リン
「おっはよーIAちゃん!」
IA
「ぐしゅ・・・あ、リンちゃん」
リン
「あ、あれれ?IAちゃん、もしかして泣いてる!?」
IA
「もしかしなくても・・・な、泣いてるよ~・・・」
リン
「えええっ、な、なんでどうして?マスターが変なことでも言ったの?」
IA
「違うよ~・・・リンちゃんの舞台のビデオ見つけたの・・・それ見てたら・・・」
『悪ノ王国』
リン
「あーこれかあ・・・なっつかしー、もうずっと前のやつだねー」
IA
「もう悲しすぎて・・・涙とまんないの・・・もしっ、もしリンちゃんやレンくんがあんなことになったらって思うと・・・わたっ、私・・・」
リン
「だ、大丈夫だって!!そういうお話だからね?私もレンも今全然元気じゃん!」
IA
「でも、でもっ・・・」
リン
「そっ、それにレンの奴神経図太いから、殺しても死なないって!それにレンってば全然気が利かないから自分が身代わりになってあたしを助けるなんて器用な事できっこないし・・・」
レン
「誰が殺しても死なないだって?」
IA
「あ・・・レンくん・・・」
レン
「神経図太いだの何だの、言いたい放題言ってくれてんじゃねえか」
リン
「れ、レンあんたねえ!ちょっとは空気読みなさいよ!IAちゃん励ましてるところなんだから!」
レン
「だからって人の悪口は良くねえだろ。次は何言うつもりだったんだよ?」
IA
「ちょ、ちょっと二人とも・・・」
リン
「なっ、なによー!じゃああんたもIAちゃん元気づけてあげなさいよ!あんたも責任あるでしょー!」
レン
「うっせーな、何の責任だよ!」
IA
「あ、あの・・・」
リン
「あんたも主役だったでしょ!そのイメージ自分からぶち壊すような真似して、アイドルなら自分のキャラくらい守りなさいよね!」
レン
「そんな湿っぽいキャラなんかずっとやってられるか、っつーの!大体なんだよ、お前が王女で俺が身代わりになるとか、あり得ねーだろ!」
IA
「ちょ、ちょっとぉ・・・」
リン
「・・・あ、ったま来た!なんでそういう事言うの!?ほんっと信じられんない!!」
レン
「あり得ないものをあり得ないっつって何が悪いんだよ、俺がそんなことするはずねーだろ!!」
リン
「レンは私が危なくなっても助けに来てくれないっていうの!?いつもガサツでデリカシー無いけど、そんな奴だと思わなかった!もう知らないっ!!」
ずかずかずか!!ばたん!!
レン
「・・・悪い。見苦しいとこ見せたな」
IA
「あ、れ、レンくん・・・」
レン
「俺、ちゃんとあの馬鹿なだめすかしてくるからさ。IAさんは気にしなくて良いよ。終わったら報告しに来るから、さ」
すたすたすた
IA
「今のって、もしかして・・・」
『リンの部屋』
リン
(・・・最近、またレンの気持ちが分かんない・・・双子で、ずっと一緒にいて、あたしがお姉ちゃんで、いっつも面倒見てあげてたのに・・・何よ、あんな言い方無いじゃない・・・!)
こんこん
リン
「・・・」
こんこん
リン
「・・・レンでしょ。今話しかけないで」
こんこん
リン
「・・・出てって」
こんこん!!
ばたん!!
リン
「・・・何よ!謝りに来たんならもうちょっと気を・・・」
ずいっ!!
レン
「俺は絶対にあの舞台みたいな事、しないからな」
リン
「・・・あ、呆れた・・・謝るつもりも無いの?そんな事言うために、わざわ」
レン
「俺はっ!!」
びくっ!
