「えーと、この欄はこうして…あ、こうか」


ちゃぶ台の上に書類を広げ、時間をかけながら一つ一つ記入していく。
面倒だけどやらなきゃいけないんだよね。
一応、大事なことだし。

…よし、終わった。
あー面倒だった。肩がこった気がする。


「んと、お菓子と本と…」


鞄に書類を詰め込み、代わりにお菓子と本を取り出す。
それを腕に抱えて部屋を出る。
張り紙は「蘇生中」から「みかん」に変わっている。
…だから何故私は変な言葉をチョイスするんだ。

それにしても、鉄筋コンクリートって寒いから嫌なんだよね。
前の木造建築のほうが個人的に好きだったんだけどなあ。
ちなみに私はIH?とかいうやつの使い方を知らない。キッチンはガス派である。
誰か使い方教えろください。


階段を降りていると、深い青色のショートヘアが視界に入った。
あれは確か、私の親友で、カイト超超超(ry超大好きな、かなりあ荘四天王の一人、雪りんごではないか。
いつものように「ハロー!」と話しかけようと思ったが…


「あ、れ…あ、はは…なんだ、ゆるかぁ」


明らかに様子がおかしい。
腕にはスーパーの袋を抱え、髪にはうっすら雪がかかっている。
そこまでなら全然いいのだが。
表情こそ清清しい笑顔であるが、目は笑っていない。
そう、目は笑っていない。
繰り返すが、目は笑っていない。
…美少女なのに勿体無い(´・ω・`)

つまり、大事件(この世の終わりみたいな雰囲気)なのである。


だが、だいたい予想はつく…


「り、りんご…大丈夫?」
「何が?うふふ」
「勉強の詰め込みすぎで、死にかけてない…?」
「え?やあねー、何言ってるのー?変なゆるー!」


あっはっは、とまるで 散歩に出かけただけなのに偶然近所のおばさんに会ってしまって、どうやって話を切り上げていいかわからないから適当に笑ってみる大学生 みたいな笑い方をするりんご。
大丈夫か。もう目が虚ろだよ。

りんごの元気を出させるためにはどうすればいいだろう?
ターンドッグさんのカイトを婿にすればすぐ元気()が出そうだが。
うーん…あ、そうだ。


「りんご。一日だけうちのカイト貸してあげるから、煮るなり焼くなり抱きつくなり、好きにしていいよ」
「え…本当?それ本当?マジ?マジで言ってるの?」


刹那、りんごの目に光が戻る。
やばい。兄さんへの愛の力はやばかった。
しょうがないけど、うちのカイトには犠牲になってもらおう。
大丈夫。ヘタレアンだけじゃなく、教師もやってるから多分大丈夫!
…だいぜうぶ?だよね?うん。


「だから頑張って!私も後で温かいにゅうめん持ってくから!」
「あ、うん。ありがとうね」


そして互いに、目的の部屋へと行こうとする。


「あ、ゆる」


振り返ると、りんごが僅かな微笑みを浮かべて言った。


「おめでとう」


彼女のその表情に、罪悪感から少し胸が痛くなる。


「…ありがとう」



*



共有リビングに入ると、しるるさんがこたつでみかんを食べていた。
幸せそうである。


「あ、ゆるりーさん」
「こんにちは、しるるさん。お菓子持ってきたので、よろしければ一緒にどうですか?」
「わー、食べます食べます!パイ●実美味しいですよね、さくさくしてますし」
「美味しいですね」
「あとチョコですし」


パッケージをぺりぺり開けて、その中から一つ掴んでぱくっと口に入れる。
やっぱりチョコは美味しいと思うんだ。


「しるるさん、みかん一個とってくださいますか?」
「どうぞー」


ずしりとした、ほどよい重さのみかん。
それをささっと皮をむいて、口に放り込むと、みかんの甘い果汁がじゅわっと広がる。
冬のみかんも美味しいよねえ。

自室から持ってきたお気に入りの本を読みながら、こたつでぬくぬくする。
もうこたつむりしたい。こたつ最強。

数分たち、ふと頭に浮かんだ疑問をしるるさんにぶつける。


「…しるるさん」
「はひっ!?…あっ、ごめんなさいゆるりーさん。パ●の実全部食べちゃいました」
「いや、パイの●は別にいいんですが。なんか今日静かですね?」


ひたすらもぐもぐしてるしるるさんかわい…なんでもない。


「へっ?そりゃ、今受験生は一番大事な時期ですし、静k…あれ、ゆるりーさん勉強しなくていいんですか?」
「ん?ええ、まあ…」


それについては今は伏せよう。


「でも、ターンドッグさんとちずさん今日いるはずですよね?なんで見ないんだろう…」
「外にいますよ。雪合戦してると思いますから」


新しいみかんを手に取り、丁寧に皮をむくしるるさん。
いつかしるるさんは天使と呼ばれる気がすr…なんでもないよ(笑顔)


「じゃあ本見張っててください」
「あ、はい」


コートと手袋を装備し、ドアノブに手をかけて扉を開く。


庭を見ると、そこには銀世界が広がっていた。

そして、ターンドッグさんとちずさんが雪合戦をしていた。


「ハッハッハァ!くらうがいいです、私の曲がる魔球を!」
「ちょっ、待ってちずさん、あんた何習得してんのさ!?別に野球やらないよnうおっ危ねっ!」
「あー、避けないでくださいよ、おとなしくゆきだるまになってください!」
「別に俺スノーマンにはならないよ!?そうなるのはゆるりーさんとこのヘタレアンだけで十分だ!www」


…ちずさんは、本当に「曲がる魔球」を投げていた。
やばい、凄い。
そしてターンドッグさん。あなたの回避能力も地味に凄いです。
何、残像が見えるけど、気のせいじゃないよね?
あなたたち二人だけ、異世界からやってきた魔王討伐パーティとかじゃないよね…?


