こんにちは!鴨川宗平です。
指先からこぼれ落ちる淡い光の粒をすくい上げるたび、私はこの世界の境界線が少しずつ薄くなっていくような、ひどく奇妙な感覚を覚えます。普段はバラバラになった光と影の断片を細かく繋ぎ合わせてひとつの物語を組み立てる仕事をしていますが、その作業の本質は、誰の目にも留まらない冷たい水の底から、忘れ去られた感情の化石をそっと救い上げる行為にとてもよく似ています。言葉にしようとすればするほど形の崩れてしまうような、説明のつかない寂しさや、誰の耳にも届くことのなかった無垢な祈りのようなもの。私はそんな行き場のない想いの輪郭をすくい上げ、静かな水槽のなかにそっと並べておきたいのです。それはまるで、誰も知らない星の破片をポケットに詰め込んでいるような心地です。
多くの人は、まばゆい太陽のような眩しさや、街中を満たすような大きな音に心を奪われがちです。けれど、本当に誰かの胸の奥深くに突き刺さり、一生消えないかすり傷のように残り続けるのは、実は最も小さく切ない光の瞬きだったりします。それは、最初の数秒間で世界の色をすべて塗り替えてしまうほどの、静かで強烈な引力を持っています。完璧に調律された音の合間に存在するわずかな空白や、きれいに彩られた色彩の裏側に潜む深い影。そうした割り切れない歪みにこそ、作り手が本当に伝えたかった熱量が、冷たい熱を帯びたまま静かに眠っているのです。
短い時間のなかで、どれだけ深くその人の心の奥底まで一緒に潜っていけるか。私はその冷たい境界線の上で、見落とされがちな感情の破片を一つずつ拾い集め、透明なガラスのなかに美しく並べていきます。ただ見やすくて美しいだけでなく、どこか遠くの、生まれる前にいた場所へ連れていかれるような、冷たくて温かい記憶の旅。目に見えるものだけがすべてではないこの世界で、私たちはいつも目に見えない何かを必死に探しています。それはとても静かで、けれど確かな光を放つ作業です。この届かないはずの声が、いつか世界の壁を越えて、あなたの孤独を優しく包み込んでいくことを願って、私は今日も静かに指先を動かし続けます。
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