親子が別れる前の会話をするなか、幼少期のフーガに金髪頭の男性が歩み寄ってきた。男性は傷だらけで母親の胸で涙ぐむ子どもへ近付いていく。
「フーガくんだっけ?。すまねえな、俺と親友《ダチ》が君のお母さんを連れていくことになっちまってよ」
「…………」
「話聞いてて、君がつらい思いをしてんのは充分にわかったぜ。意味わかんねえよな…生まれた命なのに酷い目に遭うだなんてよ」
「お…おじさんは……ぼくを嫌にならないの……?」
「ならねえよ……俺は太陽だ。太陽ってのは、今の君みたいに雲で沈んじまった心を晴れさせる力があるんだぜ。で…君はお母さんの持つ青空の力を秘めてる」
「ぼくと母さんが青空……?」
「そうだぜ。曇りに覆われた暗い空は太陽の力で晴天へと変わり、晴天は大地の枯れた緑を再生させる力がある。だから…君のお母さんはこれから、闇に覆われちまった別のセカイへ青空を届けなくちゃならねえんだ」
マモノである筈の自分と母が“青空”だと言われた少年はこの時、母親が大きな使命を持っていると理解した。同時に、その使命の役割は自分にも訪れる日が来るのだとわかった。
「だからよ、俺が君にこれを渡してやる。俺の魔法をかけた便利な道具だぜ」
「……?」
幼少期のフーガは金髪頭の男性から、野球ボールを手渡される。
「シャイニング・イエロー・ジャイロキャノンは……俺があみだした魔法だぜっ!……」
文字が書いてある野球ボールを手渡された時、金髪頭の男性は笑顔になっていた。気持ちを沈ませるフーガへ陽気になってもらおうと考えたからだ。
「サイコーっ! のネーミングセンスだろ?」
「どこがサイコーっ! のネーミングセンスなんだよッ!?。うちの子にヘンなこと教えんなッ!」
厨二病全開なネーミングセンスにバーバレラは注意していた。悪い影響を我が子へ与えるな……とだ。
「ちょっ! おまっ、俺の技名センスは故郷じゃナンバーワンなんだぜ。そうだよなクリス?」
「いや、抜群にセンスないよ。サンダーフォースIIIとかセガマニアじゃなければわからないし」
「お前まで、そう言うのかよっ!。俺はな、スーファミよりメガドラ派なんだよっ!」
「今の子どもにネタがわかるかっ!」
「じゃあ、俺がバーバレラの子どもに教えてやるよ。いいかフーガくん、スーファミミニよりメガドラミニのほうがお得だからな。収録数も多いし、ソニックとかスペハリとか、ぷよぷよ通も遊べるんだぜ」
「なんの話をしてるんだいっ!。フーガは引きこもりがちな子だから、家はゲーム禁止なんだよっ!」
大人たちが繰り広げる、理解不能なやり取りを見ていたフーガの顔には自然と笑顔が戻っていた。自分を太陽だと言う男性は、たしかに周りにいる人物たちを巻き込み、沈んでしまったヒトの心を陽気に変える力があったのだ。
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