ミクの意志を聞いた雅彦は、早速高野に連絡を取ることにした。
「高野君。ミクの件だけど」
「どうでした?」
「ミクは会いたいっていっていたよ」
その回答は予想していなかったらしく、高野が驚いた表情をしている。
「…分かりました、二人に伝えます。ただ、あいつは先約が入ってるんですよ」
「誰だい?」
「レポッシュPです。少し前に調整を頼まれて。そっちはもう日は決まってますから、それの後になると思います」
「分かった。…それで、その時に、今回の件は絶対に口外しないと念押しして欲しいんだ」
「もちろんそれも伝えますよ。時間はそちらにあわせた方が良いですよね?」
ワンオフのミクの方がスケジュールが不規則なことが分かっている高野が聞く。その辺りの事情はこちらがいわなくても分かっているので、トラブルになることは少ないのは助かっている。
「そうだね。それじゃお願い」
そういって高野に約束を取り付ける雅彦。
(…僕も話をすることになるかもしれないな)
今回の話の中心はワンオフのミクだが、ひょっとするとどちらかが雅彦に話をしたいといってくる可能性も考えられる。仮にそうなった場合に対応できるように考えをまとめておいたほうが良いだろう。
(…とりあえず素案はこれ位で良いな)
淹れてきたコーヒーを飲みながらそう考える雅彦。ある程度考えはまとまった。素案をベースにすれば、ある程度対応できるだろう。
頭を切り替えるために、今までとは全く違うことをすることにした雅彦。
(…そういえば、アルベルト君の新しい記事がそろそろ出るころだね)
そういってアルベルトの記事を探す、すると、イギリスのファンメイドのボーカロイドのイベントの記事が見つかった。流し読みする雅彦。イベントの背景となる歴史や文化を知らない読者向けにしっかりと書かれている。ある程度知っている雅彦は読み飛ばして構わないのだが、一通り目を通す。
(…なかなかだね)
うなる雅彦。おさえるべき内容はしっかりと書かれているが、長々と書かれているわけではなく、的確にまとまっているので、読んでいて途中でだれるということがない。まとまっているということは、アルベルトの中で知識としてしっかりと体系化できているということを指していた。彼の凄い所はそれだけではない。基本的に実際に現地に足を運んでいることが多い。そうでないものもあるが、その場合は記事の先頭に但し書きがついている。彼自身が世界を飛び回ることが好きだといっていたので、彼からすれば、そのついでに記事を書いているようなものだろう。恐らく長い移動時間の間に彼の持っている知識を補完したり更新したりするのに裂いているのだろう。
「…雅彦君」
そうしているとワンオフのルカが顔のぞかせる。
「どうされました?」
「紅茶を淹れたのだけど、飲まない?コーヒーばかりだと飽きるんじゃないかしら?」
そういわれてマイカップを見る雅彦。コーヒーは好きだが、だからといってコーヒーばかりだと飽きるのは事実である。
「…そうですね。紅茶をいただきます」
そういって自分の部屋を出る雅彦だった。
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