　皆さん、初めまして。メイコです。
　私のマスターは複雑な経緯でこの町に来て、ちょっとした縁がありVOCALOIDシリーズ01『MEIKO』の私を購入してくれました。……『購入』という言い方はマスターは嫌うみたいですが、他にいい表現が見つかりません。

　今私は、蕎麦を茹でています。まな板にはピンクと白の縁取りをしたかまぼこ。そう、今日は大晦日。年越しそばを作っているのです。
　台所で鼻唄混じりに蕎麦を菜箸で混ぜていると、「メイ。」と渋く低い声とともに、肩がひんやりとした触感に包まれました。ビックリして菜箸を取り落としたのは言うまでもありません。
「ひぁっ!? な、何するのマスター！」
　振り替えると、そこには不思議そうな顔をして肩に手を置いたサングラスの男性、私のマスターがいました。
「何か、手伝うか？」
　さっきまで某大晦日の歌番組を見ていたはずのマスターは相変わらず不思議そうな顔で（いつもこんな顔をしています）、私の頭ごしに鍋を覗いているようでした。
「ううん、もうできるから大丈夫」
　あとは沸いた蕎麦とダシを器に移してかまぼこを乗せるだけなので断ると、マスターは「そうか」と、いつもの調子で、でも
どこか寂しげに呟きました。心なしかしょんぼりしているみたいで、なんだか申し訳なくなってきました。
「やっぱり、飲み物持っていってくれる？」
　そう言うとマスターは嬉しそうに（実際はさっきと何も変わってはいませんが）、「わかった」と踵を返して冷蔵庫に向かって行きました。

　

ライセンス

細く長いお付き合いを

秋徒

前バージョンに続きます。

投稿日：2009/12/31 23:58:30

文字数：648文字

カテゴリ：小説

コメント1
関連動画0

ご意見・ご感想

お名前

時給３１０円
ご意見・ご感想
あけましておめでとうございます。ちょうどピアプロでお世話になった方々に新年の挨拶でもして回ろうかと思っていた所、新着が上がっていて驚きました！　え、勉強は……？ｗ

秋徒さんのメイコ主役とは珍しい！　と言うか、初？
ちょっとおとなしめのメイコと渋めのマスター。ほほう、大人同士の静かな年越しか……と思いきや、メイコの「もん」発言ｗ　なるほど全てはこのための伏線だったのか（違
年越した蕎麦とか、あんたら小学生かと。「うえー、去年作った蕎麦食ってるー」とか言っていた自分の子供時代を思い出しましたｗｗ

受験も大詰めですねー。ここまで来たら、勉強よりも体調管理を重視です。
本編の続きももちろん待ってますよー、ただし受験の後にｗ
最後まで気を抜かずに、頑張って下さいね。
2010/01/01 13:42:18
- 秋徒
  時給さんへ
  　しまった、先を越された！（だからどうしたと←
  　どうも時給さん、読んでいただきありがとうございます。
  
  　めーちゃんは初ですね?。本当は本編の子達を出したかったのですがね…。信じられるか？まだあいつら、夏を過ごしてるんだぜ……orz　そんな理由で、めーちゃん＆渋マスター初登場となりました。
  　蕎麦は毎年必ず食べてますね。お婆ちゃんは毎年『いく年来る年』（11:30）が始まってから作り始めるので、いつも年越した蕎麦でしたww
  
  　センター入試までもう一ヶ月を切りました。正直かなり厳しいですが…精一杯頑張る所存です！
  　今年も駄作ですが、末長くお付き合いくださいm(_ _)m
  2010/01/02 02:30:38

この作品の関連動画は登録されていません。

オススメ作品

ログインしてください

本機能を利用するためにはログインしてください。

ログインユーザー登録

クリップボードにコピーしました

細く長いお付き合いを

オススメ作品

ログインしてください

SNSでシェア

URLをコピー

リンクタグをコピー