古本屋さんのとなりのクリーニング屋さんは
自転車屋さんのとなりの花屋さんに似てゐる
その向かひ側にある茶色い三角屋根の家は
つたがからまつて何のお店の看板なのかわからない

サッカーができる位の広さのがらんとしたお店の中は
ジャンケンすらできないほどの冷たい空気が流れてる
ぼくがお店の人を探してくる5分や10分の間に
雪が積もつて隠されてゆく小さな入り口のドア

探すことはないと言つただらう
目立つ所に置いておくから
ぼくの居る所からぢや見えない
箱に入つた青い空

シャッターががつちりと閉まつた山のふもとの倉庫には
昭和初期の相撲の雑誌のバックナンバーが揃つてゐる
引き出しと戸棚が一緒になつた古びた大きな家具や
背中に乗れさうな海亀の大きな甲羅まである

昔ごはんを詰めてたブリキの弁当箱を探したけれど
雨漏りを直した天井板の切れつ端しか見つからない
ブリキの弁当箱以外の物は何でもここに揃つてゐるのに
ぼくが見つけたのはヘコヘコになつた自転車の車輪だけだつた

探すことはないと言つただらう
目立つ所に立つてゐるから
君の居る所からぢや見えない
箱に入つた青い空

探すことはないと言つただらう
目立つ所に置いておくから
ぼくの居る所からぢや見えない
箱に入つた青い空

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箱の中の青空

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投稿日:2017/08/31 01:56:17

文字数:540文字

カテゴリ:歌詞

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