ドスンッ！
　ドスン?ドスンッてなに？ってか、痛い！ひりひりする～。
　なんなのよ～。って、あれ？ここ・・・どこ？
　ヘンなとこ～。レンガ・・・てか、どっちかというと四角い岩の家に、色とりどりの宝石の装飾。マブシ～！
　切り絵みたいな月と星が輝く、夜空。ん？なんか、飛んでる？飛んでるよね！？
鳥じゃない。鳥じゃなくて、ヒト！ホウキに乗った人！
　うわ～。とうとう、いかれたか・・・。やばいなぁ～。
　いや、まだ救いはある！これは夢である！そうだ！
　でも・・・痛い。それに・・・リアルすぎる。
　ってか！何この服！コ・・・コスプレ！？魔女っ子のコスプレ！？ご丁寧に、ホウキとネコの人形まで。
　は・・・恥ずかしい。
「つったてると、邪魔なんだけど。」
あ゛！？だぁ～たら、この状況を説明しろや(T_T)このあほんだ・・・・・・か・・・カッチョイイ！！
　私と同じくらいかな？この少年！金髪をひとつに結ってる、この少年！ウェイターを連想させる服を、だらしなく着こなしている、この少年！所々に巻いている包帯のせいでゾンビに見える、この少年！
　私、アリスは、一目惚れが多いですが、きっとこの少年が運命のお相手！
「きいてる？」
あきれ顔もオールOK！ 私は一発KO！ぐはぁ・・・！ちっ手強いぜ・・・！
　・・・あぁ～、いかないで～。
　きゃぁ～！思わず腕つかんじゃったよ～！！
　あっ、驚いてる。いや、そうだよね。
「えっとぉ～」
「なに？」
何と言われましても～。何をきこう。・・・・・・ま、まずは。
「ここって・・・どこなの？」
「どこって、魔法と音楽と月の街、ムーンライト。きまってるじゃん。」
はぁ・・・そうですか・・・。
　ムーンライト？月・・・光・・・。そのまんまじゃん！てか何？つまり・・・・・・異世界にトリップ、てやつ！？
　やっぱり、私、いかれた？
　いやあああああああ！！！！
　「あんた、どっから来たの？」
あぁ、あきらかに不審がってるよ。どうしよう、私と彼はこんな事で引き裂かれるの！？
「え～と～・・・日本。て、わかるかな？」
わかんないよね。ね。そうでしょ！そうだといえ～！！！
「またニホン・・・？」
へ？何？少年！なんて言った！またニホン、って!日本しってる？しってるの？しってますか？
「日本、しってるの！？」
「いや。」
右ストレート、きまったぁ～！！きっぱりいったぜ、こいつ！
「でも・・・」
でも、なんでぇい！もう私のガラスのハートは、砕ける寸前だよ！それを修復できるのか！？おい！
「ニホンから来たって人、しってるよ。」
なんですと～！少年！それマジ！？ガラスのハートは、錬金術で鉄に変わりそうだ！
「その人、どこ！？話したい！」
本当に話したい！自分と同じような人。
　隠れないで、でてこいや～！この弱虫ヤロォ～！！
「一緒に暮らしてるよ。家にいるから・・・くる？」
「もち！」
もちろんさ！少年！
　あぁ～、これで安心・・・出来るのかな・・・？
　もし、そいつが私みたいに・・・いや違うけど、私は。いかれていて、話の通じないやつだったら！？
　あぁ、私の心は鉄からプラスチックにランクダウン・・・。象にふまれたら、ひとたまりもない！
「こっち。」
いや・・・いないよりマシ！そうだ！マシだ！どんなヤツでもいいさ！
　あぁ、おいていかないでぇ～！