ジリジリジリ、と枕元でけたたましい音が鳴り響き、
薄暗い部屋に朝を告げる。
俺はもぞもぞ起き出して目覚ましを止めると、
二度寝しようとまた布団に潜り込む。
が、5分後には今日の予定を思い出して、俺は慌ててはね起きた。
それから顔を洗おうと寝室を出ると、ミクは既に起き出して朝飯を作っていた。
「おはようございますマスター」
「あぁ、おはようミク。早いな。俺も早起きしたのに」
「なんか目が覚めちゃって」
ミクはそう言うと恥ずかしそうに笑って、また料理にかかった。
俺はそうかと返事を返して、そのまま洗面所に足を向ける。
バシャバシャと顔を洗い、目の前の鏡に映る自分を見つめる。
「今日が最後……ミクに良い想い出を作ってやる。悔いの残らない様に……」
確認する様にそう呟くと、俺は洗面所を出た。
それからミクの作った朝飯を食べる。
食べ終わった後はすぐに出掛ける準備をして、
起きてから1時間も経った頃にはいつでも出掛けれる状態になっていた。
俺は出掛ける前に、昨日ミクに出していた宿題の答えを聞く事にした。
「なぁミク。そういえば昨日の宿題にしてた行きたい場所は決まったのか?」
「はい!私テレビとか見て、あの後ちゃんと考えましたよ!」
ミクは両手を腰に当てて、小さな胸を得意げに反らしながら言った。
俺はすっかり褒める時の恒例になった、ミクの頭を撫でながら笑う。
「で、どこにしたんだ?」
「遊園地です!」
「遊園地?」
「はい。昨日テレビで特集してて、行きたいなって……」
ミクはもじもじと言いにくそうに言う。
「駄目ですか……?」
ミクが哀しげな顔で俺を見上げる。
俺はまさかと首を振った。
「ミクが行きたい所ならどこでも良いって言ったろ?良いに決まってるじゃないか」
元々情報収集に出掛けた時も、
ミクが選びそうな場所に遊園地は入れていたので問題は少しもない。
俺がそう言うと、ミクはパッと花を咲かせる様な笑顔になって喜んだ。
「じゃあ早速行くか、遊園地」
「はい!」
そうして俺達は家を出た。
天気は快晴。
今日は楽しい一日になりそうな予感がした。
―ミクの初期化リセットまで
残り、14時間……。
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