「鏡音の女泣かせ」
 アタシはぼそっと言った。先程までの様子を教室の中から見ていた。きっと初音も、泣いているだろう。
「人聞きの悪い。……実際、そうなんだろうけど」
 ぽつりと廊下に立つ鏡音は言い返した。
「そうでしょ。リンだって、初音だって、あんたの所為で泣いてる。わかってる癖に」
 二人の気持ちだって知ってる癖に。そう毒づいた。
「わかってるよ。ミクを傷つけたことも、リンさんを悲しませてることも」
「わかってるんだったら……いい加減にしてよね。恋がどういうものかわからないって? あんたは、自分がリンを好きかどうか確かめたかっただけでしょ。どうして」
 アタシは鏡音に詰め寄る。日はもう暮れて、暗くなってるから顔はよく見えない。
 何度リンが泣いているところを見ただろう。何度無理して笑う初音の姿を見ただろう。彼女は隣のクラスだけど、鏡音に会いによく来ている。すぐに、そんなのわかる。
 アタシの家で、リンは声を押し殺して、嗚咽を漏らさないで泣いていた。学校では、まるで気にしていない様な、涼しげな表情をしているけど、やっぱり、家だと耐えられていないみたい。学校で鏡音と接しているリンはちょっとわからない。どうしても、泣き顔は見られたくない。いつかそう言っていたのを思い出した。
「たとえ、どんなことがあっても……アタシはあんたが大嫌い」
 アタシはそう鏡音に告げた。薄暗い廊下で、鏡音が頷いたのが分かった。
「それだけの事、したからね」
「でも……リンは、あんたのこと好きだから」
「うん」
「だから……―――」
 アタシは鏡音を見た。暗いけど、その目が真剣にこっちを見ているのが分かった。
「絶対、幸せに、するよ。もう、悲しませたりなんかしない」
 そう言って、鏡音は笑った。
 その笑顔に何も言えなくて、アタシはリンが待っている玄関へと足を運んだ。
 そう言ったんだから、実現しなさいよね。
 心の中でアタシはつぶやいた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

彼女なんかより3 Gumi side

グミ視点です。
アタシキャラ可愛いなと思ってそういう一人称にしました。
今回は短いですが、書いていて思ったのが
「……レンひでえ」
です。

閲覧数:298

投稿日:2012/08/08 03:19:21

文字数:819文字

カテゴリ:小説

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  • 目白皐月

    目白皐月

    ご意見・ご感想

     こんにちは、目白皐月です。

     えーと……グミ、一度ひっぱたいても良かったのでは……。そんな気がします。外野が口を挟んでしまうとややこしくなるので、あまりお勧めはできないんですが……。

     このお話はまだ続くのでしょうか? それともここで終わりなのでしょうか?

    2012/07/18 00:00:09

    • 水乃

      水乃

      こんにちは、目白皐月さん。メッセージありがとうございます。

      …!ひっぱたかせるのを忘れていました。この話のレンならば殴られても文句は言えないでしょうね。グミにやらせると、百発殴ったところでも済みそうにないんですが。

      続けようと思っています。ただ、この話的にも個人的にも長くはしないつもりです。というか、レンもどうにかしないと、グミの言うとおり本当に「ただの女を泣かせる男」になってしまうので。

      2012/07/18 09:57:32

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