名を喚ぶコエ

生きる事諦めてた
僕と君が出逢ったのは偶然
夜の帰り道 君は物陰で
蹲っていた
「なぁ お前どうしたんだ?
そんな処いてもしょうがないだろ
腹減ってんだろ 俺のトコ来ないか」

名前を喚ぶ度 君はそっぽ向いた
でも知ってるんだ 君のそのしっぽ
喚ぶとぴくりと揺れる事
いつかは振り向いてくれるだろうか
僕の声が紡ぐ名前
君だけに与えた名前


気付いたら一緒だった
晴れの日も雨の日も
暑い日々は通り過ぎ
寒い冬がやってくる
「なぁ お前知ってるか?
雪という名の白き六花
今年はお前と 共に見れるかな」

君は目も合わさず何も応えない
でも知ってるんだ 君のその耳が
僕の方に向いている事
いつかは啼いてくれるだろうか
君の声が喚ぶ名前
僕だけの唯一の名前


その日の訪れは突然だった
帰ってきた家の前
淡く積もる初雪の上
君はアカイ華を咲かせてた

君はそのボロボロの体 必死に顔上げ
初めて僕の瞳(メ)を見つめて
たった1声啼いたんだ
事切れた僕の仔猫
最期に君が喚んだ名前
初めて喚んだ僕の名前

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

名を喚ぶコエ

名前を呼ばれると嬉しくなりませんか。
私は嬉しいです。
そんな気持ちを徒然と。

仔猫の冥福を祈って…

閲覧数:115

投稿日:2008/07/30 23:17:49

文字数:461文字

カテゴリ:歌詞

オススメ作品

クリップボードにコピーしました