(前話末文より)
チンシャン:名前とやったことだけになるが、その『カリマ』という博士が、我々、テイマーやギアを研究開発し、そして、この国や我々近隣国を巻き込んだ大乱を引き起こすように政府に力を与えた、全ての『元凶』。そう言い伝えにあるからだよ。その運動が、アキバから始まったそうだ
ルカ姫、イア:え・・・・・・えぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!
<Dear My Friends!第2期 第33話 カリマ博士>
~暫しの沈黙~
イア、ルカ姫:・・・・・
チンシャン:す、すまなかった。君たちの大切な“思い出作り”の旅なのに、水を差す話を持ち出してきて…、忘れてくれ。さぁ、どこに行きたいか?
ルカ姫:・・・・いえ、そのお話、チンシャンさんが知っている範囲で、教えてください
チンシャン:・・・いいのか? せっかくの息抜き旅なんだぞ?
ルカ姫だけでなく、イアも首を縦に振った。
チンシャン:…そうか。では知っている範囲で話す事にしよう。だが、車中ではダメだ。そうだな…
そういうとチンシャンは車を道の横に寄せて停車し、タブレット端末で何かを検索し始めた。
ルカ姫:? 何を調べているんですか?
チンシャン:グルメマップだ。こんな時代でも、旨いモノを出す民間人の店はあるのでな。だいたいのルートはわかるが、一応ルート検索しているのだ
イア:なんのメニューのお店なんですか?
チンシャンは珍しくニコニコしながら、自慢げに答えた。
チンシャン:『ラーメン』だ
イアは驚き、ルカ姫は大喜びした!
ルカ姫:やっっっっっったぁ~! あの時、アキバの街道沿いで美味しそうだったけど、お金を持ってなかったから、ケバブと同じく食べられなかったんだよねぇ~♪
イア:この時代でもあるんですか!?
チンシャン:ある。『超大勝拳』というお店で、コッテリ醤油豚骨の店だ。自慢のチャーシューが絶品だぞ? って、私は何食べても太らないが、イアとルカ姫は、そこの所、大丈夫か?
イアもルカ姫も無言でガッツポーズを出した。
イア:私は、その、作られた立場なんですが、どうやら、元の“イアちゃん人形”の設定が、太らない体質だったらしくて…
ルカ姫:私も大概は太らないけど、太っても冒険して痩せます!
チンシャンは大人の笑みを浮かべて、GOをかけた。
チンシャン:いい覚悟だ。では、食べに行こう! そこで会食しながら、話をしよう。食べながらの方が、いい話だと思う。それに、女3人の食事も、たまにはいいだろう♪
イア&ルカ姫:Go! Go!
こうして、一応息抜きの旅を継続する形で、肝心の核心の話に入る事になった。
***
(ヤマト国 某所 民間人経営のラーメン店『超大勝拳』)
ずぞぞぞぞぞぞ…
3人はカウンターに並んで座って、名物の『超大勝ラーメン』をすすっていた。
チンシャン:うむ、やはり旨いな、ここは
イア:おいしーーーーーい!
ルカ姫:旨い! 旨い! 旨い! 旨い!
チンシャン:それにしても、ラーメンの流儀“音を立ててすする”を、アキバの人形から作られたイアはともかく、姫様である“ルカ姫”が知っていたとはなぁ
ルカ姫:アキバに行ったとき、店を眺めていて見えたお客さんが、そういう風に食べていたので、知ってましたの。おほほ♪
イア:ルカ姫、取り繕っても、もう遅いよ…
チンシャンは女の子らしい笑顔でニコっと笑って、追加の替え玉3人分を頼み、最初に注文しておいた“餃子3人分”を受け取った。
チンシャン:では、これでも食べながら聞いて欲しい。あの『カリマ博士』の話をそろそろ始める
イアもルカ姫も、とりあえず麺がなくなったラーメンを食べるのをやめて、出てきた餃子をつまみながら、チンシャンの話を聞くことにした。
***
チンシャン:あくまで言い伝えの範囲になる。カリマ博士はあの当時のアキバのどこかで、我々テイマーとギアの研究をしていたそうだ。動機は知らないが、その研究成果を政府に提示して、それでこんな世界になったのだから、『不純な動機』、だったのは想像できるな
ルカ姫は箸で餃子を口に放り込んで、文句たらたらでチンシャンに意見を述べた。
ルカ姫:っっっったく、なんて“大迷惑オタク博士”よ! 静かにゲームとかアニメとかフィギュアとかやってりゃいいのに、こんな世界が大混乱するような事、しでかして!
チンシャン:しっっかし、ルカ姫は当時のアキバの事、本当によく知っているな?
