予言者の太陽が堕ちて
終わらない夜の幕開け
止まった刻(とき)の鳥籠の中に
一人 反響する声

この背にあった両の羽は
灰になって燃え落ちた
飛ぶことも唄うことも許されぬ僕は
閉じ込められた闇に震えている

書き終えた結末(エピローグ)は 本当に正しかったのか?
涙が凍み込んでいく 冷たい裸の肌
君は僕を忘れてくれ、その背の翼を張って
光ある朝(あした)へ飛んで 光のない夜を振り返らないでくれ

十三夜 月は宙天にかかり
罪(つみ)咎(とが)を背負う僕は籠の中にひとり
終わらないかりそめの陽(ひ)に染められて
影法師と踊る孤独な舞


明けない月夜が続く
眠れない僕が耳を澄ます
闇夜に溶ける影の檻が
僕と世界を隔てる

“羽があろうとも飛べはせぬ
どうせぶつかって堕ちてゆく”
飛ぼうとするたび食い込む茨の枷が
残酷な“生”を思い出させる

秤にかけられぬもの 羽根と引きかえにかけたこと
課された十字架の意味 分かってはいるけれど
僕が君を忘れたら 君が僕に思い出させてと
そんな我儘を思った 業(ごう)欲(よく)に塗れた(まみ)自分もいるんだ

二十六夜 月は今宵も空に
醜い二本足で踊る僕だけがひとり
どこにも行けずに欠けたままの月は
まるで羽ばたけないこの僕のようだ


凍りつきそうな棘だらけの鎖
自分の影では自分を暖められない・・・


“待って”


ふと見上げた空に 星が流れた


誰かが願う 祈り 迷い星
破裂してこの籠の中も照らしだした
君の声が聞こえた
僕は必死で闇に手を伸ばした

流星歌う 星屑にまかれ飛ぶ君の影
決して届かない“光”を生きる憧れ、それでも
翼が無くても構わないさ、
少しでも近くへ、この手よ、届け!!


星々の囁く歌が痛みすら白く焼き切った
流れ出した赤い熱で縛られてた氷の茨が融けた
逃げられぬ永遠だと思われたこの籠も
僕の狂想(ルナー)が生んだ幻だったのか?

“ここまでくればもう少しだよ
さあ早くここまで来てよ”
破れた籠の隙間から君が呼ぶ
枷の切れ端をつけたまま僕は地を歩きだす

輝く恒星(ほし)の翼が僕を照らした
僕の後ろには濃い影ができた
“それでも、構わないよ”ひとりで呟いた
離れられぬ影を背負って生きる覚悟を
僕はずっと前から決めていたんだ・・・

“夜が暗ければ暗いほど
星は明るく輝く”と教えてくれたのは貴方でしたか・・・
自分さえ呑み込んだ闇が宿るこの身の中にも
きっと光があると信じて歩き出すよ


真(まこと)の日に終わりを告げた永遠(とわ)
ずっと引っ架かっていた月が傾いだ
辿り着いた三十九夜に目を開けると
そこにはあの日と変わらない 君がいた

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

月読と籠鳥のロンド

永遠の闇に閉じ込められた僕と、恒久の光を羽ばたく君。

“この罪がいつか、赦されるなら――――”

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投稿日:2013/08/21 14:37:51

文字数:1,118文字

カテゴリ:歌詞

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