――ここから堕ちましょうよ。
*
ざわざわとうるさい駅のホーム、そこに「彼女」は居た。
今日、自分と落ちるはずの少女と会うために。
鮮やかなピンク色は、スーツの黒の中で否応なしに目立つ。
人を惹きつけるような美しさを持つその女性は、バックから携帯を取り出しいじる。
その口元は小さく微笑んでいた。それはとても綺麗な笑顔だったが、同時に人間味を感じさせない。
――最近はつまらない。
「彼女」はいつもそう思っていた。だからこそ、あんなスレを立てたのだ。
そしてそれに食いついた、一人の少女。
「私、一緒に行きます」
そんな簡潔な一文を残して、二人の共犯関係は始まり、そして今日一日で終わる。
今日の電車に乗るのは最終になるかもしれないと、そんな下らない事を考えながら、
今から会う少女の顔を思い浮かべた。
全然良いこともないし、ねえ、その手を引いてみようか?
*
「ねえ、どうせならここから飛び降りない?」
さっきまで泣きじゃくっていた目の前の少女は、とたんに目を丸くさせた。
少女は彼女にすべてを吐き出した。自分が孤独だったこと、友達も信じる人ももういないということ。
そして、自分の背中に腕を回した時に見えた、手首に刻まれた傷跡の数々。
だから少女は、彼女に自分の命を預けた。
けれど、目の前の少女は疑惑に瞳を揺らしていた。
「彼女」は、そんな少女を見やり少し心がさめかけていた。
さっきの言葉も、手首の傷も。すべて見た後で、期待していたのに。
結局この子も今までと同じ、なのだろうか?
いまだに小さく震える少女に、優しく囁き掛ける。
「あなたは、周りと同じことができないのでしょう?ならいいじゃない、あんなつまらない人たちのことなんて考えずに」
少女はピクリと肩を震わせる。
あえぐように口を動かしかけて、またためらうように口を閉ざす。
畳み掛けるように、「彼女」は言葉を吐き出す。
「人とあわせるわけが、わからないのよね?あいつらが大嫌いなのに、なぜここでためらうの?」
そんなわがまま、疲れちゃう。
大げさに、お手上げのポーズをとる彼女を、少女はいろいろな感情が交錯する瞳で見つめる。
ワールズエンド・ダンスホール<2>
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