とりあえず。
目の前の光景に参加する気にもならず、私は再びこたつにリターンするのであった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Winter scenery【かなりあ荘】

ちずさんターンドッグさんごめんなさい。
どうも、ゆるりーです。

というわけで、かなりあ荘&ピアプロ復帰致します。
無事受験終了しましたのでご報告を。


で、思いつきですが何かやります。
ちょこちょこ投稿していたとはいえ、受験のためあまりテキスト書いてません。
ブランクが少しあるんです。
書きたいものもあるんですけど、あまりエンジンがかからないというか。

というわけで、リクエスト受け付けます(唐突)
「ギャグ書いて!」や「○○なシリアス書いて」みたいな。ようするにネタください。
体力的な問題で、先着三名様のみですが。
いなかったら一人寂しくRPGの話(ギャグ)書きます。
いてもRPGは書きます。

閲覧数:311

投稿日:2014/02/24 00:23:53

文字数:2,407文字

カテゴリ:小説

  • コメント4

  • 関連動画0

  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    何となくふと思ったので再びコメww

    下のちずさんの提案のさ、白衣がっくんがヤンデレ化する話さ。

    memoryを次の話からルート分岐させれば上質なものができるんじゃねと思ってしまった←
    死期を悟ったがっくんが離れたくない余りルカさんを道連れにしちゃうパラレルルートww
    いやあくまで案の一つだから気にしないでもいいけどw

    2014/02/27 22:26:13

    • ゆるりー

      ゆるりー

      大歓迎ですよwww

      あ、はい。

      そ、そのネタがあったか!
      でも…あのがっくん、やけに冷静じゃないですか?
      一応救いがあるのでめっちゃ落ち着いてました。
      でも、道連れも考えておきますねw

      2014/02/28 19:50:43

  • みけねこ。

    みけねこ。

    ご意見・ご感想

    こんにちは。ゆるりーさん受験終わったんですね。よかったですね。
    これから書かれる小説を楽しみにしてます。(これから自分が受験生だろのmikecat)

    2014/02/24 14:41:28

    • ゆるりー

      ゆるりー

      ありがとうございます。
      いいものが書けるように頑張ります。
      mikecatさんも頑張ってくださいね!

      2014/02/27 18:35:20

  • しるる

    しるる

    その他

    んー?私も何もしらないです(´・A・`)
    いや、真面目にw

    なぜ、私がこたつに入っているのが好きだとか、箱で買ってきたみかんが、すぐなくなるほど食べているとか、パイの○を勝手に全部食べちゃうとか知ってるんですか?

    魔球はメジャーでも魔球と呼ばれているナックルじゃないでしょうか!

    あとIHは、ガスみたいに微調整しないで「弱火」とかをピッと押すだけの簡単なお仕事!

    ネタねー
    正直、私もほしいくらい
    「未来から来たツインテールロボットが、ポケットから秘密道具を出す」っていうのはどうでしょう
    私がこのように何かから引っ張ってくるときは、アイデアが何もないとき←

    2014/02/24 07:59:11

    • ゆるりー

      ゆるりー

      そこは話の都合…大人の事情で←

      全部私がやることを入れてみたら、まさかの一致w

      ナックル!?

      IH?って簡単なんですね!?←

      あ、じゃあ書いてみますね(!?

      2014/02/27 18:31:03

  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    (´・ω・`)……

    (´;ω;`)ブワッ

    泣いてない。前半の二人のやり取りに泣いてなんかないんだから!
    知らない知らない僕は何も知らない!←


    天然しるるさんが可愛い。
    そして●イの実の伏字が意味ない!www(お前が止めを刺している
    あと雪合戦がまさに合戦。
    でも曲がる魔球って要するにそれカーブじゃないのか?w
    (カーブは開発当初『魔球』と呼ばれていたそうです。その頃ったら他の変化球なんざなかったらしいからねえw)
    いやまぁ確かに私は異世界(ヴォカロ町)からやってきた魔王(ボーカロイドの皆様方)討伐切り込み隊長かもしれませんが(((

    え、リクエスト?
    いまのゆるりーさんの状況を吟味して、以前の深海少女やギャグピエロとは比べ物にならないリクエストしちゃうよ?(脅しか
    じゃーあ……SSとDFを持ってるんだからー……


    何気なく夜部屋の外に出たら何かの拍子でシルルスコープのスイッチが入っちゃって、
    そのまま歩いてたら夜のガールズトークにしゃれ込んでいる清花ちゃんとどっぐちゃんに出くわしたゆるりーさんの反応が見たい(おい外道

    2014/02/24 01:10:28

    • ゆるりー

      ゆるりー

      前半のやり取りは、意味があって書いてます。
      りんごならきっと解ってくれるはず(´・ω・`)
      君がもう子供じゃないことも!←

      しるるさんはしるるさんだ!←
      パイ●実美味しいじゃないですか(伏字
      しっかりとどめを刺してるwww
      合戦!
      切り込み隊長ですな!

      脅しwww
      了解です!(`・ω・´)

      2014/02/27 18:27:01

クリップボードにコピーしました