーチに直撃した。

チンシャン：くっ・・・くそぉ！　別属性の攻撃か！！！！
サーチ：回路内温度異常上昇。回復モード追加発動。修復までに合計３分。火炎攻撃の全データ入手。ただし、攻撃発動者のデータ、一切入手できず

キョウ：緑女！

　今度は、二人だった。まず、めぐみが新武器“クリスナイフ”をかざして、“補助魔法”を、口の中で何とか小声で詠唱した。

めぐみ：（え、えっと、“アペンドさんの魔力を強化！”・・・・でいいの？　クリスナイフ？）

　するとクリスナイフの声は、めぐみの脳内にダイレクトに入ってきた。

クリスナイフ：（気持ちと意味さえわかれば、私に関する詠唱は完了する。安心しろ）

　ぱぁ～～

　アペンドの体が輝き、“魔力増強状態”に変化した！　こうなればアペンドのターンである！　アペンドは今度は氷結系の魔法を口の中で詠唱した。今回めぐみも入れたのは、この詠唱方法である。クリスナイフ以外、どうしても詠唱が小声だと威力も下がってしまうのだ。なので、一気にサーチを落とすため、めぐみの補助魔法を使うことにしたのだ。同じ“緑髪”だったのも幸いした。

　バシュ！

　今度もあっさりと、巨大な冷気がサーチを包み込み、直撃を喰らわす事が出来た！

サーチ：回路内、及び、外部装甲、すべ・・・て・・・で・・い・・・じょ・・・う・・・おん・・・・ど・・・・へん・・・・か・・・はっせ・・・・い・・・・しょ・・・り・・・・が・・・・

チンシャン：！？　サーチ！　もういい！　一度リセットをかけろ！

サーチ：め・・・い・・・・れ・・・い・・・を・・・・

　チンシャンは、遂に焦ってしまった！　命令をインプットする箇所も壊れてしまったようだ。

キョウ：とどめだ！　黄色男！　紫！

　当然、ここはレンの新武器“オリハルコンの剣”と、学歩の新武器“斬鉄剣”の出番だ！

　レンは剣を振りかざし、学歩は斬鉄剣の柄を握って、一気にサーチに詰めよった！　しかし、本体である“チンシャン”にも意地があった。二人に銃の銃口を向けた！

チンシャン：そこまでだ！！！！
キョウ：ピンク！　白！

　ここまで、キョウの奇策には入っていたのだ。ルカ姫とイアの新武器“魔弾銃”の銃口が、新弾丸“加速弾”にセットされた状態で、黙ってチンシャンに向けられたのだ。

　チンシャンは静かに銃口を卸した。チンシャン自身の分析能力でも、わかってしまったのだ。その弾丸“加速弾”の威力だと、自分の弾丸が到達する前に、自分が撃たれる、と。

　チンシャン、万事休す。

　レンの“オリハルコンの剣“の攻撃”スラッシュ“によりサーチは、あっさりと脚部と腕部を圧壊され、学歩の”斬鉄剣“による”居合い切り“により、一刀両断にされてしまったのだ。

　例え能力が高いギアでも、結局は“機械”なのだ。“未知の物質の分析”や“奇策”への対応に必要な“臨機応変な対応と処理”には、非常に弱かったのである。

チンシャン：さ・・・・・・・さーち・・・・・・・・

　ルカ姫とイアの銃口は、そのままチンシャンに向けられていた。だが、殺意は無かった。これから随伴して貰うのである。

　ミゥの所まで移動するまでの、敵兵力を無力化するために

（続く）

CAST

イア：IA-ARIA ON THE PLANETES-
ルカ姫：巡音ルカ
魔導師アペンド：初音ミクAppend
魔導師テル：氷山キヨテル
僧侶リン：鏡音リン
勇者レン：鏡音レン

異国の剣士　神威学歩：神威がくぽ
裁判官　勇気めぐみ：GUMI

ヤマト国からの旅人三人組
瑞樹（ミズキ）：ＶＹ１
勇馬（ゆうま）：ＶＹ２
兎眠りおん（りおん）：兎眠りおん

ミゥ：Mew

欲音ルコ（ルコ）：欲音ルコ

唄音ウタ（デフォ子）：唄音ウタ
桃音モモ（モモ）：桃音モモ
雪歌ユフ（ユフ）：雪歌ユフ

義　井具蔵（ヨシ　イグゾウ）（イグゾウ）：某演歌歌手

ゾラ・キョウ（キョウ）＝生まれ変わったルォ：ZOLA PROJECT (KYO)

チンシャン：某女性中華ボカロ
マカ：某少年中華ボカロ
ティエンイ：某女性中華ボカロ（ルォの姉（こちらが本家“ルォ・ティエンイ”で、女性中華ボカロになります））

その他：エキストラの皆さん