視線を逸らしたままで耳を染めた
日が暮れていないのに紅く紅く
拒絶ではないことを伝えようとして
それでも見つめるのは難しそうで
言葉にするのがとても不器用だった
立ち止まろうとして立ち去っては
振り返る様子も見られたくなさそう
きっと手紙にするなんてもっと無理で
下らないはやし立てにびくともしない
そこだけが以外で驚いていた
その感情に誇りを持っているかのよう
届けたいことはもうまとまった?
「きっかけを気に病むのが嫌になった」
そう呟いて渡してくれた花束から
一輪抜いた赤いストックを挿し返し
笑顔と共に答えを贈ってみたの
後にも先にも知っていた花言葉は
そのひとつだけになってしまったけど
それだけ伝わればもう何も要らなくて
初めて華やいだ笑顔を見せてくれた
ずっと言葉を紡ぐのに苦労していて
だけど揺らがないものは持っていて
遠くから見つけ出すのが得意だからって
ムキになって私も探そうとしていた
比べなくて良いものは比べなかった
どんなに間違ってても耳を傾けていた
簡単な問題を一緒に悩んでくれて
止まりそうな歩みを支えてくれた
覚えているのは雪の日の小さな灯り
忘れていないのは汗ばむ夜に鈴の音
大きな贈り物はひとつも無い代わりに
たくさんの小さな思い出が星の数
ふたり分の足跡が少しずつ増えて
両手で抱えくれなくなってもまだ
なにひとつ変わらない面持ちで見てる
昔も今もその先ももっと向こうだって
最後のページを迎えるにあたって
ちりばめられた花の群れからひとつ
動かないはずの指に挟まっていた
赤いストックを取り出して胸に挿す
一言も交わしていない約束を遂げて
安らかに終える顔の誇らしいこと
綴った言葉のどれよりも雄弁に
託された花びらは今もまだ赤くて
最初から最後まで変わらなかった
あんなに起こったたくさんの出来事も
一輪に始まって一輪で終えていく
幸せな夢の向こうで会いましょう
そして今もどこかで咲いている
きっと今もどこかで芽吹いてく
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