<クロスリンク・プロブレム ミクの試練! 最終話 最後の試練・後編>

(宇宙庭園)

 ミクは学生服のままの状態で、ガーディアンを睨み付けながら腕を構えていた。一つ目の目玉であるガーディアンは、そういうミクを冷徹に眺めていた。

ガーディアン:・・・いい加減、その『アペンド』とかの力を発動したらどうだ? 正直、なんの力も発動させてない“お前”をタコ殴りにして屠る(ほふる)のは面白くない。それより、そのたった1つの力を使ったのにも関わらず、勝てずに死んでいくお前を眺める方が、よほど面白いという物だ
ミク:・・・「最後の覚悟」をしていた。でも、お前の今の言葉で、それが無駄なことだったことがよく解ったよ
ガーディアン:なんだそれは?
ミク:もしこのアペンドの力がお前を凌駕する力だったら、私が言ったとおり、お前を倒すことになる。それが本当にここで生活している人にとって“良いこと”なのか、ほんのわずかだけ、迷っていたから。でも、さっきの狂気の言葉でわかったよ。やっぱり、ここの人にとっても、それと、私の世界の人にとっても、お前は存在してはならない
ガーディアン:なるほど、わずかだが迷いがあったのか。それはこれからの最後の戦いには不必要な事かもな。何せ私にはほんの一部の迷いもない。間違いなく、お前を滅ぼす
ミク:ええ、もう迷いはない。お望み通り、アペンドの力を発動させるわ
ガーディアン:やるが良い

 ミクは両手を頭上に掲げて、天に向かって叫んだ!

ミク:最後の力、『アペンド』! 発動!!!!

 ギューーーーーーン!!!!

・・・

 ミクの姿には、なんの変化もなかった。学生服のままであり、顔つきも髪型も同じだった。

ガーディアン:・・・ふ・・・ふはは・・・はーーーーーーはっはっはっ! 最後の力にすら見捨てられたようだな! 私に消せないのはともかく、所詮は私が作ったのではない力! 偶発で作られた力など、こんなものなのだよ! 残念だったn

 ビュン!!!

 ガーディアンの言葉の最後あたりで、ミクは突然、ガーディアンの視界から消えてしまった。

ガーディアン:何? 消えt

 ガーディアンのこの言葉が始まった瞬間、ミクはガーディアンの横に立っていた。

ミク:すぐには殺さない。神威の刀コピー

 グサッ!

 ミクはなんの迷いもなく、神威の刀に似た刀をガーディアンに突き刺した!

ガーディアン:ぬ・・・修復!

 バキッ!

 ガーディアンは刺された箇所を瞬時に修復すると同時に、肉塊の圧力で刀をへし折ってしまった!

ビュン!

ガーディアン:なに! また消えt

 ミクは今度はガーディアンの後方に回り込んでいた!

ミク:これまで追うべきだった『罪』を感じながら、ジワジワ死ぬが良い。サンクチュアリコピー

 ジュワァァアァ!!!!

 ミクはガーディアンの後方部分に、あのサンクチュアリ能力とよく似た光線を浴びせて、円形に肉壁を焼き払ってしまった!

ガーディアン:うぐぐ・・なんなんだ・・・この能力は! 修復!

 ビュン!

 ガーディアンは焼けこげた部分を切り離し、肉壁を再生し始めたが、その刹那、ミクは更にガーディアンの横に移動していた。

ミク:貴方にはとても信じられない事のはず。その“疑問”を抱きながら、消えて行きなさい。天雷コピー

 ゴゴゴゴーーーーーーン!!!!!

 ミクは指さしながら右手を上に上げてから、シュッっと下に降ろした。それと同時に上から巨大な“稲妻”がガーディアンの頭上を襲った!

ガーディアン:ガ・・グォ・・・ゴ・・・しゅ・・・修復・・・

 ビュン!

 ミクは最後にガーディアンの目の前に移動した。修復が完了してガーディアンがミクを認識した瞬間、ミクは一言だけ呟いた。

ミク:ガーディアンのみ時間停止し、リリィウェポンコピー発動
ガーディアン:な・・・まさか・・・その力h

ピタッ

 ガーディアンは、まさに大きな目を全開状態にして、動きを止めた。そして、その周り360度全方位に、リリィのビームソードがとり囲むことになった。

ミク:そう。お前が言おうとしていた“その力”だ
ネル:悟られないように知らないフリをしていたけど、この“アペンド”の力は、お前が作ったものじゃない。僕たち3人が密かに作って置いた力だよ。ミクにはアペンドの力を通して、伝えて置いたけどね。
ハク:“クリスタルの力を管理する”ネルの力を使って、これまでに取得してきた力を少しだけコピーしておいて、更に私の“ワープ能力”、テトの“時間停止能力”を加えた力を5つ目のクリスタルの一部に仕込んで置いたの

ミク:妖精達が作った力や、コピーした力は奪えなかったみたいね。じゃあ、さよなら。時間停止、解除

ギュン!

