『首狩りトム』
玩具箱の中で
きみを待つわたし
きみが愛してくれた
ブロンドの髪
青い硝子の目玉
きみに向けたなら
仲間たちを手に
遊ぶきみの姿
床にちらばった
手足と心臓
窓辺の首
ままごとの終わりは繰り返す儀式
可愛いトム
首を狩る
子ども部屋に響く悲鳴
愛しいトム
いつの日か
わたしの首もこの心も
きみに捧ぐわ
箱庭の王様に
ママは言った「気味が悪い」
パパは微笑んで
「それでもいいさ」ときみを愛してた
やがて二人は窓辺で目と口を閉じる
赤く染まる部屋で時計は動かない
ひとりきりの部屋
並ぶ宝物
無邪気なまま
きみは微笑んでいた
蒼い月は空を巡る
きみは夢を見てる
悲しみを知らないままで
孤独なトム
おやすみと
月も星も見えなくなる
狂ったトム
その胸に
愛が芽吹く日は来るの?
愛しいトム
血濡れの指
わたしの髪を染めていく
さよならトム
愛してる
わたしのこと忘れないでね
以下、補足のようなちょっとしたおはなしです(・し・)
【首狩りトム――つまりはこういうものがたり】
昔々、あるところにトムという少年がいました。ちょっとだけヒステリックだけど明るいママと、とってものんびり屋だけど優しいパパに愛されて、トムはすくすくと育ちました。
トムがやっと一人で歩けるようになったある日、パパとママと散歩に出かけたトムは、玩具屋さんでとてもきれいな女の子の人形に出会いました。
「なんてきれいなかみのけとひとみ!」
トムは人形で遊ぶのが大好きでしたが、その日買ってもらったその女の子の人形は、特に大事にしていました。
毎日のように、トムは人形に言いました。
「ぼくはきみがだいすきだよ」
人形は、人形なので、答えることはできませんでしたが、いつも思っていました。
――わたしもトムがだいすきよ。
ところが、トムには少し変わったところがありました。
トムはいつも、人形で遊ぶと、最後にその首をナイフで切り落とすのです。そしてその首を、窓辺に並べていくのです。
まるで何かの儀式のように、トムはそんなことを繰り返していました。女の子の人形は、玩具箱の中で、他の人形たちが次々に首を落とされるのを、毎日、眺めていました。
トムは時に笑いながら、時に無表情で、人形の首を落とし、窓辺に並べて飾っていきました。そして時折、うっとりとしたような表情で、あるいは絶望したような表情で、それを眺めているのです。
それでも女の子の人形は、トムのことが好きでした。大好きでした。
トムを最初に嫌いになったのは、ママでした。ママが何度言っても、トムはそれをやめようとはしなかったのです。ママはやがてトムのことを、「気味の悪い子」と言って、嫌うようになりました。でも、パパは違いました。パパは、「それでも、トムはかわいい我が子だ」と、変わらない愛情を注ぎ続けました。
でもトムは、パパのこともママのことも、好きでも嫌いでもありませんでした。トムにとって大事なのは、首だけだったのです。
そしてある晴れた休日の昼下がり、トムはパパとママの首を落としました。人形以外の首を落としたのは、それが初めてでしたが、血で汚れたこと以外は、いつもと何も変わりませんでした。
トムはパパとママの首も、窓辺に飾りました。その時、玩具箱の中に残っていたのは、もうあの女の子の人形だけでした。トムは、パパとママの血で汚れた手を、そっと玩具箱に伸ばし、とてもうれしそうに微笑みました。
それでも女の子の人形は、トムのことが好きでした。大好きでした。
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