「―――レン君」
「その名前、サンディの前で出したら許しませんよ? カイト先輩」
二人はシーカーことレンが普段寝室にしている部屋に入り、そのまま鍵を閉めた。ちなみにシーカーは殺気を含んだ最上級の笑顔だ。
「分かったよ、『シーカー』君。で、本題なんだけど」
「また戦争か何かですか?」
シーカーは心底うんざりした表情で言った。死神の外見年齢ほど信じられない物はないほどに彼らの実年齢と外見年齢は掛け離れているが―――何分、一部の例外を除いて全員が死んだ時の年齢のままなので―――それでも、シーカーはまだ100年も生きていない。白髪の老人とはいえ、まだ生きていた可能性もある。
もう彼は、女と勘違いされる顔から成長する事はない。彼が赦されて眠れる日まで、その姿のままだ。
そして、死神の規準からすればまだ駆け出しの彼にとって、先の戦争は正に地獄だった。
死神であるから、死を看取り続ける。戦争や疫病の時、死神の方が倒れそうな程の人死にが起こる。それが原因で心を狂わせ、笑いながら戦場を駆ける死神もいる。
まだ心を取り戻して間もない、死神としてはまだ経験不足なシーカーに、戦争は余りにも過酷だった。
「今度は疫病だ。メイリアンヌを借りてもいいかい?」
カイトの言葉にシーカーは頷いた。シーカーは小さな声で「メイ」と呼びかけると、シーカーと組んでいる『鎌』の少女・メイリアンヌが虚空から顕れた。
「シーカー、何の用だ?」
2つにくくった長い黒髪に、黒いドレス。白と黒が美しいモノトーンの少女は、無表情かつぶっきらぼうなな態度で壁に背を預けた。
「メイ、ちょっと貸し出されてくれる?」
「問題ない」
彼女はことりと等速で頷くと、そのまますたすたとカイトの元へ歩いて行った。
「カイト、何処に行けばいい?」
「南にある町でね、人手不足ならぬ鎌不足だから、頼んだよ」
感情のない瞳で頷いたメイリアンヌに、シーカーは声をかけた。
「2週間くらいしたら、1回戻ってきてくれる? こっちの仕事だから」
彼女は「わかった」と言って姿を消した。サンディに見つかって不審がられないようにという、彼女なりの配慮らしい。
「シーカー君。あの子が彼女ではない事は分かっているよね?」
カイトの言葉に、シーカーは頷くと言葉を紡いだ。
「あの子は彼女だけど、彼女じゃない。でも、一緒にいて温かいのは一緒。・・・だから、それでいい」
カイトは何を思いついたのか、不意にツカツカとシーカーの元へ歩み寄って彼が目深に被ったフードを取る。
「?・・・!!」
一瞬キョトンとしたシーカーが身の危険を悟って回避行動を取った時にはもう遅く、カイトは彼の冬色に澄んだ薄い金の髪をわしわしとかき回していた。
「何するんですか先輩!」
やっとの事で彼がその魔手から逃れた時、その金髪はくしゃくしゃであちこち立っていた。ふくれっ面で髪を直すシーカーを微笑ましく見つめながら、カイトは「じゃあ俺は帰るね」と言った。
「もう二度と来ないで下さい」
呆れた声でシーカーがそう言うのも、いつもの事。
カイトは死を看取るため、後ろ手を振りながら彼の家を去った。
【白黒P】捜し屋と僕の三週間・7
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