「ただいまー・・・」
「レンっ!!どうしよう!」
私より少し遅れて帰ってきたレンにとびついた。
「・・・リン、どうしたの。」
「あのねっっピピが飛んでっちゃったの!」
『ピピ』というのは、私たちが9歳の頃から飼っていた小鳥だ。初めてさわったときにピピピと鳴いたから『ピピ』と私がつけた。とても綺麗な色をした鳥だった。
日光浴をさせてあげようと思ってかごにいれたままベランダに出したのだが、ふたが開いていることに気がつかず出してしまったということをレンに伝えた。
「ねぇ!どうしよう!お腹すいてないかな、カラスに食べられたりしてないかな、夜はどうしよう!寒くないかな!ねぇ!レ・・・」
「大丈夫」
何が大丈夫なんだ。もうピピと遊べないよ。あんなにいっぱい遊んだのに。もう帰ってこないのに。覚えてる?ピピと遊んだよ。一緒にお風呂入ったこともあったよ。大好きなのに。レンは悲しくないの。私は凄く悲しいよ。何でそんな簡単に大丈夫なんていえるの。
いろんなことがぐちゃぐちゃと頭のなかをまわった。
「大丈夫。ご飯は食べれるよ。ピピはカラスに食べられたりしない。強いから。夜は自分で寒さをしのげるところを探すよ。頭いいから。」
「でもっ!もうピピに会えないんだよ!遊べないんだよ!悲しくないの?ピピのこと好きじゃなかったのっ?」
「大好きだったよ。」
「じゃあなんで・・・」
「悲しい。ピピともう会えないのはとっても悲しいよ。でもね、いきてる。きっとどこかで生きてるよ。ピピはきっと今幸せだよ。そう思うと、あんまり悲しくないんだ。だから、」
がんばろう?ピピのことをたまに思い出して。
そういったレンが、いつもより頼もしく思えた。
がんばろう。そうだ。くよくよしてたら、ピピまで悲しくなっちゃう。
(空を見て、小鳥のさえずりが聞こえたら、ピピのことを思い出すよ。そのときは、悲しくなんかなくて、きっと、楽しかった思い出。)
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