#8「交錯する想い」
被服部の部室……
私が財布を見つけたところに、グミとアイツがやってきた
天気が曇り空のせいか、部室の中が薄暗い
「いま、準備するね。レン君はそこに座って待ってて」
グミは例の衣装を取りにいく
アイツは、いつもグミが座っている場所に座った
私は目線の先にあいているロッカーの空気穴から、外の様子をうかがう
「レン君、おまたせ!」
グミが衣装をもって、満面の笑顔で戻ってきた
それと同時に私の胸がひどく痛む
……極度の人見知りのグミが
……男の人と……それもアイツとあんなに楽しそうに笑っている
「えとね、こっちが前だから……わっ!」
グミが衣装の端を踏んでしまってつまづく
危ない!と声を出しそうになる
床とグミの体が近くなる――転んじゃう!
しかし、その間にすっと腕が入り、グミの体はその腕に支えられた
「大丈夫?グミさん、けがはない?」
グミの体がゆっくりと、アイツによって起こされる
「…………うん」
体を起こされたグミは、頬を赤く染め、うっとりとするようにアイツを見つめて微笑んだ
私は狭い箱の中で唇をかみしめ、爪がめり込むくらいに強く拳を握っていた
――私は……私……
「あ、あのさ……グミさん」
アイツが自分から話を切り出した
「は、はいっ!」
グミはぼーっと見とれていた状態から、びくっとして我に返る
「あ、そっか、衣装だよね?……待って、今、鏡も持って……」
そういって、全身鏡を取りに行こうと背を向けた時だった
「……え?」
ふっと……グミの体が後ろに引っ張られる
そして、そのまま……さっき支えられていた腕で、後ろから抱きしめられる
その光景に私の目は大きく見開いていただろう
しかし、私以上に驚いていたのは、もちろん抱きしめられたグミ本人
「……え、え?……レ、レン君?」
「…………ごめん。急に。」
アイツは、そういうとグミからゆっくり離れる
グミはアイツの方を向く
「……順番、間違ったね」
アイツは苦笑いでそういうと、すぅっと息を吸ってはく
ア、アイツ……ま、まさか?!!
私の中で一つの仮説が完成する…………しかし、それは私にとっては最悪のシナリオ……
沈黙が続く……
……自分の心臓の音だけが妙に大きく感じる時間
「グミさん、僕と付き合ってくれないだろうか」
アイツの口から出た言葉……
「…………」
グミは大きな瞳をさらに大きくし、口をぱくぱくしている
「去年の文化祭の時……最初に君を見たときから、ずっと気になっていたんだ」
真剣な顔つきでアイツが語る
「僕はグミさんが好きだ!……だから、僕と付き合ってほしい!」
必至に想いを伝えるアイツと、それを聞いて震えているグミ
「……ぐすっ」
グミは両手を顔の前に持っていき崩れ落ちる
「……僕じゃ……駄目かい?」
アイツの言葉に、力いっぱい首を横に振るグミ
「ち、ちがうのっ!……こ、これは、うれしくて、うっ……わ、私も、レン君が好きぃ……」
泣きじゃくりながら、グミは自分の想いを伝えた
「ありがとう」
アイツはそれだけいうと、グミに近づいて、床に崩れたグミを抱きかかえるようにして、ずっとそばにいた
《なんなんだよ……アイツ、今までそんな素振りなんて……超鈍感野郎なんだろう?》
《ダマサレテタ?アイツなんかに?……くそっ》
《なんなんだよ……なんなんだよ……くそっ、くそっ》
私の中にある、大事な何かが壊れかけようとしていた…………
コメント1
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ご意見・ご感想
イズミ草
ご意見・ご感想
そっそんなぁ!!!!
レン君!? まさかの!?
うーんこれはレン君に何やら思惑があると思われ……
2014/01/14 20:37:18
しるる
ここまでレン君の感情を、一切、書いてこなかったのは理由の一つは、唐突感を出すため
でも、最初から、こういう目線でみてると、わからなくもないはずなんだよ?w
好きな子には優しいでしょ?ww
2014/01/14 21:11:39