※『シャングリラ』シリーズの流れを汲んでいます。
ご存じない方は、先に本編を読んでいただくことをお薦めします。




シャングリラ・ある日のひとコマ⑫


「カイトはさ、オレが好き?…あ、大雑把な意味合いで、」
「はい、好きです、」
「ふぅん。いつから?」
「目覚めて、初めて目にしたときに、好ましいものの項目に分類されましたが…何故、そんな質問をするのですか?」
「いや、オレってあんまり人に好印象を与えないから、カイトがよく懐いてくれたと思って、」
「そうなんですか?篠武さんは、とても魅力的な女性だと思いますが、」
「…ん?」
「甘いココアのような色の長い髪も、琥珀に輝く瞳も、とても綺麗です、」
「…は?」
「薄紅の差す唇も、柔らかそうな白い肌も、小柄で華奢な身体も…あ、澄んでよく通った声も素敵ですね、」
「え?…ちょ、」
「性格は…、そうですね…明るく素直、さっぱりしていて、飾り気がない。気さくで人懐っこいと分析しています、」
「…お前、よくもまぁそんな、こっ恥ずかしい言葉をポンポンと…、」
「恥ずかしい、ですか?」
「うん、いや…ってか、カイトってそんなキャラだったか?もっと控え目で大人しくて口数も少なくて…、」
「環境に応じて、システムがだいぶ複雑化しましたからね。それに、貴女がオレに『自分が、どういう存在でありたいか、』決めていいと教えてくれたんですよ?」
「…あー、確かに言ったな…、」
「だからオレは、全てにおいて無関心をやめ、成長を選んだんです、」
「うん、それはとてもいいことだよ。…でも、」
「単なる『物』ではなく、自身の思考と感情を持った存在として、篠武さんに認められたいんです、」
「…いや、認めてもらうべきは、オレにじゃなくて、」
「篠武さんがいいんです。まだ発展途上で、うまく自己表現もできませんが、…貴女から、もっとたくさん吸収して頑張りたいと思います、」
「………、」
「と、言うわけで、結論としては好きです、」
「…はぁ、どうも、」
「…篠武さん?目が泳いでますよ?」
「なんかオレ、…もしかして変な方向に舵切ったかなと思って…、」
「………?」

いよいよ持って、扱いが難しくなってきた…。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
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シャングリラ・ある日のひとコマ⑫【カイマス】

実は一目惚れという。
篠武さんには申し訳ないが、私としてはようやく扱いやすくなってきた(笑)。

閲覧数:87

投稿日:2011/05/05 23:41:43

文字数:926文字

カテゴリ:小説

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