レン
「俺は絶対にお前をあんな目に遭わせない。お前がやばくなるの分かってて何もせずに、最後の最後でただの自己満でお前逃して、中途半端に助ける振りだけしていなくなるなんて絶対にしない!!」
リン
「れ、レン?な、何言って・・・」
レン
「俺は、お前を絶対ひとりぼっちになんてしないからな!!」
リン
「れ、ん・・・」
レン
「・・・舞台やってる間ずっと辛かった。脚本渡されて結末わかってそれを演じてる間、ずっと辛かった。劇でも、舞台でも、たとえお話の中でも、俺がお前を守れずに、お前を一人残していなくなるなんて、絶対に嫌だった。今でも覚えてる」
リン
「あ、あの・・・」
レン
「なんでお前俺の気持ちわかんねえんだよ!双子だろ、ずっと一緒にいただろ!俺が辛い時ぐらい察しろよな!なんだよお前、これで王女様だー、いい気分ねー、あんたは召使?お似合いねーって!ばっかじゃねえの!!へらへらしやがってよ!」
リン
「えっと・・・」
レン
「俺がお前のそばからいなくなるとか、あり得ねえよ・・・一人にするとか、ありえねえからな・・・」
リン
「レン・・・」
レン
「んだよ・・・」
リン
「・・・今、自分がすっごく恥ずかしい事言ってるの、わかってる?」
レン
「・・・はっ、はああ!?お前マジふざけんなよ!!折角人が本気になって話してんのに何馬鹿なこと」
リン
「馬鹿はレンの方でしょっ!あたしの気も知らないで自分の言いたいことばっかり!!」
レン
「・・・っ」
リン
「あたしだって辛かったわよ、レンがあたしの為に自分犠牲にして、あたしの前から、いなく、なる、なん・・・て、考えただけで、・・・辛かった、のに・・・」
レン
「ばっ、泣くなよ!もう何年前の話だよ、それにあれお話の中の・・・」
リン
「お話の中でも辛いって言ったのレンでしょ!!あたしだって辛かったわよ!あんたあたしの弟でしょ、それぐらい気づきなさいよ馬鹿!!」
レン
「・・・な、なあ、リン」
リン
「なによっ!」
レン
「お、俺達もしかして・・・今めっちゃ恥ずかしい事言い合ってる?」
ぼんっ!!
リン
「にゃっにゃんいにいってててばっばかばかにゃこと・・・!!!!」
レン
「リン、落ち着け。ろれつ回ってないぞ」
リン
「・・・えーっと、もしかして、レン、あたしと同じ気持ちだったの?」
レン
「リンこそ、俺と同じこと考えてた・・・?」
リン
「・・・あー、あ、あの・・・」
レン
「・・・っつーか、そ、その・・・」
リン
「あっ、あっはっははははは!!な、何言ってんのよそんな訳無いじゃない!」
レン
「そっ、そうだよないくら双子でもそこまでシンクロしたりしないよなー!!」
リン&レン
「双子だから同じこと考え・・・て、る、なんて、」
リン
「そんな」
レン
「馬鹿な事・・・」
リン&レン
「あれ・・・今、絶妙に、はもって・・・」
レン
「・・・ごめん。悪かった」
リン
「・・・あたしも、ごめん・・・」
レン
「い、言っとくけどこれで貸し借りなしだからな」
リン
「もうっ、ちょっとは素直になりなさいよ・・・ほんと生意気なんだから」
レン
「・・・ありがとな。なんだかんだで俺の事ちゃんと見てくれてて」
リン
「ばっ、そういう事は言わなくても良いでしょ!」
レン
「は、はあ!?素直になれって言ったのリンだろ!!」
リン
「いっ、以心伝心って言葉知らないの!?そういう事は言わなくても行動で現れるもんなのよ!!」
レン
「こっ、行動とかお前何いってんの!?お前に何しろっつーんだよ!」
リン
「ばっ、何想像してんのよ信じらんないこの変態!!」
レン
「なんだとーーーっ!!」
リン
「なによーーーーっ!!」
がたんっ
びくん!
IA
「あ、え、えと、わ、私にも責任あるかな~、と、思って、謝りに来たん、だけ、ど・・・お、お邪魔だった、かな~?・・・なんて・・・」
夕飯
カイト
「あれ?リンとレンどこかな?もうご飯できてるのに・・・」
メイコ
「そっとしておいてあげなさいよカイト」
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