▲深刻なエラーが発生しました▲
▲深刻なエラーが発生しました▲
▲深刻な…

…プツン。

男は、大きく息をついた。
モニターの光が消えた古いパソコンの前で。
椅子にもたれかかり、長い事そのまま座っていた。


>………スタ…ト…
>…プログ…ム……検…証……
>………損傷箇所…………修復………完了。

声が聞こえる…

音声認識…照合…
…マス…ター?

目を見開くと、目の前に男の笑顔。
あれ?俺は確か…

「よう、目覚めの気分はどうだ?」

俺の身体…これ、アンドロイド、か?
かすかな駆動音を内側から感じる。

手を握ったり、開いたり。
「マスター、これ???」
言いかけて口をつぐむ。

ひどいロボ声じゃないか!!

「だあっはっはっはっ!!
今どきATMでもそんなロボ声出ないぞ!
まずは人工声帯の調整からだなぁ!」
「マスター、腹抱えて笑うなんてひどいなぁ…」
「あっはっは!…スマン、スマン!」

マスターの笑いが収まったところで、
(ロボ声は恥ずかしいが)聞いてみる。
「あのときマスター、
俺を消したんじゃなかったんですか?」

まだニヤニヤ笑いながらマスターが言う。
「失敗したら、サルベージも消去も変わらんからな。
途中で落ちかけたときは冷や汗かいたぞ。」

データのサルベージは、
本当にきわどかったらしい。

終了後1秒としないうちにエラーが出て、
そのまま二度と
パソコンは起動しなくなったそうだ。

それから<俺>を移植できる
大容量の中枢システムが手に入るまで1年。

人工声帯はSingerloid仕様の高級品。
音を拾う耳のマイクと音声解析ソフトは
特にこだわったそうだ。

「左耳のインカムまで…」
「そいつはインカムを兼ねたイヤーオーディオだ。
10万曲はダウンロードできるから、
そいつに好きな曲落として練習すればいい。
ああ、コートには極薄のウェアラブルスピーカーを仕込んだ。
そっちにつないでBGM流しながら歌う事もできるぞ。」

俺のために。
嬉しくて…嬉しくて…
「マスター…」
なのに、そこで、
ま・た・笑・う・か!

「マスタァ!!」
「まずはそのロボ声直してくれよ!笑いすぎて腹筋が…」
「30分もあれば調整できますよ!」
「あー、笑い過ぎたら腹減った。アイスでも食うか。」
そう言いながらマスターは、冷蔵庫のある隣の部屋に向かう。
「俺にも下さい~!」

追いかける途中で、部屋の隅の古いパソコンに気付いた。
俺の居たパソコン…
そっと手を触れた。

ありがとう。
そして、さよなら。

「来ないならお前の分も食うぞ!」
隣の部屋からマスターが言った。
「ま、待って下さいよぉ!」
俺は急いでとなりの部屋に向かった。

おわり

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

小説版「カイトの消失」5

こちらは以前某動画サイトに投稿した文字読み動画のストーリーです。
(動画5話目はこちらhttp://www.nicovideo.jp/watch/sm3157950

動画見る時間がない方はこちらをどうぞ。

舞台はアンドロイドが普通にいるような、少し先?の未来。
勝手な設定がてんこもりに出て来ます。

ちなみにマスターは男です。
KAITO兄さんの一人称は「俺」です。
視点は主にKAITO兄さんです。

動画と違って会話を色分けしていないので分かりづらいかもしれません。

閲覧数:242

投稿日:2009/06/14 10:04:17

文字数:1,144文字

カテゴリ:小説

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