「炭酸」 2022/07 chime(shimehebi)
抽斗の隅 だいじに了ったまま
隣にいたあの子とお揃いの耳飾り
期待をしてた たぶん期待されていた
掛け違えた釦はもう
元には戻らなかった
消えてった足音
楽しかった出来事や
あの子と喧嘩をした理由
誘われた匂いに
懐かしさを覚えた
ちいさな手のひらに握る
はじける炭酸の音色 おもいだす
ユラリユラリ 溶けてゆく
記憶を重ねた碧に
わたしはあの子とふたり
大きな雲追っかけた
愛おしかった 無邪気に笑った顔
音が聴こえたらいまでも熱を感じるかのよう
生きている どこかで
やけに正直な誰かと
やけに落ち着いた誰かが
交差して 寄り添う
甘い匂いに隠された
シュワシュワと滲む辛さに
やっと気付くことのできる
夏の味
クルリクルリ 混ざりゆく
記憶を重ねた碧に
いまならもう少し深く
泳げるような気がしてる
差し出された手のひらを 握り返せたのはきっと
あの子と過ごした時間が
優しく色付いたから
ユラリユラリ 溶けてゆく
いくつもの夏の碧に
わたしはあなたとふたり
知らない夏を泳ぐ
みじかい夏を泳ぐ
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