1月1日 謹賀新年

「あけましておめでとうございます」
 いつもと同じはずなのに、何となくどこか違う朝。少しだけしゃんとして、神妙な朝。姿勢を正して交わす挨拶に、初めてお正月を迎えるKAITOは不思議そうな顔をして首を傾げた。
「あけまして、おめでとう? ……ございます」
 わかっていないながらも、私の真似をして同じ言葉を返す。そんな素直さが微笑ましい。きまりわるげに、少し困ったような瞳でちらちらとこちらを見ている彼が、この特別な挨拶の説明を欲しがっているのはわかっているけれど。
「今年も一年、よろしくね。カイト」
 全部後回しにしてそう告げる私に、ぱちりとひとつまばたきをしてから、はい、と柔らかく彼は笑った。

 おせちやお雑煮も、KAITOには初めてのものだ。年末に、作るのを手伝ってもらいはしたけれど。おせちに入っているものにはそれぞれ意味があるんだよ、なんて話しながら、のんびりと箸を進める。
「ふぅん……面白いですね」
 やっぱり不思議そうにしながら、KAITOもおせちに箸を伸ばす。それがどこか怖々として見えて、また微笑ましくなる。
「新しい年が良いものになるように、健康に過ごせるように。縁起を担いでお祝いするんだよ」
 そんなことを話しながら、私も不思議な気分だった。お正月、というだけで、そういう日に決まっている、というだけで、本当は何ら特別なことがあるわけでもない。昨日と今日の境に何があるわけでもなく、去年と今年の境で何が変わるわけでもなく。なのにどうして、普段より少しだけ改まってしまうんだろう。変わりないはずの空気が、どうして何だか凛としたもののように思うんだろう。わからない。わからない、けれど。
「午後になったら、初詣に行こうね、カイト」
 わからないままに、それでも何だか大切にしたいから、わからないままで、この日を祝う。去年より少しだけ、そんなことを強く感じる気がするのは、きっと去年にはいなかった彼がいるから。
 はつもうで、と、これまた初めてのイベントに神妙な顔をして呟くKAITOに微笑み掛けて、私は朝も告げた言葉を繰り返す。

「今年も一年、よろしくね。カイト」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

日めくりKAITO <1/1>

昨年末にツイッターで、KAITOとマスターの日常話365日……というような話題がありまして。
それは楽しそう、と思って年明けから書いてはいたものの、絶対に365日は無理。とローカルに溜め込んできたんですが、記念日ネタとか使う関係上、公開しちゃった方が良くね?と思ったのでUPです。
途中で飛んだり力尽きたりすると思いますが、ほら、日めくりカレンダーってめくるの忘れて数日分まとめてめくったりするって聞くし!と、そんな理由でこのタイトルです。
年明け早々駄目人間です←

今回のこのシリーズでは日替わりで思いつくままに書くので、KAITOとマスター♀だったりマスター♂だったり他ボカロだったり別のKAITOだったり色々で、設定も話ごとに変わります。
さらっと気楽に(そして深く考えずに←)読んでいただけると幸い。
1日目の本日は、マスター♀とKAITOのお正月、でした。

閲覧数:237

投稿日:2015/01/05 23:49:15

文字数:907文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました