蝉の鳴き声と
生温い風と
焼けたアスファルトの匂いと
白く照る横断歩道と
夏の全てが
消えたい気持ちが
指先をつたう
眠る信号機の眼は
ただ沈黙を守っている
知らない日付と
めくれるカレンダー
抜けるような青空と終末
微かに聞こえる呼吸音
点と線だけで
説明のつく空間が
震えて温度を持つ
感情の方向が色をつける
揺らぎながら
留まりながら
時が流れるのを見た
(いつかみた天井。)
もしやり直せたとしても、
同じ過ちを繰り返すだろう。
完璧を目指すうちに、
明日の違和感を忘れるのだろう。
どこかで嫌になって、
きっと終止符を打って目を閉じるのだろう。
良い夏だった、と思う瞬間は
永遠に来ない。
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