ルカ姫:まぁ、違う世界の過去だったとしても、時間軸は同じよね。あの時、ほんと、困ったんだから。私の国の通貨が使えなくて、お腹すいて、あっちゃこっちゃ“たらい回し”にされて、最後に、あのフィギュアとかゲームとかを買い取る店で、懇願したんだから、もう!
イア:まぁ、それで、今の私がいるんですけどね。あの時、勘違いしたミクさんが、ざらっと台の上にあったルカ姫の私物も店のモノも、かき集めてルカ姫の袋に入れちゃったから…
ルカ姫:ま、まぁ、そうなんだけど…。と、とりあえず、その博士、許すまじ!
冷や汗を一つかいたチンシャンは、同じく餃子を食べて、話を続けた。
チンシャン:提案されて受け入れた、当時の政府の記録から、どうやら“ギア”ありきだったらしい。テイマーの数が増えたのは、記録ではその後だ。おそらくはテイマーの育成だけは、カリマ博士だけでは難しかったのだろう。政府という国の金が必要だった、とも言える。ギア研究が先ということは、博士は、ギアとテイマーが1つになった研究より、機械いじりの方は好きだったのだろう。ただ、行きすぎた機械オタクだった事は、言うまでも無い
イア:ま、まぁ、男の子って、そんなものでしょ? 程度は大問題だったけど…
ルカ姫:ったく、その“趣味”で、こんな世界にしちゃうなら、それは趣味ではないよ…
チンシャン:うむ。で、政府に売り込んだカリマ博士は、その後は政府機関の研究トップになったらしい。そして研究者らしい、美味しい話を、政治屋に囁いて、まぁ悪魔のささやきだな、政府も方向がどんどんやばい方向に変わっていって…
ここでイアは不思議に思ったので、水を一杯飲んでから、チンシャンに質問した。
イア:あれ? 今の状況って、どうみても隣国有利でしょ? この国の政府に力を貸したなら、今の戦局って逆なんじゃ…
チンシャンはプリプリ怒って、餃子を口に投げ入れて、一番言いたかった事を口に出した。
チンシャン:その博士な、この国の研究トップになるだけでなく、アンダーグラウンドで、研究成果を他国にも売っていたんだよ! 特に欲しかった我が国である隣国は、金と人間に物を言わせて、この国のテイマーとギアの技術より遙かに良いモノを作って、あの時代より先の時代に攻めいって、この国と交戦状態になったんだよ。今の時代まで引きずっているんだから、相当、ギアとテイマーの技術というのは、奥の深い研究内容だったのだろう
イアとルカ姫は、ゴクリとつばを飲み込んだ。
チンシャン:広い海を渡った大国には、技術を渡さなかったらしい。おそらくだが、テイマーやギアを知らなかったルカ姫の国こそ、その“大国”の未来だったのかもしれない。これは憶測だが、あれだけ、この国と近隣諸国が問題視していたのに、知らない国があった事を考えると、そうなると思う
イア:あの大国の未来が、ルカ姫の国かぁ~。なんで、ファンタジーRPGみたいな国に戻っちゃったんだろうね?
ルカ姫:少なくても、テイマーとギアで戦争状態になる国なるよりは。アフスとかフォーリナー程度の軍政国家とつきあっている方が数倍いいから、今のでいいよ…
そういうと、イアもルカ姫も、また替え玉の入ったラーメンをすすり始めた。少し、気分が滅入ってきたようだ。
チンシャン:すまない、具体的な話と私の憶測はこの程度だ。詳しい事は、私も同行して、“その現場”、に行って、確認する事にするよ
ルカ姫:私もマジマジと見てやるよ、そのカリマ博士ってヤツ!
ずぞぞぞぞぞぞ
3人はラーメンをすすって、会食を終わりにしたのでした。
(続く)
CAST
イア:IA-ARIA ON THE PLANETES-
ルカ姫:巡音ルカ
チンシャン:某女性中華ボカロ
その他:エキストラの皆さん
Dear My Friends!第2期 第33話 カリマ博士
☆オリジナル作品第16弾である、「Dear My Friends!第2期」の第33話です。
☆前話で飛び出した、全ての元凶『カリマ博士』に関して、チンシャンが知っている内容です。
***
私がここに投稿したボカロ小説のシリーズ目次の第1回目です。第1作目の“きのこ研究所”~第8作目の“部室棟”+番外編1作目です。
作品目次(2009/12/25時点):http://piapro.jp/t/5Qsh
同じく、目次の第2回目です。第9作目“鏡音伝”~第15作目“ルカの受難”の途中までです。
作品目次(2010年1月6日~2012年2月7日):http://piapro.jp/t/9GY1
更に、完結した『Dear My Friends! ルカの受難』のみの目次も作りました。
作品目次(Dear My Friends! ルカの受難):http://piapro.jp/t/qj6A
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