「あら、お帰りなさい」
 二人が家に帰ると、ルカが出迎えた。
 「ルカさん、戻りました」
 「ルカ姉、ただいま」
 ルカはミクの持っていた買い物袋を代わりに持ってキッチンへいく。そのルカについていく二人。
 「二人とも、ショッピング中は何を話していたの?」
 「ええっと、今度のミクのワールドツアーについて聞いていました」
 「確かにもうそんな時期ね」
 買い物袋を机に置くルカと雅彦。
 「それで、そんなやりとりをしている時に、次々と表情が変わっていくミクを見ていました」
 「雅彦さん!…それはいわないで」
 「ミク、また顔が赤くなった」
 「雅彦さん、見ないで」
 再び顔が真っ赤になって顔を手でおおうミク。そんなやりとりをする二人を見て、微笑むルカ。
 「ルカさん、どうしたんですか?」
 「いえ…、さっきみたいなやりとりをするあなたたち二人って、本当にお似合いのカップルねって思って」
 「え…」
 その言葉に、雅彦の顔まで赤くなる。
 「る、ルカさん、そ、そうですか?」
 「雅彦さん、顔が真っ赤ですよ」
 雅彦を指して微笑むミク。
 「そ、そんなことより、ルカさんは何をしていたんですか」
 何とかごまかそうとする雅彦。その問いかけに、
 「私は新曲のデータをもらったので、ひととおり聴いたあと、どう歌うかをイメージトレーニングしていたわね」
 先ほどまでやっていたことを思い返すルカ。
 「そうなんですか、凄いですね」
 「そうかしら?常にベストなコンディションを保つのは私たちの努めの一つだから、当然のことだと思っているけど」
 その答えに感心する雅彦。
 「雅彦君だって、研究や試作パーツのテストを行うために常にベストなコンディションを保っているでしょう?それと同じことよ。…本当は、もう少し家にいる時は仕事のことはきれいさっぱり忘れて、リラックスしたほうが良いのだけれど。でも、この家だと部屋は防音環境がちゃんと整っていて、歌の練習もしやすいから、ついつい家に仕事を持ち込んでしまうのよね」
 ルカの仕事に対する意識は非常に高い。スターというより求道者という言葉のほうが似合っているかもしれない。そのせいか、仕事に関するパフォーマンスはボーカロイド一だと常々雅彦は思っている。
 「まあ、僕の場合は、研究データには重要なデータや機密データが多くて、外からアクセスするのは色々と手続きをしないといけないのが大きいです、しっかりと手続きを踏めば大学外からも安全にアクセスが可能ですけどね。…まあ、そこまでするメリットを感じないのでしていませんし、今は特段の事情もないですし、なにより家には大学の仕事は持ち込みたくないですからね。もっといえば、僕の研究のための設備は大がかりになりますから、大学じゃないと用意できませんし」
 「雅彦君みたいに、仕事とプライベートを分けやすい環境の方が良いのかもしれないわね。それよりも、二人共、紅茶で良いかしら?」
 「はい、いただきます」
 「ルカ姉、私、ミルクティーが良いな」
 「分かったわ」
 ルカは紅茶を淹れるのが非常に上手く、時々ボーカロイド一家はその腕を堪能していた。ルカは紅茶党で、毎朝紅茶ではなくコーヒーが出るのを内心残念に思っているのは二人も知っていた。なので、ルカが紅茶を淹れるという時にはルカが腕を振るう数少ない機会なので、ありがたくその恩恵に預かっているのである。

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初音ミクとパラダイムシフト3 1章8節

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投稿日:2017/02/26 18:23:32

文字数:1,421文字

カテゴリ:小説

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