僕達の自由はじわじわと無くなっていた。
 買い物に行く時間は定められ、学校ではクラスを移される・・・・。数え切れないほどの法令が出ていた。今思えば、そんな法令マシなほうだ。
「何が起こってるのか、大体わかるよ」
僕は大きくため息をついて、カイトに話し始めた。
「アイツらは僕らが悪いみたいに言うけど、そんなの全部嘘なんだ。僕らが井 戸に毒を入れて病気を流行らせようとしたとか――ぜーんぶ嘘。そもそもなんで僕らの人種がそんなことしないといけない訳?嘘の情報なんて流しちゃってさ」
僕は近くの椅子に蹴りを入れた。ガコンッと音がして、僕の足が少し痛くなった。
「レン、何処でそんな情報仕入れたんだ?」カイトは少し眉を吊り上げた。
「別に」僕は肩をすくめた。「父さんと母さんが夜な夜な話してるのを聞いたんだっていか聞こえちゃってさ。それだけ。ただ重要なとこが聞けなかった。二人に見つかっちゃって」
「“重要なとこ”?」
「うん。なんで人種差別なんかするのか――まぁ、それが分かったからって差別がなくなるわけじゃないけど。カイト、知らない?」
「うーん・・・・」カイトは少し眉根をよせて考え込んだ。「そう――つまり・・・・こういうことじゃないかな?――近所のおじさんが言ってたけどさ――僕達って、アイツらより頭がいいんだ。それで、反乱されるのが怖いらしいよ」
「・・・・ふぅん・・・・やっぱりそうか・・・・」僕はぼんやりと遠くを見つめた。「なんでみんな仲良く出来ないんだろう・・・・?」
 そうだ。なんで?同じ人間なのに・・・・なんで僕達だけ?

 あのカイトとの会話は、まだ平和で穏やかなものだった。

 今日のおやつはなんだろうと、どうでもいいことを考えながら家へ帰る。家へついて、重いカバンを放り投げる。そして――…。
 
 僕達は兵士に捕まえられ、閉所恐怖症に襲われそうになるような、暗くて狭いトラックに押し込まれた。カイトの青い髪がちらりと見える。その隣に見える緑の髪は、きっとカイトの妹のミクだろう。
 僕はもうこのトラックの行き先を悟っていた。
 ――強制収容所だ。
 そうか。もう僕は殺されてしまうのか。それは、何処までも落ちていくような感覚だった。どこまでも、どこまでも、落ちていく。うっすら見えている穴の最後には、銀色に光る針山。その針山は、近づいてくる獲物を見て、嘲笑い、舌なめずりをする。


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  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

囚人―Prisoner―01#銀針

囚人2作目です。
章の題名は気にしないでください。造語です。
自分でも、ワケ分かんねーなこの題名って思ってます。
なんかイロイロ笑える表現とか設定とかあると思います。
カイトとミクが家族だとか。
レンとカイトが同い年だとか(そういう設定のつもりです)。
すみません。スルーしてください。

続きも読んでくださると嬉しいです。

閲覧数:2,317

投稿日:2009/04/28 15:35:10

文字数:1,005文字

カテゴリ:小説

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