「め・・・珍しい事もあるんだね・・・。レンから家来る? なんて」
如何言う風の吹き回し? とリンに問われ、ただ何となく、と応えると幼馴染は フゥン、と不思議がりながらもレンの言う事に同意した。
「んじゃさ、前みたいに入るから窓、開けといてよ」
「了解」
それじゃ、と互いの家の前で別れるとそれぞれの家に入っていった。トントン、と階段を上り、自分の部屋のドアを開ける。そして荷物をドサリと床の上に置くとガラリ、と窓を開いた。其処からはリンの部屋が丁度向かい合う様にしてあり、窓越しにリンがレンと同じ様に荷物を床の上に置き、窓を開く様子が伺えた。そしてリンは窓を全開に開き、タン、と足を縁にかけ、レンの窓目掛けて一気に飛び込んできた。
「うっお、危ねーな、おい!」
その飛び込んできた体を受け止めながらレンが言うと「喧しいわ!」と言うリンの声と共にゴチン、と頭突きを喰らわされた。
「いってーな・・・。ったく・・・。にしても、懐かしいな、これ。小さい頃は良くこんな風にリンを受け止めてたなぁ・・・」
ま、流石に今やるのはちょっと恥ずかしいけどな、と付け足してレンはリンをトン、と床に降ろす。リンはパタパタとスカートの埃を払う様な仕草をしてから「ま、そうだよね」と言った。
「あたしが転校するまでこういう風にレンの家に出入りしてたもんね・・・。てか、あたしがレンの家にちゃんと玄関から来た事無いんじゃないかな?」
クスリ、と苦笑いを浮かべながらリンは言った。リンとレンの家は小さい頃からずっと隣同士で、特にリンとレンの部屋が其々窓越しに向かい合う様にしてあるのでリンはレンに用事がある時は窓を開いて先程の様に入ってくるのが普通になっていた。因みにレンがリンの家にリンと同じ様な方法で入って来る事は殆ど無かったが。
「あー、無いんじゃね? 強いて言うならリンが引っ越す日ん時、位かな?」
刹那、レンの表情が寂しそうになったが一瞬の事だったのでリンは気付く事はなかった。
「、そ、だね」
少しだけ言葉に詰まりながらもそれを悟られぬ様に勤めて明るくリンは言った。
「・・・で、如何する?」
「それをあたしに聞くのかよ」
「・・・・・・・・・」
「何故に三点リーダーで応えるかな? 作者が好きな本に出てくる紅い人、人類最強じゃないんだからさ」
「それ絶対知ってる人にはバレるネタだろ。人類最強で紅い、なんて」
「しょうがないよ、今作者ネタ切れ中なのにこれ書いてるんだから」
事実です。ネタが無いです。助けて下さい(←
「・・・。まぁこんな風に駄弁ってても埒明かないし・・・。夕飯食ってく?」
「あ、食べる食べる。一人だから如何も勝手が分かんなくてねー」
よっしゃ、これで夕飯代浮いたな、とリンが心中で思ったのは此処だけの話であるが。
「えーと、冷蔵庫ん中、何があったっけっかな・・・。ちょっと見てくるわ。此処にいて」
スクッと立ち上がり、レンは部屋を出て行った。パタン、とドアが閉まり一人ポツネンと残されたリンは改めてレンの部屋をグルリと見回した。男子にしては綺麗に片付いた部屋。荷物は雑に置いてあるが、何処に何があるか、等は分かりやすい様に工夫されていた。
机の上も綺麗に整頓されており、きちっと教科書等が並んでいた。
「レン、几帳面だなー。昔と変わんない」
くす、と懐かしそうにリンは笑った。そしてふと机の上にポツン、と置かれている二つの写真立てが目に入った。ス、とそれらを手に取り、写真を見る。一枚はミクやネル、リンとレンが写っている写真だった。リンとレンは空手着を着ていて、手に手に賞状らしき物を持っている。微かに見えるそれには「全国空手大会 女子の部 準優勝」と書かれていた。レンの物には同じく男子の部で優勝と書かれていた。
「八年前のだ・・・。良くこんなの取っといてたな・・・」
ミク姉変わんない、と呟いたその写真の中でミクは袴姿に手に竹刀を持って笑顔で写っていた。・・・若干その竹刀に赤いモノが付いていた様に見えたのは気の所為だと言う事にしておこう。ネルは何時もの仏頂面で呆れた顔をしながらミクを見ていた。こちらも同じく袴姿である。
そして、もう一枚の写真。それには二人の人物しか写っていなかった。これも恐らく八歳位の事の写真だろう、写っているのはレンともう一人は――
「あたし・・・?」
リンだった。二人、仲良く並んで子供特有の無邪気な笑顔を浮かべて写真に納まっていた。その手は互いをしっかりと握り締めていて。
「こんな写真、飾ってたんだ・・・・・・・・・」
カァ、と自分の顔が熱くなっていく気がした。多分、赤くなってるな、とリンは直感的に悟った。
でも何でこんな写真が此処に―――?
そう思い始めた時、ガチャリとドアが開き、
「リン、夕飯、生姜焼きとサラダで良い?」
と言うレンの声が入って来た。思わず写真立てを落としそうになったがそれを何とか堪える事が出来た。安心して、リンは フゥ、と息を付いた。
「? どしたの、リン」
「ん? いやっ、何もっ!」
あはは~、と誤魔化す様な笑い声を上げながらリンは応える。レンは覗かせている頭を不思議そうに傾げた後、「ま、良っか」と呟いた。
「んじゃさ、リン手伝ってくんない?」
「あ、オッケー。分かった」
コトリ、と写真立てを机の上に置き、リンは部屋から出て行った。パタン、とドアが閉まるとふいに写真立てがパタリと倒れた。
その写真の中では、リンとレンが仲良く笑いながら互いの手をしっかりと握り合っている図が映し出されていた。
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