#5「HUNT-ハント」
HUNT(動・他):(動物・鳥などを)……狩る、狩猟する
小さな女の子とはいえ、グミの異形の姿を見られてしまった
グミは私のことをじっと見つめている
グミの言いたいことは、私にもわかる……
「ご、ごめん……でも……」
私が言いかけた状態で、グミが人間の形に戻って、近づいてくる
そして……ニコリと笑った
「ううん……リリィが決めたなら、私は従うよ。」
従う……か……
「ねぇ、グミにとって、私って何?」
「救世主です」
ニコリと笑ったグミだったが、また敬語になっていた
「そう……」
私のほしかった答えもそれじゃない……
「では、はやくここから離れましょう。ここはもう危険です」
「グミ、私に敬語を使わないで……」
私はたき火の後を片付けながら、グミに冷ややかにそういった
「ん?あぁそうか。まぁ、確かにリリィの記憶的に敬語は違和感あるんだろうね」
苦笑いのグミ
「グミは、ずっと昔から私を知っているような言い方するよね?」
「……リリィは気づいてないんだけど、リリィはここ三年しか生きてないんだよ」
グミの言葉に私は違和感と疑問しか抱かなかった
「何言ってるの?私とグミは、小さいときから一緒で………………」
……何も思い出せない
「私の一族はね……情報操作が得意なの。リリィが両親は生きていると思ってたことや、私と幼馴染ということも、私が作った記憶……覚醒の時に中途半端に解けちゃったみたい」
淡々と話すグミ……やはり、このグミはグミの皮をかぶった別人だと感じる
「リリィは永い眠りで力を蓄えていた……そして、三年前、動けるようになった」
グミの目が真剣で……怖くて……
「でも、まだ力は不十分で……だから、私は情報操作を行って、あなたが人間のリリィとして、覚醒の時が来る時を待つことにした」
グミが私をみている……けれど、グミは私ではなく、私の中のものにしか興味がないのではないかと感じる
「けれど、思ったよりも全然早く覚醒して驚いたよ。また何百年も待たなきゃいけないのかと思ってたから」
グミが空を見上げる……
「だから……早く決心して、私を食べてね?」
私に近づいて、ニコリと笑った…………もはや、その笑顔も偽物なのだろうと感じるほどに、グミが遠い存在になりつつあった
私たちは住み慣れた街から遠ざかり、隣の街までやってきた
しかし……そこで見たものは……
十字架にはりつけにされた、異形の者の姿だった
姿は男の人のようだが、ぐったりとして動かなかった
「あ、あの……あの人は?」
私は通りかかったその街の住人に話しかけた
「ああ、あれかい?あれは化けもんだよ。見てみなよ、あの醜い姿を……いままで、私らをだまして、そこの家に住んでたんだよ!きっと、頃合いをみて、私らを食べる気だったんだ!」
その言葉をきいて、私の後ろで必死に怒りをおさえ震えているグミ
「まったく……街の守備隊の人たちもはやくあんなもの、捨てるなり、燃やすなりして、処分してほしいよ」
その言葉が言い終わると同時に、私の後ろにいたはずのグミが私の前にいた
しかも……異形の姿で……
「あの人が何をした!私らが何をした!あんたもあの人がされたことと同じことしてやる!!」
グミの叫びがあたりに響き、グミの姿が周りの人たちに認知される
「わあああ!!あ、あいつも化けもんだ!」
「食われるぞ!逃げろ!」
「早く守備隊を呼んできて!」
散り散りになる街の人たち
「グミ!やめなよ!」
「うるさい!!」
私を吹き飛ばして、グミが吠える
「おい、お前、何やってるんだ!早く逃げるんだ!こっちだ!」
私の手を無理やり引いて走る、見知らぬ男性
私はどうすることもできないまま、グミと引きはがされてしまった……
そして……それと共に発砲音が複数して、グミが倒れたのだった
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2013/12/13 14:35:15