-雨で-
いつの間にか、外は大きな音を立てながら滝のような雨が降り注いでいて、窓から外を見ると酷く歪んで見えた。
「――お昼、食べました?作りますよ」
突然、カイコガ言った。
「ああ、食べてないわね。…作るなら、手伝うわよ」
やっと気がついたというように、メイコが言った。
「私も、お手伝いいたしますわ。材料はありますか?」
「材料は一応ありますけど、夕飯の分がないですね。後で雨がやんだ頃に、めーくん、かってきて。お客さんに手伝わせるわけには行きませんから、休んでいてください。疲れたでしょう?」
そういうと、カイコは部屋を出て行ってしまった。
しばらくその場にいたリンとレンは気まずさからか、自己紹介以外は何も話さずに先ほど荷物を置いた部屋へ入っていってしまった。
なんとなく、いてはいけないような雰囲気だったのだ。
部屋に入るなり大きくため息をついて、二人は少し困ったように笑い、顔を見合わせて、もう一度笑った。何だか、肩の荷が降りたようである。
部屋には大きな窓があって、白いカーテンがかかっている。レースの薄いカーテンと、その上に分厚い遮光カーテンの二重になっていて、少し開いている窓から入った風に、カーテンがふわりと揺れた。
後は本棚に数冊の文庫本と一・二冊の女性向け雑誌があって、その隣りにテレビとテレビ台の中にDVDプレイヤー、それとベッドが二台、それぞれ壁に沿うように置かれていた。
「何か、居場所がないって感じだったね」
「やっぱり、あっちは知り合いだけどこっちはほぼ他人だからな」
「…それに、言ったら悪いけど、あのカイコって人も何だかやな感じ。幸せオーラ振りまいちゃってさ、束縛欲、強そう」
「ははッ!確かに、そうかもな。…しかも、人数あわせでなんで他人の結婚式に参加しなきゃいけないんだ?何でも屋か、俺たちは?」
そういいながらテレビをつけると、この間のニュースと同じニュースが流れていて、リビア教の教会がどうのこうのといっているのを見て、ふと、レンはこの教会は何教だったか、聞いておけばよかったかな、などと考えていた。
少し気になると落ち着かなくなるタチなので、レンが聞きに行こうかと迷っていると、ルカがドアを開いた。丁度いいところに来た、と思い、レンは聞いた。
「なあ、ここって、何教の教会か、しってるか?」
「え?たしか、ボカリア教だったんじゃないかしら。扉の装飾を見ればわかりますわ」
「へぇ。そうか、サンキュー。…で、何しに来たんだ?」
そういわれて、ルカはやっと本題を思い出したように言った。
「そろそろ、お昼です。皆さん、まっていますよ」
「あ、お昼、何?」
「豪華ですよ。具体的には見てからのお楽しみ」
「じゃあ、行こう。レン。早くッ」
言うなり、レンの返事も聞かず、リンはレンの腕をつかんで部屋を飛び出した。その後ろから、ゆっくりとルカがついてきた。
「きゃあ、豪華~!」
並んだ料理の数々は並大抵の腕前ではなく、見た目からしてもその辺の料理人顔負けのレベルであることがわかる。それを見ただけでリンは目を輝かせて椅子に飛び込むように座り、元気よく「いただきます!」といい、料理に手を伸ばした。
その後からレンが椅子に座り、両手を合わせ、「いただきます」と静かにいい、箸を持ってから料理には手を伸ばさず、自分の前におかれた茶碗を手にとって白いご飯を食べた。
そうやって口を動かしながら、レンは考えていた。たしか、リビア教とボカリア教は敵対している宗派のはず。リビア教の一件とこの教会が関係しているとは思わないが、あのカイコという奴はどうも気に入らないオーラのようなものが出ているのだ。
