それは期末テストも終わり、夏の気配が徐々に表れ始めた、とある朝のHRの事だった。
(・・・眠ぃ・・・)
HR中、鏡音レンは朝の涼しさの中、睡魔に襲われていた。窓際の席なので少しだけ開け放たれている窓からは爽やかな風がそよそよとレンの額を直接撫でていった。
それがまた心地よく、レンは早々に寝る事を決意し突っ伏した。
「えーと、今日は転校生を紹介したいと思います」
先生は教卓の前に立つとそう言い放った。クラス中からは え、この時期に転校生なんて珍しいね、 どんな子かな、 可愛いかな、カッコいいかな、とか言う声が上がっている。
あー、五月蝿えなぁ・・・。別に良いだろ、男だろうが女だろうが。・・・眠ぃ・・・。
それでは入って下さーい、と言う先生の声にその転校生は ガラリ、と教室の戸を開き、入って来た。レンの意識は既にあやふやだった。
「転校生の・・・・・・・・・・・・さんです。それじゃ、自己紹介よろしく」
「分かりました。・・・・・・・・・・・・です。宜しくお願いします」
名前・・・なんて言うんだ?聞き取れない・・・。でも、この声・・・何処かで聞いた事あるような・・・
「それじゃあ・・・・・・さん、鏡音君の後ろに座って頂戴ね。分かる?窓側の前から三番目」
「・・・? はい」
転校生はレンの苗字にふと首を傾げた。
・・・アイツ?でも此処に居る筈無いだろうし・・・
それでも先生の指示を聞かない訳にはいかない。返事をし、窓際の自分の席に行く。
そして、レンの席の前で、立ち止まる。うつ伏せになっているレンの顔は見えないが、転校生は何か思い当たる節が合ったのだろう、レンの机をコンコン、と叩く。モゾリ、と動いたが起きる気は無いらしい。
ハァ、と溜息を付くと転校生はぐ、と拳を握り締め、レンの頭を思い切り殴った。
ゴッ と凄く良い音がクラス中に響いた。クラスの皆はもちろんの事、先生も転校早々のこの態度に驚きを隠せないでいる。
「ってーな!何すんだ・・・」
ガタン、と音を立てレンは席を立ち転校生を見、そして目を見開いた。
「・・・・・・え?」
「や、レン。久し振りだね」
えぇ!? とクラス中から驚きが再び轟く。
「・・・ちょっと待てよ、リン!お前小4の時転校したんじゃなかったのかよ!?」
「いやー、お父さんの転勤でさー、まぁたこっちに戻ってきたんだよねー、あははー」
「・・・今、俺はハ○ヒが何時も自分の後ろの席でちょっかい出してくる○ョンの気持が分かるような気がしてきた・・・。頭痛え・・・」
「酷いな、人をハ○ヒ扱いしないでよ。それにしても良くこの高校入れたね。此処、結構レベル高いんだよ?そんなに頭良かったっけ?」
「リンには劣るだろうけど一応、な」
「リン、レン、再会を懐かしむのは良いが皆が驚いてる。後にしろ」
声のした方に二人が顔を向けると、そこでは学級委員のネルが携帯を高速で打ちながら先生に
「あ、先生、続きどうぞ」
と促した。そこでようやく先生もハッとし、それじゃ、連絡は特にないのでこれでー、あ、亞北さん、携帯はHR中弄らない様にね、と言って出て行った。
あー、はい と生返事を返すとネルはパチン、と携帯を閉じた。
と、同時に教室の扉がパアン、と思い切り開き、そして
「リンちゃん帰ってきたの!?」
と叫んだ。
「ミク姉!」
キャー、と嬉しそうに言ってからリンは鞄を自席に下ろし、ミクに駆け寄っていった。
「・・・ミク、走ってきただろう・・・。怒られるぞ・・・」
「あ、ネルちゃん、連絡ありがとー!大丈夫、早歩きしたから!・・・それにしてもリンちゃん久し振りー!小4の時以来だから・・・。8,9年振り!?うわぁ、凄い!凄い!」
「ミク姉、ちっとも変わってないねー」
「リンちゃんこそ。あ、でも髪伸びたねー。肩よりも下までになってるし。ポニーテールはあの白リボンで結んでるんだね。可愛いよ!」
「五月蝿い、黙れ。自重と言う事を覚えろ」
「ネルちゃん、酷い・・・。従姉妹なのに・・・。ぐすっ・・・」
「何でこんなのと従姉妹なんだろう・・・」
「もっと酷い!」
わー、リンちゃーん、とミクは泣き真似をし、リンに抱き付く。リンも慣れた様子で あー、ハイハイ、ミク姉落ち着いてー、と若干棒読み気味に言う。
そこにレンが来て、クスリと笑った。
「何か懐かしいな、それ。やっぱリンがいるのといないのとじゃ違うな。久々に楽しいや」
「何よそれ、レン君私じゃ詰まんない、て言うの?」
「詰まんない、て言うか・・・」
「五月蝿い」
「ネルちゃんそればっか!」
「ああ、もう・・・。でもミク姉じゃ詰まらない、とかじゃなくて、やっぱこの形が馴染んでるから、すっごい懐かしくて、さ」
「そうだね、懐かしいもんね。あ、リンちゃん家は?」
「あ、前の家そのまんまですよ」
「うわ、またお前と家隣かよ・・・」
「なにをーっ!」



こうして、とある高校で、久し振りの再会が幕を開いたのであった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

再会

学パロです。初めてなんでちょっとドキドキです。
あ、設定はと言いますと、
レンとリンは幼馴染。家も隣同士。苗字も一緒。外見もそっくりで良く双子に間違われていた。
小4の時にリンが転校してしまう。そして高1の時にまた戻ってきた・・・。
みたいな感じです。
因みにリンはレンが好きです。でも言えない。多分ツンデレ。
レンは鈍感。でも幼馴染としてじゃなく、リンはどんな存在なのかが分からなくなってきてる。
ミクは取り合えず じれったいなあ!早くくっ付け! と思っている。

そんな感じです。

閲覧数:538

投稿日:2010/05/14 23:47:32

文字数:2,046文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました