密さんの名前を出されて次の言葉が出なかった。何て言えば良いのかとか、何が言いたいのかとか、頭が真っ白になった。助けてくれて、側に居てくれて、我が侭まで聞いてくれて、凄く迷惑掛けてるのに一緒に居てくれるのが嬉しくて、安心するけどドキドキして…密さんなら私多分何されたって嫌じゃないと思う位…。

「真っ赤…。」
「…っ!!もう降りて下さい!大体何でこんな…!」
「好きだから。」
「嘘吐かないで下さい!私なんか好きになる人居る筈無い!」
「何で?」
「だって…!」

誰かに好きだと言われた事は無かった。お父様にも、お母様にも愛されてるとは思わなかった。お兄ちゃんは大好きだったけど、時々恐いなって思う事もあった、学校では誰も話し掛けて来なかった、外に出るなってバイトもした事無くて、本当は今だって他の皆と何を話して良いのかすらよく判らない。居心地が良いのが嬉しくて嬉しくて、だけど堪らなく恐くて恐くて、側に居てくれるのが嘘じゃないかと思って昨日も部屋から逃げ出してた。

「判らない…から…。」
「どう見てもベタ惚れだと思うけどね~。あんなに怒ったの実は初めて見たし。」

どうしたら良いのか本当に判らない…姿が見えないだけで直ぐに寂しくなって、側に居たくて、抱き締めて欲しくなるの。子供みたいに甘やかして欲しくて堪らなくなるの。私おかしいよ…こんな事言えないよ…言ったら絶対嫌われる!

「…私を好きになる人なんか居ません…。」
「居るよ。」

言えないよ…そんな自信これっぽっちも無い、私密さんに何も返せない、何も持ってない、私を好きになって欲しいって思うだけでも恐い位、私何も出来ない…。

「…何で泣くの?」
「嘘吐き…。」
「嘘じゃないって、外見好きって言ったでしょ?」
「気持ち悪いって思ってます…。」
「思ってない。」
「嘘!」

ウサギさんは起き上がるとマスクを解いてこっちに向き直った。

「嘘じゃない。」
「信じられないんです…!誰も…自分も…何も信じられないんです…!」
「嘘じゃないよ…。」

触れそうな程顔が近付けられた時、後ろから声がした。

「ああ、花壇さん此処でしたか。」
「うわ?!」
「痛っ…!」
「大丈夫ですか?」
「ハレルヤさん…。」

突き飛ばされて後頭部思いっ切り木にぶつけた…普通に痛い…この人やっぱり意味判んない…。

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DollsGame-41.八重撫子-

勇者ハレルヤ

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投稿日:2010/08/01 17:25:21

文字数:983文字

カテゴリ:小説

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