日曜日の午後。
キディディ・ランドの「雑貨コーナー」で、店長のカイくんが商品を並べていると、
お店にデフォ子さんとルカさんがやってきた。

お店には玩具だけでなく、木製のナチュラルなスプーンやフォーク、おしゃれなキッチン用品も置いてある。
「かわいいキッチン・グッズね」
ルカさんは目を輝かせた。
「このごろは私、お昼のお弁当も家で作って持っていくのよ」
と、ランチボックスを手に取ったりする。
「自分で料理すると、健康に気を配れるから、いいよね」
「そうね」「ええ」
デフォ子さんと、カイくんはうなずいた。

●体にいいものは?

「ねえ、デフォちゃん、さいきんおススメの、体にいい食べ物ってある?」
ルカさんはデフォ子さんに聞いた。
「それは、やはり、野菜ジュースね」
売場のスタッフのミクちゃんが、とつぜん口を挟んだので、3人はビックリした。

「野菜ジュース?どんなものを使えばいいのかしら」
ミクちゃんに、デフォ子さんがたずねた。
「ええと、やっぱり緑の野菜、あとニンジンと果物をまぜるとか」
ミクちゃんは説明する。
「そうそう、ゴーヤーなんかもいいみたい」
「ゴーヤー?」
「南国の沖縄の味、というか。ちょっとニガイけど。パワーがあふれてくるみたいなの」

ルカさんとデフォ子さんは、「ふうん」と思った。
そして2人は帰りがけに、デパ地下で新鮮な野菜を買って、試してみようと思った。

●レッツ・トライ!

その日の夜、デフォ子さんは買ってきた野菜を並べて、家にあるジューサーでさっそく野菜ジュースを作ってみた。
トマト、ニンジン、リンゴ、セロリ、ゴーヤー。
いくつかを混ぜて飲んでみる。
デフォ子さんはそんなにグルメではないので、どれもわりとスイスイ飲める。

「そうだ」
彼女は思いついて、台所にあるキャベツを混ぜて、ジュースを作ってみた。
キャベツを混ぜると、青物の味が出て、飲みにくくなることもある。
でも、デフォ子さんは「体にいいかな」と思ってぜんぶ飲んでしまった。

●沖縄のリズムが...

いっぽう、ルカさんはデパ地下で、ゴーヤーをたくさん買い込んだ。
家に帰ってさっそく、ゴーヤー・ジュースを作ってみた。
うん、おいしい。
でも、ちょっとニガイな。
レモンをたらすと、少しニガ味が消える。

でも、何か足りない。
そこで、冷蔵庫にあった、お酒のウオッカを入れて飲んでみた。
けっこうイケる。
彼女はウオッカとゴーヤーの配合の量を変えて、いろいろ試してみた。

次の日。
ルカさんは、ひどい二日酔いになってしまった。
重い頭で、職場にたどりつく。
歩くと、バランスを崩してよろめいて、フラッと回ったりする。
両手を広げてふらつくので、危なっかしい。なんだか踊ってるみたい。

まわりの人は、彼女が二日酔いと知って、
「おや、ルカさん、優雅だね。琉球の踊り?」
と、ひやかした。

素直なルカさんは思った。
おや、はやくもゴーヤーの効果が...。
「そうなの。私、体の中から沖縄のリズムが生まれてるの」

(...ちがうって)┐(´-`)┌

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玩具屋カイくんの販売日誌 (23) デフォ子さん、ルカさんと野菜ジュース

うーん、おいしい、もう1杯!

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投稿日:2009/09/19 11:34:01

文字数:1,285文字

カテゴリ:小説

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