ガーディアン:貴様ーーー!!!!!

 グサグサグサグサグサ!!!!!!

ガーディアンが修復出来ない程の無数のビームソードがガーディアンの全身に渡って、深く突き刺さり、そしてガーディアンの本体を焼き払いながら貫通していき、そして内部で全てが爆発した。

 ゴゴゴーーーーーーーーーーン!!!!!

 ガーディアンは木っ端微塵に吹き飛んでしまった。同時に6つ目の最後のクリスタルが発動し、魔法陣のプレートが輝きだした。

ミク:・・・あっけないやつだったね
ネル:“保険として作って置いた力”が役に立ったね
ミク:それにしても、みんな人が悪いなぁ、こんな凄い力があるのを、私にも黙っているなんて
ハク:あくまでこれは保険だったんです。元々あった力も、凝縮して中に入れておいたけど、感じ取る名前に入ってこなかったみたいで、あいつも解らなかったみたいだけど
ネル:その力はアペンドの発動と同時に消滅してしまったみたいだ。それより、最後の“ルシフェル”の力が発動したみたいだよ。

 ギューーーーン!

 最後の6つ目のクリスタルが青緑色に輝いていた。

ミク:帰還の力・・・これでさよなら・・・なのかな・・・
ネル:あいつの話ではそう言うことになるね
ハク:これで最後になるけど、初めて、私たちの記憶を忘れないままで、元の世界に戻ることが出来るね
テト:ヾ(*´∀`)ノ

ミク:え?

 ネルは6つ目のクリスタルを取り外して、ミクに渡した。

ネル:これは“ヤツの束縛”が消えた今、“帰還の力”だけでなく、こっちの世界とそっちの世界を繋ぐ“連絡機械”にもなるんだ
ハク:あいつの話の通り、ミクがやってきた事は“無し”になるけど、こっちの世界の意味合いが消えるわけではないのよ

ミク:つまり、私は帰った後も、これであなた達と、こっちとそっちの変化を連絡しあうわけだ
ネル:そう、まだ終わったわけじゃない、少なくても、ミクの家族の問題が解決するまでは、この力は持続すると思うよ

ミク:わかった。元の世界に帰ったら、なんとかしてみるよ

 ゴゴゴゴゴゴ・・・・・

宇宙庭園のエリアが消え始めた。どうやら、とりあえずの最後らしかった。

ミク:どうやら、戻るときみたい
ネル:帰ってもミッションが終わらないのは申し訳ないけど、落ち着いたら連絡ちょうだいね
ミク:わかった!

 ギューーーーン!!!

 ミクが空中に浮かび、足から消え始めた。

ミク:じゃあ、とりあえず、有り難う! 連絡するからね!
ネル:頼むね!

 ギュン!

 こうしてミクは元の世界に戻っていった。

ネル:さて、僕たちも町に戻ろうか
ハク:あいつが消えたことで、新しい変化が生まれたと思うからね

 ギュン!

ハクの能力で、3人も宇宙庭園から消えていった。そしてその後すぐ、宇宙庭園は完全に消滅した。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

クロスリンク・プロブレム ミクの試練! 最終話 最後の試練・後編

☆オリジナル作品第13弾である、「クロスリンク・プロブレム ミクの試練!」の最終話です。

☆ラストバトル編とそれから編です。

☆ようやくの最後です。ボカロの家族設定での生活編は、結局、最初と最後だけになってしまいました。

☆これまでのご閲覧、コメントなど、まことに有り難う御座いました!

*****

hata_hata様が、第1作目のきのこ研究所のイメージイラストを描いて下さいました!。まことに有り難う御座います!。
『「却下します!」』:http://piapro.jp/content/oqe6g94mutfez8ct

☆hata_hata様が、第2作目のきのこ商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『causality』:http://piapro.jp/content/c0ylmw2ir06mbhc5

☆nonta様も、同じく商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『ようこそ!、きのこ駅前商店街へ!』:http://piapro.jp/content/dmwg3okh7vq1j8i1

☆あず×ゆず様が、第8作目の部室棟の死神案内娘“テト”を描いて下さいました!。本当に有り難うございます!。
『おいでませ!木之子大学・部室棟へ♪』:http://piapro.jp/content/rsmdr1c3rflgw7hf

閲覧数:443

投稿日:2011/01/24 21:34:34

文字数:3,175文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • nai☆

    nai☆

    ご意見・ご感想

    なるほど、こういう結末できましたかw
    悪が栄えたためしは無いですから! 目ん玉ガーディアン、残念っ! 邪気串刺し斬りっ!!!
    …って、え? え!? うぎゃああぁぁぁ~っ!!!

