《前回のあらすじ》
女子陣がバレンタインのチョコを作った(買った)よー!
男子陣にあげるらしいよー!
皆の心配がact2コンビ(というかリン)に向けられてるよー!
さて、美里はこれをどうまとめるのか!
始まりますよ!今のうちに逃げてください!
じゃあ、始めます!
「あのさ、クオ」
人が少ない場所。ミクはクオを呼び出していた。
「何?」
「あのね、…こ、これ、受け取ってほしいの!」
ミクはチョコを取り出した。
「これね、アペちゃんと一緒に作ったんだ!あの…もらってください!」
「…これを、俺に…?」
「うん…」
ミクは顔を伏せた。ミクは肩を強く抱かれている感触を感じた。
クオがミクを抱きしめた。
「ありがと、ミク」
「うん…!」
「レン!」
「何?」
「あげる!」
リン(1)はレン(2)チョコを差し出した。
「俺に…!?」
「うん!」
「リン…ありがとう!」
「えへへ、レン」
「何だ?」
「これからも、大好きだよ!」
「俺もだよ、リン!」
「あのね、レン」
アペリンはアペレンを呼び出した。
「これね、リン先輩たちと作ったの、あのね」
「何?」
「これ…あげる」
アペリンは恥ずかしそうに目を伏せながらアペレンに差し出した。
「ありがと、リン」
アペレンは優しく微笑み、アペリンを優しく包み込んだ。
「お兄ちゃん、あげる」
「あ、私からもあるよ~!」
リリィとグミはがくぽにチョコを渡した。
「これを…俺にか…!」
がくぽは目に涙をためながら、言った。
「ありがとう、二人とも!俺は、世界一幸せだ!」
リリィとグミは笑って、
「「当然!」」
「これ、あげる!」
メイコはカイトにチョコを投げつけた。
「これって…」
「チョコよ。今日、バレンタインでしょ。…って」
メイコは目を見張った。カイトの瞳が揺れていた様に、一瞬見えた!
「用件はそれだけ!」
メイコはカイトに背を向けた。が、その瞬間、動けなくなった。
メイコは気付いた。カイトに後ろから抱きつかれているのだと。
「ちょっと、離してよ!」
「メイコ」
カイトはメイコの耳元で囁いた。
「チョコ、ありがと」
「先生、あげる!」
「あ、わたしからもあるよ!」
キヨテルは手に握られた二つのチョコを見つめていた。
「先生、いつもありがとうございます」
「これからも、よろしくね!」
顔を上げると、ユキとミキの笑顔。
「ありがとう、ございます!」
キヨテルは、とても幸せそうな顔で、言った。
「今日はバレンタインよね」
「ああ、そうだな」
カイコはメイトを呼びつけ、そう切り出した。
「それに関して、思うことはないの?」
「…?何かあったか?」
(こいつ…バレンタインなのに、思うことは何もないというのか
なんか、腹が立つ!)
「って!」
カイコはメイトの腹に、チョコを押し付けた。カイコは、走り出した。
メイトは、よろけながらも
「ありがとな!」
カイコは走った。
顔を真っ赤にしながら。
「リント君、あげるね」
レンカはリントにチョコを差し出した。
「これでも、頑張ったんだよ。まあ、いつもみたいに下手だけど…」
レンカは頭を掻きながら、苦笑した。あんなに下手なチョコを、リントはいつも食べてくれる。
「これからも、よろしくね」
「ありがとう」
リントは、レンカを抱きしめ、言った。
「これからも、レンカのこと、護るから」
「「「さあ、召し上がれ!」」」
三人が出したケーキに、皆の視線が注がれた。感嘆する声が溢れた。
すごいねー、などの声が上がる。
「あ、レンカ、食べ過ぎないようにするのよ」
「はい、分かりました。今回は、七切れくらいにしておきます」
「それでも多いわ!」
レンカは首をかしげながら、ケーキをフォークでつつく。
三人は目を合わせ、笑った。
リン(2)は、まだ迷っていた。
(レンに…渡そうか。でも、結局あいつはああだし、あいつの方が絶対に上手いに決まってる…。でも、去年みたいに渡せないのは、悔しいし…ああもう、どうしよう!)
「リン」
リンは驚いた。気配が全然感じられなかった。
「何よ」
リンはそっけなく返した。気持ちを、悟られてしまいそうだったから。
「悪いけど、私、もう寝るわよ。用件なら明日にして」
リンは、内心後悔していた。また、可愛くない言い方。
「いや、何でもないよ。おやすみ」
レンが背中を向けた。部屋に帰ろうとしている。
これで、良かったんだ。どうせ、渡せはしない。どうせ、いつもみたいに、可愛くない言い方で。彼の心に届きはしない。
でも、
それでも、
気持ちを、伝えたい。
たとえ、叶わなくても。
「待って!」
レンが振り向いた。
「渡したいものがあるの!」
レンのもとに駆け寄る。
「これ、あげる」
リンは、チョコをレンに渡した。
「それだけ。じゃあ」
リンはレンに背を向けた。泣いてしまいそうだったから。涙を見られるのが、いやだったから。
しかし、リンは前へ歩くことが出来なかった。
リンは理解した。レンが、自分を抱きしめているのだと。
「これだけ待たせといて、それだけ?」
唇に柔らかいものが触れた。その感触は、数秒後に消えた。
「じゃあ」
レンは自分の部屋に戻っていった。
残されたリンは、唇にそっと触れた。
あの感触が、今でも残っている。
そして、頬を赤らめ、涙をこぼした。
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