リビア教の教会を爆破した爆弾は時限爆弾の類だったという話だが、その様なものを作ることならそれなりの技術と道具、設計図があればできるし、設計図などは裏ルートを使えば一般市民だって難なく入手することができる時代だ。知識があれば、爆弾を改造して爆発したときの爆風や火薬の量を調節できるようになり、尚のこと爆弾が危険なものになっていくだろう。わざわざ爆弾という手段を使ったことも気になる。爆弾をどこかに設置するときに誰かに目撃されたら危険だし、教会を壊すだけなら放火などでも十分だ。しかし、決定的な違いは、爆弾は一瞬の出来事であることだろう。放火は逃げられてしまうが、爆弾は気づかれない限り、中にいたものや近くに居た人間たちを一瞬にして殺すことができる、という利点がある。しかも、爆弾は一つとは限らない。ニュースなどでは数を取り上げていない。警察が会見でそこまで発表していないのか、一つだけだったから数まで言う必要はないとテレビ関係者が判断しただけなのか。それに、この事件は世間でも大きく取り上げられている事件だ。それを受けて警察もおおっぴらに動いて犯人検挙に勤めているというのに、いまだ犯人が見つからないというのはどういうことだろう。
「どうしたの、レン。何だか凄く怖い顔してるよ?」
そういわれ、レンはやっと現実の世界に戻ってきたようだった。ずっと真顔でご飯を飲み込まずにもぐもぐと口を動かしているレンは異常である。
「ちょっと考え事」
「そう?ねえ、そこのソースとって」
近くにあったソースをとると、リンに手渡した。
コロッケにソースをかけてから、嬉しそうにコロッケを食べているリンを見ていると、とても美味しそうに食べている。しかもよく見れば皿は結構食べた後があり、どれだけ食べるんだというほどのペースで食べ進めている。
ふと、メイトが窓の外を見ていった。
「…雨、止みそうにないな。しかたない、あんまり酷くならねぇうちに晩飯の材料、買ってくる」
少し面倒くさそうにメイトが立ち上がると、カイコが言った。
「でも、今、風強いから傘もさせないよ?」
こちらは少し心配そうである。
「どうにかなるだろ。…じゃ、行ってくるから」
そういい、コートを羽織って財布をポケットに突っ込むと、メイトは雨が降っている空を見上げて少し顔をしかめてから、小走りに出て行った。
「…あ~…。冷てぇ」
そういいながら、メイトは帰路についていた。
雨はすっかり止んで、白い月が頭上に浮かんでいる。
長めの茶髪からはしずくが滴り、コートはもう水を吸収してしまってびしょびしょに濡れてしまっている。もう少ししてから教会を出るべきだった、と思いながら、メイトはスタスタと歩く。
「…静か…だな…」
そう、不気味なほどに。今にも熊でも出てきそうだ。
歩きなれた道ではあるが、いつもこの道は嫌いだ。不気味に木々がざわめくから。風がいたずらに笑うから。自分の周りの全てが自分を否定しているように思えてしまうから。
しばらく行くと、教会が見えてきた。
それを見つけたメイトは少し表情を明るくさせ、小走りになった。みずたまりに踏み込み、泥水が大きく跳ねた。
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星ヲルカ
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ご意見・ご感想
リオン
その他
こんにちは、返事が遅れました!
Ж周Жさん、リンレンは腹黒いもんだと思いますよ。
あるでしょ?結婚式代理人みたいなの…。たしか、ニュースの特集とかでやってました。
でも、メイトとカイコがキスするとき、メイトの魔法が解けて小さくなっちゃったら困りますし。
乱文&長文は私の方が酷いので、お気になさらず♪
…違いましたかね?(あわあわ…)
こんなんで覚えたら大変なことになりませんか…!?
た、タメになったんですか?どういたしまして、と言っておきます!
今日の投稿も頑張ります!
みずさん、「せれでは」…これが実際にあっていたら、あと五回ぐらい引きずられてますよ。
…違いますかねぇ!?(泣)
ああ、いますよね、MIKEって。私の教科書と同じなのでしょうか?
リンレンはあれでいいんですよ。
どうでしょうかね、あるいは最終回あたりで新キャラ登場、そいつが犯人かも…。
カイコも悪でいいと思います。どのボカロや亜種でも、黒くなれば違う魅力があると思います。
では、おまけ…考えておきます。続きも。
頑張りますね!
2009/11/07 16:16:34