       巻き添えを喰らったnai☆も木っ端微塵に吹き飛んでしまった。←


    (残留思念)
    いろいろあったけど、最後は大団円…ってことですよね。よかったよかった。
    今回も、お疲れ様でした! アデュ~ノシ

    2011/02/18 21:23:12

    • enarin

      enarin

      nai☆様、こんにちは! お返事遅くなりまして申し訳有りません!

      > こういう結末できましたかw

      ある種の大団円ですが、寂しい一面もありましたね。向こうの世界と繋がれるのは、案件が進行している間だけです

      > 目ん玉ガーディアン、残念っ! 邪気串刺し斬りっ!!!

      まぁちょっと凄い最後でしたが、これだけ色々ミクにやってきたのだから、仕方ないとも…

      > …って、え? え!? うぎゃああぁぁぁ?っ!!!



      > 巻き添えを喰らったnai☆も木っ端微塵に吹き飛んでしまった。←

      え?え?え?・・・えー!!!! そんな…、そんなはずは…・・・

      > いろいろあったけど、最後は大団円…ってことですよね。よかったよかった

      今回は色々やりすぎました。今、アイデアを練っている作品では、もっと明るくて笑えて楽しいのにしたいと思ってます。現在、構想期間中です。

      > 今回も、お疲れ様でした! アデュ?ノシ

      これまでのご閲読、コメント、本当に有り難うございました!

      2011/02/21 14:50:32

  • nonta

    nonta

    ご意見・ご感想

    ハッピーエンドでなによりです(・∀・)
    ここまで厳しい戦いで酷い目にあわされていましたが、それが故にネル達妖精も手をうっておいてくれたのかも。
    そういうコトを思えば苦戦したことも含めて全てがツイてましたね。
    逆にガーディアンは助かるチャンスがあったにも関わらず、邪悪さと思い上がりから倒される結果にw
    悪魔を倒すことで解決した問題も全て手放す覚悟をしたからこそ結果としてそれらを手に入れることが出来た、という展開も摂理に一致しているよう感じられました。
    お疲れ様&ありがとうございました。

    2011/01/31 20:22:31

    • enarin

      enarin

      nonta様、今晩は!

      > ハッピーエンドでなによりです(・∀・)

      やはりこの投稿小説シリーズは内容に関係なく、出来るだけハッピーエンドにしたかったのです。ガーディアンの話では帰っても辛い日々になるような感じでしたが、それもなんとかなりました。

      > ここまで厳しい戦いで酷い目にあわされていましたが、それが故にネル達妖精も手をうっておいてくれたのかも

      確かに今回の旅は辛い物ばかりでした。ストーリーで頑張っているミクさんだけでなく、ご閲読されている読者様にもプレッシャーを与えてしまう内容で恐縮でした。妖精達も、何かあってからでは遅いと事前に判断して、こういう保険を作って置いたのですね。

      > そういうコトを思えば苦戦したことも含めて全てがツイてましたね

      ツイてましたね。ガーディアンの挙動、話、判断、全部が、ミク側の保険に合致する内容でした。

      > 逆にガーディアンは助かるチャンスがあったにも関わらず、邪悪さと思い上がりから倒される結果にw

      ひどいことをした存在は、最後には悲惨な最期を迎える。これはスーパーヒーローの時に使った手法です。このガーディアン、上から見下ろすタイプだったので、それが災いして、こんな最期に…。

      > 悪魔を倒すことで解決した問題も全て手放す覚悟をしたからこそ結果としてそれらを手に入れることが出来た、という展開も摂理に一致しているよう感じられました

      結局、悪魔とかどちらの人間にもどうすることも出来ないようなファクター(因子)を入れて、調整を計るような事をしなければ、どちらの困っている人間も、なんとか出来るのですね。今回はガーディアンの一人負け相撲だった気がします。

      > お疲れ様&ありがとうございました

      今回は辛い内容の小説になってしまって、本当に恐縮です。次回があるなら、もっとギャグ多めの明るい内容の物にしたいと思います。今回こんな感じの作品になったので、ちょっと見つめ直し、練り直す時間を作ってから、新シリーズを始めたいと思います。

      これまでのご閲読、コメント、本当に有り難うございました!

      2011/01/31 20:43:16

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