ミクさんはその後言われるがままに車に乗り、言われるがままにスタジオに連れられ、楽屋に投げ込まれます。
「じゃ、ちょっと待っててね!」
キリンさんが、ドアを閉めて出ていったので
ふらふらしながら近くの椅子に座りました。



「疲れ、たぁ…… 」
あちこち移動させられて熱が出てきたかもしれません。ぐったりと、目の前の机に突っ伏します。

……此処って、アイドルの、えっと。事務所? スタジオ?
「一体、何? 私、誰かと間違われちゃった?」

数秒経って、とりあえず顔を上げ、当たりを見渡しました。
閉められた目の前の扉には、初音ミクのポスターが貼ってあります。

初音ミク。
31歳。
得意なこと DVDの延長
苦手なこと 歌うこと


……ん?







その頃。


「よし、出来た……」
少し早い昼休み。

レン君はついに捜査機関にメールを送ります。
それは、顧客情報の流出疑惑、不正金を搾取している疑惑に関して、今までの仕事の合間に同僚たちと準備していた証拠の数々でした。

「顧客リストの原本」
※個人情報(氏名、住所、電話番号番号、勤務先、家族構成、金融情報など)が記載されたデータベース。

本来、用事の済んだものは、都度処分しなくてはなりませんが杜撰な管理が続いています。

それから、振込記録、裏帳簿、職員間のメールのやりとり等。
「不正な金銭の流れを示すデータ」

そして、廊下を流れていたときに聞いた、不正の指示の録音音声ファイル。



――どうですか?
――これなら、同様の被害届が複数出ていたから、裏付けは容易だわ
近所の警察官、ルカさんが以前に太鼓判を押してくれたものです。

ミクさんが、自分たちが、少しでも楽になるといいけど……



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その頃。

「あら?」
ルカさんはというと、早めの昼休み中で、偶々メールを目にしていました。

「何、メール?」
同僚が、彼女の見ているメールをのぞき込みます。
そして、だんだん真剣な顔でスクロールし始めました。
「これは……!」

「こうしちゃいられない。すぐ準備しましょう!」
行けそうと判断した捜査本部は、直ちに関係各所に連絡を取り、同日中の合同強制捜査を決定しました。






そして昼休み。
多数の捜査員がビルのエントランスになだれ込みました。
社員食堂が、騒然としています。
「なんだ?」
「なんの騒ぎ?」
「なんか、令状が出ているらしい」
「誰かが通報したのか」

レン君はパニックになる皆を眺めながら、大人しくオフィスで弁当を食べていました。
さっきからあちこち、人が出入りしてはファイルやPCを覗いていて、そろそろ席を立った方が良さそうです。

お局さんはというと、その後ろで青ざめたり、荷物を纏めたりと忙しそうにしています。
「誰が言ったんだ」「どうしてこうなったんだ」と誰かを責めようにも大声を出せないので困っているようでした。





あちこちでガサ入れが進む中、誰かが叫びます。

「おい、これ」
食事中だった社員の一人が徐に立ち上がり、隣の社員にスマホの画面を見せて来ました。
そこには明らかにミクさんが映っています。
彼女は今まさに、ステージに上がろうとしているところでした。

「うちのミクさん!?」
「ミクさんが、初音ミクに!? いや、合ってるか?」
混乱する社員たち。
ミクさんはミクさんだなぁと確かに思っていたけど、初音ミクは初音ミクとして画面の向こうに居たような。でも、あれは明らかに此処にいたミクさんで……
「んん? 31歳、歌が苦手、好きな食べ物はフランスパン、じゃないのか?」
「えー、そう? 普通に歌ってたけど」
「どっちが?」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

壊れた世界。7

社畜ミクさんと、レン君と……
あんまりガチにすると長いので短めに纏めてます

閲覧数:82

投稿日:2025/11/15 17:00:57

文字数:1,579文字

カテゴリ:小説

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