こんど作る、絵本の中に、2つのガールズ・バンドを登場させてはどうか...。
ひらいさんのそんな提案に、コヨミ君は首をかしげた。
「“シグナル”のほかに、“キステン”も出すんですか? なぜ?」
ひらいさんは、にっこり笑って言う。
「リンちゃんのいる“シグナル”は、高校生のアマチュア・バンドよね」
「ええ」
「それで、バンドをやっていて起こる、ドタバタやゴタゴタを、お話にしよう、というのでしょう?」
コヨミ君はうなずいた。
「ですね。作者のミクさんも、そう考えてるみたいです」
彼女は続けた。
「私、思うんですけど。そこに、プロのバンドがからんでくる方が、絶対、面白いと思うのよ」
「ふーん、プロのバンド...。つまり、“キステン”の彼女たちが、ですか」
彼は、そう言って、腕を組んだ。
しばらく考えて、うなずいた。
「なるほど。アマチュアだけでなく、リアルな音楽業界のネタを、取り入れていく、ってことですね」
「そう!そうなのよ」
ひらいさんは同調する。
「そうか、それ、ありかもしれません。ボク、ミクさんに相談してみましょう」
彼は、考えながら言った。
「と、いっても、勝手にプロのバンドを、お話に出すわけにもいかないですがね...」
●よく対バンするんだ
それから2日たって。
テトさんのお店、「カフェ・ドナ」で。
カフェのテーブルをはさんで、ミクさんとリンちゃんがスマホをのぞきこんでいた。
「このバンドがそうなの?」
「うん、そうだよ」
ミクさんの問いに、スマホの画面をすべらせるリンちゃん。
「ライブハウスとかで、よく対バンするんだよ、うちら」
「対バン、って何?」
「あ、ごめん。共演することだよ。ステージに順番に出たりね」
ミクさんはうなずいて、リンちゃんのスマホの画像を見る。
「リンちゃん、仲良いの?この“キステン”さんたちと」
「そうだね。まあ仲良しだよ。この3人とはさ」
「3人のガールズ・バンドなんだ」
リンちゃんが拡大した画面には、カジュアルでスポーティーな格好をしたメンバーたちが写っている。
「そうだよ。3人なんだ、彼女たちは。うちは、4人なんだけど」
ミクさんは、うなずく。
「うん、知ってる。リンちゃんのシグナルは、4人編成よね」
「うん。キステンは3人なの。音楽性もちょっと違うけどね。でも、よく話したり、たまにご飯食べたりする」
●似てる、似てる...
そう答えるリンちゃんに、ミクさんは言った。
「こんどの絵本の主人公を、あなたたちシグナルにしたいんだけどね。で、コヨミさんがいうには...」
リンちゃんは、うなずいて言った。
「ああ、聞いた聞いた。うちらと、“キステン”の彼女たちとの、“からみ”とかを、お話にしたい、って」
「どう思う?リンちゃんは」
ミクさんの問いに、彼女はうなずく。
「面白いんじゃないの? メジャー・デビューしたんだよ、キステンは。うちらの、目標のバンドのひとつでもあるんだ」
「うーん。ちょっと良いかもね」
ミクさんは、目を大きく開いて、うで組みをした。
「でも、キステンのメンバーが、なんて言うかしら」
「あたし、今度話してみようか。彼女たちに」
「相談、できるの?」
リンちゃんは、言われてスマホの画面をまた拡大する。
「ほら、この子。みおちゃん。けっこう仲がいいんだ。あたし」
野球帽をかぶって、ギターを抱えた女の子がいる。リンちゃんは続けた。
「わりと、気が強くて、じゃじゃ馬なんだけどね。意外と、しっかりしてるのよ」
ミクさんは、それを聞いて微笑んで言った。
「気が合うんだね、あなたと」
「そうなのよ」
「きっと、似てるとこがあるのね」
リンちゃんは、大きくうなずいた。
「そうなの!しっかり者なんだよ、けっこうあたしも」
うなずきつつ、ミクさんは心の中で思った。
「似てる似てる。でも、じゃじゃ馬、ってところ、ね」m(。・ε・。)m
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