＃１３



ミクはネルのことをきくため、リンの部屋を訪れた


「……そこ……すわって……」


リンは自分のベッドにミクを座らせた

ミクが枕にふれると、それは少し濡れていた……


「あんたのその刀……【音無】は……元々は、ネルのものだった」


ミクは驚き、自分の刀に目をやる


「……そして、ネルは、あんたがここにくる前にいた私たちの仲間で……私の親友だった」


リンが壁によりかかり、思い出すように天井を見上げた
















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一年前……

小さなバグの集団が施設の近くに停滞していたので、リンとネルが対応していた


「リン、ごめん！そっちいった！」

「わかってる！」


リンは、体を反転させバグの体を忍者刀【白鳴】で切り裂く


「ラァァストォォォ！！」


叫ぶネルの日本刀【音無】が、バグを貫き、黒い塊が消滅する

そして、辺りには、リンとネルの二人だけになった




「ふぅ……」

「リン、お疲れ」


ネルがリンの肩をぽんと叩いた


「うん、お疲れ様」


リンが笑顔でネルを見る


「リン、また強くなった？」


ネルがリンの顔を覗き込む


「え？そう？あまり実感ないんだけど……」


そうはいいつつも、褒められて素直にうれしそうに笑うリン




「……この戦い……いつまで続くんだろうね」


ネルが遠くを見てそういった


「わからない……けど、私たちがやらないといけないんだよね」


リンもネルと同じ方を見つめる

沈黙が続く……





「ねぇ……ネル？」

「……何？」


リンの方を見るネル


「あのさ……もし……もしも……私が先にいなくなったら……その時はみんなをよろしく」


リンはそれだけいうと、施設にむかって歩き出す


「リン！待てよ！」


ネルに呼び止められて、リンは脚を止める


「そんな約束はできない……何、弱気になってるんだよ！こんなのリンらしくないよ！」


ネルの言葉にリンはくるりと方向をかえ、ネルと向き合う


「……ネルは強いね。私、いつも戦うたびに怖くて、怖くて……」


リンは両手をぐっと握っている

そっと、リンの両手をつかむネル


「あたしだって……怖いよ。怖いけど……あたしの背中はリンが守ってくれる。そう思うだけで、あたしは前を向ける！」


ネルの力強い目と、手を伝わるネルの体温


「だから……リンもあたしを信用して、前の敵だけを見ててくれればいいから！そうすれば、恐怖も半減するでしょ？」


リンはぎゅっと手に圧力がかかるのがわかった


「……うん、ありがと」


リンはその手をぎゅっと握り返した



「さ、帰って、ルカさんに傷をなおしてもらわなきゃ」


二コリと優しくわらったネルに、リンも笑い返す

そして、二人は施設に向かって歩き出した