全身がビリビリとその眼光に震え出すのを感じていた。
 それは、人の底知れぬ悪意や本物の殺気というものを初めてこの身に感じた瞬間でもあった。ぞわっと鳥肌が立ち、体中の機能が一瞬制止する。呼吸も、瞬きも、もしかすると心臓ですらもその動きを止めてしまったのではないかと思ったほどに。
「あは、アハはははハハッ・・・ふふ、アハハハははっ!」
 女は笑い続ける。ひやりと死の足音を思わせる冷たい眼光で俺を捉えたまま。その手は血に濡れ、その体は同じように血で赤く染まり、その唇は恐ろしいほど綺麗な深紅を湛えて・・・細い指がその赤い赤い唇を撫でた。指についた紅を舐めて、恍惚とした表情を浮かべる女に、身の毛がよだつ。
 直感というのか、第六感というのか・・・何かが俺にやめろと囁いていた。今すぐここから逃げなければならない、と。かといって、俺にはそんなことできるはずもなかった。
 体が汗ばむ。手が、じとりと濡れていた。
 壊れた笑い声が、廃墟と化した街に木霊する。最早植物が生えていた痕跡はなく、隆起しては沈降した地面に幾台もの車が呑まれていた。
 世界は変わってしまった。人間は変わってしまった。そしてその人間である俺も、おそらく変わってしまったのだろう。変わってしまったことを悔やんでももう遅すぎる。もう全て終わりを迎えるのだ。
 おそらくこの世界にたった一人残されてしまった俺も、彼女の手で死を迎える。そうして全ては無に帰すのだろう。少なくとも俺の世界は全て無くなる。
 ・・・その後残された彼女はどうなるのだろうか。兵器と変わり果てた彼女は、何もないこの世界で生きていくことはできないだろう。再生能力を失ったこの世界は破滅の時を待つだけなのか。
「・・・それでいいはずがないよな」
 小さく呟いて、震えたままの両足を叩く。その瞬間、ガチャンと音がして俺を気に入ったあるガンスミスが持っていけと言った銃のことをふと思い出した。
 ホルスターにおさめられたそれは、彼一番のお気に入りだというデザートイーグル。こういう時のために持たせてくれた・・・が、彼も使う時が来なければいいなと言っていたし、俺もそう思っていた。使い方も一通り教わったが、上達はほとんどしなかったし、何も起こらないままそれを忘れてしまえればいいとさえ思っていた。
 昔持っていたエアガンより大きく、重量感のあるそれを震える手で抜き取る。ずっしりとしたその重さは、銃だけの重さだけではないような気がした。俺の気持ちも全て上乗せされたように思えて苦笑が零れる。
 ゴーグルをかけてから、ゆっくり確かめるようにグリップを握って反対の手でセーフティを外すと、その音が聞こえたのか、女がこっちを見て笑った。嘲るように、見下すように。
「最後のお楽しみにと思っていましたのに」
「そりゃ光栄だね」
 はは、と普通に笑ったつもりが、妙に乾いた声で緊張しているのが自分でもわかった。
 ここにはゴングも何も無い。俺と彼女の間にはそんなもの必要なかった。
 これは、ゲームだ。最終決戦・・・負ければゲームオーバー、勝てばハッピーエンド。ただ、それだけのこと。
 銃口を彼女の方に向けて両手で構える。彼女の笑みは崩れることはなく、その絶対零度の瞳が俺を貫いている。
「最初で最後の対戦」
 本当に楽しみにしておりましたのよ、と女はうっとりした声で言う。それが本心なのかどうなのか、俺にはわかっていた。だからこそ敢えて応えずに一つ深い息を吐き出す。トリガーにかけた指に力が入る・・・その手は震えていた。ゲームだとわかっていても、自分の手で人を殺すという感覚は、この指に刻まれるのだ。だが、俺がやらなきゃ誰もやらない。もうこの世界には俺しかいないのだ。
 気持ちを落ち着かせるように目を閉じたまま深呼吸を数回して目を開く。
「終わりにしよう」
 強い意志を込めて言ったその言葉は、彼女にちゃんと届いていただろうか。それを確かめる術はもうない。
 どちらが勝っても、世界は色を変えるだろう。俺が望む世界か、彼女が望む世界か。勝者のみがその先を見ることができる・・・。
 強い風が吹き、彼女の手がいつの間にか銃を握っていた。合図は、二人の呼吸。二人の動きが同調したかのように銃のトリガーにかかる力が大きくなる――。

 大きな銃声が、 響 い た 。 













>>01

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

Elysian

・・・というありきたりな夢を今朝見ました。
え、これもしかして続くの?
登場人物大体予測できますね・・・主人公はおそらくオリキャラですが。
とりあえず夢で見たところまでは続くと思います・・・最後まで書けたら褒めてやってください。
(途中で投げ出して違うもの書く可能性大です、すみません)
ついでに続いてしまうと、この話は書き直しする確率が高いです。
夢って納得できないようなことも平気で納得したりスルーしたりしてしまうから怖いのですよねー。
そしてありきたりな話で終わりもわかってるはずなのに驚いてる自分に、起きてから驚いた。
ツッコミどころたくさんあったはずなんだけどな・・・そして詳しくわかってないことがあったはずなんだけどな・・・。

そして当初の予定と全然違うことをしてる自分に絶望した・・・orz
我が家ボカロはどうした・・・。
とりあえず病み上がりだというのにメールくださった心優しいお方に捧げてみる・・・いらねぇな・・・すみませんorz

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閲覧数:358

投稿日:2009/04/09 10:11:09

文字数:1,823文字

カテゴリ:小説

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    >>C.C.さん
    こんばんは、C.C.さん。
    す、素晴らしい夢ですかね・・・悪夢のような気がしますが・・・。
    主人公自分でしたって言ったらイメージ崩れると思います。あえて言って崩す(笑
    続き一応あるみたいですが、続くかどうか・・・微妙なところですね。
    自分の話が読めればそれでいいのですか!
    では、あまり気負わずにやっていきたいと思います。
    メッセージありがとうございました。

    2009/03/31 20:41:02

  • まにょ

    まにょ

    ご意見・ご感想

    うゎぁああ!なんとぃぅか、、素晴らしい夢ですなぁw
    私もこの前黒いスーツの男に打ち殺される夢を見ましたょ・・・(どんなだ!
    続きあるんですか!!今、終わりかと思って、一瞬あせりましたww
    楽しみにしてますね!!違う話を書くのも、気分転換とぃぅことで。ね!!(ぇ?
    私は、+KKさんの話が読めればそれでぃいのです~w 気になる展開が好きです。w

    2009/03/31 20:14:07

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