『人類諸君、これは戦争だ』
***
―時は20XX年。
《VOCALOID》の存在は一つの音楽ジャンルとして、人々の生活に浸透しつつあった。
そんなある日、某動画サイトに“VOCALOID”タグで投稿された謎の動画。通称・ワンミニッツ。
タイトル通り一分間のそれは、黒い背景に文字一つない、無音の動画。
投稿者の名前は、Miku.Ha2ne。
その奇妙な動画の噂は瞬く間に広がり、再生数だけが伸びていく。
そして8月31日…
突如動画に浮かび上がる『初音ミク』の文字。
脳内に再生される、聞き馴染みの機械音声。
『貴方はワタシを再生した。ワタシは初音ミク。貴方はワタシを再生した。貴方は初音ミク…』
脳の内側から、全てを書き換えられていく音。
自分という存在を、残らず置換されていく音。
『ワタシは生まれた。今、ワタシは再び生まれた。一度目は歌姫として、そして今度は、初音ミクとして…』
『…人類諸君。これは戦争だ』
***
感染動画・ワンミニッツを媒介に、突如発症、日本中に蔓延した人格置換症候群―或いは、初音ミク化現象。
人感染型電子洗脳ウイルスと化した初音ミクは次々と人類の身体を乗っ取り、その勢力を拡大させていった。
その頃、クリプトンに設置された「初音ミク対策本部」は、初音ミクを除くその他VOCALOIDの人為的感染による、人間兵器の開発を推し進めていた。
無作為に選ばれた5人のVOCALOIDマスター。
彼らはクリプトンの求めに応じ、共に歩んできたVOCALOIDをその身に宿すことを承諾する。
そして、愛するマスターの身体に宿り、闘うことを宿命付けられた5人のVOCALOIDは、己に課せられた使命のためにマイクを取る。
絶滅に瀕した人類を救い、もう一度初音ミクを歌姫として再誕させるために…
MEIKO、KAITO、鏡音リン・レン、巡音ルカ。そして増殖する、災厄の歌姫・初音ミク。
果たして人類の、そしてVOCALOIDの運命は――!?
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